クドリャフカの順番 | 匂い松茸 味えのき

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どうもこんにちはえのきです。
夏休みも中盤といったところでしょうか、小中高生のみんな、宿題そろそろ手をつけないと泣くことになるぞ。気をつけろ。
大学生はまだまだこれからが夏休み本番ですかね。
えのきもそんな感じです。

今日は米澤穂信さんの古典部シリーズ第3弾を読み終えたので
というかちょっと前に読み終わってたんだけどね
時間ができたので感想を書こうと思います。
あ、キャッチコピーも考えようかな。
ぎんぎつねのも考えよっと。




クドリャフカの順番/米澤穂信




さて古典部です。
今話題の古典部です。
アニメでもちょうど『クドリャフカの順番』が終わりましたね。
アニメ最終話を見る直前に小説も読み終えたのですが
今回はかなりミステリーよりも
古典部メンバーの内面的なことに触れている点が魅力的だったと思います。

というのも、あとがきにも米澤さんが書いていらっしゃいましたが
今回の物語の主役はずばり「文化祭」そのものです。
「文化祭」という人間でない対象を主役として見据えたときに
今までの折木視点だけの話の進め方ではどうにもミステリー足りえない。
そこで今回は古典部4人の視点から話を進めるという形をとっています。
全体として時間軸を進めていきながら、4人のうち誰かがその時点の物語の主人公という
多角視点の描き方が少し新鮮でした。

まず、里志のちょっとした対抗心、羨望、絶望、期待。
里志の視点はかなり面白いです。
本人が自分を客観的に見つめている描写が個人的に好きです。
里志のデータベースっぷりにはいつも驚かされますが
データベースと自負しながらもいろんな感情論を出してくるところも
面白いですね。

続きまして、摩耶花のコスプレ、漫画への情熱。
漫研なのは知ってたけど、こんなにレベル高いなんて思いませんでした(笑)
河内先輩との漫画論争には大変に興味を惹かれましたね!
まあ私自身は漫画についてそんなに深く考えたこともないんですけど。

最後に、千反田の好奇心、交渉戦術。
好奇心については今までもさんざん書かれてきていますが
今回は千反田自身に少し自重しなきゃという気持ちがでてきます。
アニメでのここの描き方はかなり小説からアレンジが加えられていて
千反田がとりあえずかわいかったです(笑)
あと、入須に教わった交渉戦術を実践して疲れちゃうあたり
素直でかわいいなあと思ってしまいました(笑)

折木に関しては、正直あまり心理的な面白さは今回ありませんでした。
ぼーっと店番してる彼ですし(笑)、
なかなか動き出さないですし(笑)、
わらしべプロトコルを要求しちゃうあたり、面白いなあとは思いましたが(笑)
今作は前作の『愚者のエンドロール』や『氷菓』と違って
ミステリーらしいミステリーだったと思います。
事件が起きて、犯人捜しが始まる。
ただ、そのヒントが極端に少ない。
それはまだいいんですけど、偶然の産物、幸運としか言いようのない出来事が
少し多すぎたかなと感じました。
解決はしたし、筋も通っているのだけれど、
かっちりとした「納得」がどうにも私の頭にははまらなかったようです。


小説を読み終えてからアニメも見ましたが、
やはり今回はどこか理屈っぽくなってしまって
映像作品としては厳しいかなと思いました。
今までのポップな感じが死んでしまって、もったいないなと。


まああくまで個人的な意見なので、軽く流してくださいな。
長くなってしまったので、今回はこの辺で。