天国にいるおばあちゃんに感謝の言葉!僕が今でも一番好きな食べ物はおばあちゃんのOO! | Issei世界旅人

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皆さんは今まで食べたもので一番という好き、美味しかったという食べ物はなんですか?

僕はもともと寿司シェフで世界にいたこともあって世界に飛び出した多くの和食料理人にたびたびこの質問をしました。

料理を仕事として毎日料理を作っている人たちが美味しいと思う食べ物って何なんだろう。。。って思ったんです。

そしてその一番多かった食べ物は意外と多くのレストランのメニューにないものなんです。

そして僕が好きな食べ物もレストランのメニューにないものです。

日本料理人の中で一番多かったのが。。。

「焼き魚」

 

グッときますね。。確かに日本の代表和食。

でもこの焼き魚って何の魚?

『カマ』の部分。

カマは頭と胴体の間にある部分。エラがついているところです。

ブリカマや鮭カマ部分ですね。最近ではスーパーでよく見かけますし寿司レストランでもサーモンやブリ系の魚などもネタにしますがカマはお客さんに出しません。

その理由は数がない。結構大きなレストランでも1匹仕入れてもカマは二つほどです。何百人と来るところはメニューに載せられないですね。

あと回転を速くするためにはとても不向き。。焼く時間もかかりますし、お客さんが食べる時間もかかる。突っつく感じでほじくる感じなので。

このカマ、僕も焼き魚の中ではきっと一番好きです。僕の周りでも知らない人がまだまだ多いですね。機会があったら食べてみてください。

さて僕の1番の好きな食べ物ですが、

これは一般の人に聞いた答えとかなり多く共通するんです。

それは「おばあちゃんの料理」です

 
 

 

そう、僕の今まで人生でいろんなものを食べて一番好きな食べ物は

おばあちゃんの料理の中にあります。

 

知り合いなどもこの答えが多かったんです。

「おばあちゃんのきんぴらごぼう!」とかも多かった。。

でも不思議ではないですか?

 

美味しいステーキ、お寿司、洋食など食べているのに。。

 

どうしてその人は「おばあちゃんのきんぴらごぼう」という答えが出てくるんでしょうか?

 

ポイントは「おばあちゃんの。。」です。

 

スーパーで売っている「きんぴらごぼう」とかではないんです。

おばあちゃんが作ったきんぴらごぼうがその人は大好きなんです。

どうしてでしょうか?

 

それは僕が最終的に辿りついた答えと同じだと思います。

「おばあちゃんがその人のためにつくるから」

 

その人がおばあちゃんのきんぴら大好き!というとおばあちゃんはその人のためにきんぴらをつくります。

きんぴらごぼう。。僕も好きですが作るのが苦手です。。

たくさんのゴボウの処理、細かく切る。。食べる時はあっという間。。

作るの大変なんです。。準備から何まで。。とほほ。。です。

 

でもおばあちゃんはその人のために喜んでつくります。

その隠し味が「愛情」なんです。

 

僕が料理の世界をやめた理由もこれでした。

 

料理人がそのお客さんのために作るのに「おばあちゃんのような愛情」を入れることは本当に難しいと思います。

その人がその人のために作ること。。。

それが最高の食べ物!

 

おばあちゃんからその人は孫。。きっと最高の愛情が生まれると思うんです。その素朴なレシピなんかもない。。昔から作っている味。個人的な味、それが美味しいというのですから。。

 

僕も同じでした。

 

「おばあちゃんのけんちん汁」なんです。

 

最初に載せてある写真です。。

おばあちゃんのけんちん汁は僕が日本にいる時、小さい時から頂いてました。一緒に住んではいなかったけども近くに住んでいたので年に何回か作って持ってきてくれました。

そして18歳で海外に行き、毎回戻ってくるとその日にけんちん汁が僕の実家にあるんです。

しかも大きなおおきな大鍋で。。

実家には親だけ二人、僕が戻ると三人。。

明らかに僕のためのけんちんでした。

それはおばあちゃんが亡くなる時まで続きました。僕は35歳でした。。

 

