Fall in Love 67 | mimimimi◢͟│⁴⁶ 小説

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「好きです」


その声は理佐先輩に届いてなかったみたいで、安心したと同時に少し寂しさを覚えた。






「花火綺麗だったね!」
そう隣で話すのは、米とずーみん。


花火が終わり、今は帰っているところ。


米とずーみんと並んで、花火の感想を話しながら帰っている。




「由依」

後ろから名前を呼ばれ、振り向く。
声の主は、一歩ぐらい後ろに立ち止まっている理佐先輩。


米とずーみんは花火の話で盛り上がって私が止まっていることに気づいてないみたい。


いや、気づいてるのかもしれないけど気をつかって気づいてないフリをしてくれているのかも。


そんなことを考える余裕があったのに、次の瞬間、全ての余裕を失った。



「えっ…?!」



理佐先輩にグイッと腕を引っ張られ、気がづいたら理佐先輩に包まれている。



「私も好き」


耳元で囁かれ、全身が熱に帯びるような感覚がした。



「ねえ、由依もでしょ?」


花火のとき、聞こえたんだけど…。その言葉が離れなくて、花火どころじゃなかった。


と理佐先輩は顔を真っ赤に染めて、私に言う。


そんな理佐先輩が可愛くて、背中に手を回しキツく抱きしめる。


手のひらから理佐先輩の温もりが伝わる。



「理佐先輩好きです。」

「私も好き。付き合って?」

「はいっ」


抱きしめられていた腕を少し緩ませ、見つめ合う。


周りにはたくさんの人がいることを忘れているかのように。


私と理佐先輩だけの世界って感じがして。


時が止まっているよう。



理佐先輩の瞳から、逸らすことが出来なくて。むしろ吸い込まれるようで。


理佐先輩の顔がどんどん近づいてきて、反射的に目を瞑る。



ピロンッ



その音に、目を開け、理佐先輩の近さに思わず後ろに下がってしまう。


「ごめん…愛佳からだ。」


この音の正体は、理佐先輩の携帯からで、愛佳先輩からのライン。


『そろそろ帰ってきなよ!』というメッセージ。


今は2人で抜け出している状態。

早く戻らないとみんなに迷惑をかけてしまう。


ぎゅっと再び抱きしめられ、耳元で「続きはまたしようね」と理佐先輩は言う。


照れて真っ赤に染まった私を無視して、手を繋ぎ「行こっか」と言う理佐先輩はとてもいじわるだ。


何度も理佐先輩にドキッと音を鳴らす。


理佐先輩は気づいているのに気付かないフリをする。


隣に理佐先輩がいるなんて、夢みたい。
こんな日々がずっと続けばいい。


どんどん理佐先輩に溺れていく。