どうして帰ってきたその時にけんちん汁が用意されているんだろう。。と不思議に思った時があります。

おばあちゃんは僕の親に「僕が帰ってくる日がわかったら教えてと。」伝えていたみたいです。

そう、帰国する日が決まると僕は親に連絡します。そして親がおばあちゃんに僕が何日に戻ってくるかを伝えていたのです。

 

それでも僕がおばあちゃんの家に住むまでわからなかった事実があります。。

 

海外での仕事を引き上げ日本に戻ってきた時におばあちゃんの家は空いていました。そこに僕は住み始めたのです。

 

いろいろタンスや何から掃除をし片付けをしているとあるものが出てきました。

 

それは僕が海外から送った手紙です。しかも18歳くらいの時のもの。。

 

最初に海外に行った時から数年館はおばあちゃん、おじいちゃんに年に1、2回くらい書いた記憶があります。その手紙が全部残ってました。

その手紙を読み返すと書いてあるです。。

「おばあちゃんのけんちん汁が大好きです。日本に戻った時に作ってください。」っと。。。

僕がそうおばあちゃんにお願いしたことだったんです。。

 

「そうだったのか。。。だから帰国した時にはけんちんが台所にはあったんだ。。」そう胸を打たれました。。。

 

それをおばあちゃんは最後までやってくれてました。

 

本当におばあちゃんのけんちん汁が好きだったので毎日、毎食、3日続けて一人で食べ続けました。かなりの大鍋です。。

本当に大好きだった。。最高に美味しいんです。。

 

でもいつかはおばあちゃんのけんちんが食べれなくなってしまう。。

 

そう思っておばあちゃんが元気なうちにけんちんの作り方を教わりたいってお願いしたことがあります。

おばあちゃんは「いいよ!」って言ってくれました。

そしてその当日おばあちゃんのところにいくと山盛りに用意された野菜と里芋が縁側に。。

驚きました。。

 

こんなに多くの野菜。。そしてその皮むき。。

準備だけで1時間以上かかった思いでした。

 

そして煮込み。。。

具材はゴボウ、里芋(八つ頭)、人参、大根、豆腐、鶏肉(ささみ)

そして味噌!出汁などは入れません。

 

野菜から旨味が出てくるんです。。信じられなかった。

きっと3時間くらいかかったかな。。。とにかく準備と料理時間があの大鍋のけんちんにはありました。

だから美味しいのだ。。そして愛情と。。

 

「けんちんはたくさん作ると美味しい!」っとおばあちゃん。

大量のけんちんです!

 

でも冷たくても美味しい。その理由は油ないからです。温かいご飯に冷たいけんちんをかけてよく食べてました。

 

おかげさまで今でもそのおばあちゃんのけんちん汁、作ることができるんです。

おばあちゃんのけんちん汁の味が今でも食べれることが本当に嬉しいんです。

 

そしておばあちゃんと同じようにその材料などは畑で作っています。秋にさと芋や大根、ゴボウ、人参などできてきます。

 

そして毎回けんちんを作ったらお父さんやお父さんの兄弟にけんちん汁を持っていきます。僕にとってはおばあちゃんの味はお父さんたちにとっては「お袋の味」ですから。。

 

もしおばあちゃんが作る料理で好きなものがありましたら元気でいるうちにその料理を覚えておいて損はないと思います。

 

人が生きているっていうことは本当に素晴らしいことなんです。

 

後悔している人もたくさんいます。。

 

だからここで少しでも多くの人に伝えられたらと嬉しく思います。

 

 

僕の親は小さい時に離婚してお父さんに育ててもらいました。

 

そして海外にいる間に父は少し年上の女性と再婚していていました。僕とその女性は休暇で日本に戻る時の2、3度の面識くらいで会話はほとんどありません。

 

僕がヨーロッパでの仕事引き上げて日本に帰国した日のこと。。

 

毎回帰国した日は実家に戻り家族と一緒にご飯を食べるんです。。

 

家に戻って台所を見ると目を疑うものがありました。。

大きな大鍋。。

まさか。。と中を覗くと

「けんちん汁」

お父さんがパートナーの女性に僕がけんちんが好きなことを言うはずはないし。。

 

その女性がたまたま作ったものでした。

でも不思議なのがその量。。

 

二人でいつも住んでいるのにこんな大きな鍋で。。。

そしてけんちん汁を頂くと。。

『うっ。。!』

。。。。

 

脳裏によぎったあの味。。

 

そうおばあちゃんのけんちん汁の味でした。

 

『嘘でしょ。。。』

 

おばあちゃんのけんちん汁を食べたことのある母親でもおばあちゃんのけんちんとは全く別の味のけんちん汁になるのに、おばあちゃんのけんちん汁を知らない人が全く同じ味になるなんて。。。

しかも材料も味も完璧。。

 

誰よりもおばあちゃんのけんちん汁をたくさん食べた僕の味覚だ。。

おばあちゃんが作ったとしか考えられなかった。。

でもおばあちゃんは亡くなっている。。

 

女性はそこでこう言いました。『けんちんはたくさん作ると美味しいのよ』

おばあちゃんが言った言葉と一緒だ。。

 

一体何がなんだかわからなかった。。

でも偶然があるものだと。。

 

おばあちゃんと同じ味のけんちん汁の味がたまたま存在しているのだと思った。

 

おばあちゃんのけんちん汁の特徴は八つ頭という品種の芋だった。里芋の種類はたくさんあるけども地元でもこの八つ頭をけんちんに使うところはそんなに多くはない。

 

たまたまもありえる。。

このパートナーの女性も地元の人だからだ。

 

でもそれが違うことが分かったのは後日。。。

次の週にまた親と一緒にご飯を食べる機会があった。

 

その時にまたけんちん汁が作られていたのだ。。

そのけんちん汁を頂くと。。

『あっ。。。』

 

全くの別物のけんちん汁の味だった。。

具材も違う。。昆布とか入っているし。

 

なぜだ。。

鍋もなぜかちっちゃな鍋。。

 

あの時言ったじゃないか。。

『けんちんはたくさん作ると美味しいのよ』

あの言葉はなんだったんだ。。

 

その時に気づいた。。

 

おばあちゃんがその女性の身体をかりて「けんちん汁」を作ってくれたのだと。。

 

そんなことがあるだろうか。。。こんな話をして信じてもらえるだろうか。。

だけどもこれしかもう答えが出ない。。

 

おばあちゃんが僕にやりたかったこと。。

『おかえり!』っとけんちん汁をいつものように届けてあげることだった。

それは天国にいてもできることなんだ。。

 

きっと神様にお願いしてたのかもしれない。。許可を取るのも大変なのかもしれない。。

 

でもそこで気づく。。

 

おばあちゃんはいつも僕を見守っているっていうこと。

おばあちゃんだけでなく亡くなった人はみんなそうなのだと思う。。

 

僕はおばあちゃんが生きているうちに伝えたことがある。

 

ずっと伝えたかったことだ。。

『僕は今まで食べてきた中で一番好きなのはおばあちゃんのけんちん汁だよ』っと。。

 

世界トップクラスのレストランに『Geranium』に行った後に確信した。。

 

 

 

 

 

 

やっぱり僕にとって一番美味しいものは

おばあちゃんのけんちん汁なのだと。。

 

今でも冬の時期になると毎年けんちん汁をつくる。。

八つ頭の里芋ができてくる時期だからだ。

 

そしていつもおばあちゃんの味だ。。

 

もしかしたらおばあちゃんが僕の体をつかってけんちん汁を作ってくれているのかもしれない。。。

おばあちゃんが住んでいた家で。。。

けんちんの作り方を教わった縁側で野菜の皮をむき。。

昔からあった同じ場所のキッチンでけんちんを作る。。

 

「トントントン。。。」

 

包丁で里芋を切りながら思う。。。

おばあちゃんも材料を切っている時に僕のこと考えてくれてたのかな。。

明日帰ってくる。。トントントン。。。

 

そして僕もけんちんを作るときはいつもおばあちゃんのことを思う。。

人参もう少し細く切ろうかな。。とかは考えない。

おばあちゃんのことを自然と考える僕がいつもいる。。

お父さんにも届けなくちゃ。。お袋の味。。

 

そう思うとまた一つ嬉しくなるひと時なんです。。

本当に感謝の一言に尽きます。。。