天冥の標Ⅲ アウレーリア一統//小川一水 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
天冥の標Ⅲ アウレーリア一統/早川書房

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 「天冥の標Ⅲ アウレーリア一統」


 小川一水、著。 2010年

                ※

内容(「BOOK」データベースより)

西暦2310年、小惑星帯を中心に太陽系内に広がった人類のなかでも、ノイジーラント大主教国は肉体改造により真空に適応した“酸素いらず”の国だった。海賊狩りの任にあたる強襲砲艦エスレルの艦長サー・アダムス・アウレーリアは、小惑星エウレカに暮らす救世群の人々と出会う。伝説の動力炉ドロテアに繋がる報告書を奪われたという彼らの依頼で、アダムスらは海賊の行方を追うことになるが…。シリーズ第3巻。

                ※

 酸素いらず=アンチ・オックス/ノイジーラント大主教国の住民。肉体改造により、体内で酸素を作り出す能力を得た一族。宇宙船を駆る宇宙の海の民。

 救世群/小惑星エウレカに暮らす冥王斑をウィルスを体内に有する一族。彼らの血液から、致死性の疫病冥王斑のワクチンを生み出す事が出来る。人類から疎まれながらも、救世群と呼ばれる。


 60年前に発見された、何処へか消え去った異星人の遺物を巡る、アンチ・オックスVS海賊VS救世群の闘争を描いた作品。
壮大なドラマとラノベテイストの融合が、心地よいリズムを生み出すスペースオペラだ。

 かなり繋がって来た。
Ⅰのタイトルが「メニー・メニー・シープ」である蓋然性も、かなり見えて来た。
が。
たぶん。
今後も予断を許さない展開になるのだろう。

 冥王斑ウィルスを有するが故に差別され続ける救世群。
肉体改造により、人類の持ちえない能力を有するが故に、尊敬されながらも疎まれるアンチ・オックス。

 救世群は誇りを求めながら孤独であり、アンチ・オックスは誇りを有するが故に孤独である。
正と負の被差別民族。
両者にはどこか同じ匂いがする。

 そう言うニュアンスの物語である。
暗鬱な作品になっても不思議ではないのだが、小川一水作品は明るい。
俯かない。
だから明るい。
希望を見つめ、未来を模索する。
止まらない。
だから明るい。

 確定した未来なんてないのだ。
未来は切り開くものなのだ。
主人公たちは未来を開拓する者たちなのだ。

 主人公アダムス・医師団のセアキ・救世群のグレア・ロボットのカヨetc.
なんか、もう、愛おしい人たちばかりだ。
たまらんなあ……。

 情報生命体や羊まで愛おしい。
たまらんなあ……。

 プライドによって立つ奴も、ひがみにより立つ奴も、根性曲がりの外道も愛おしい。
実に。
たまらん。

 『天冥の標Ⅲ アウレーリア一統』。
たまらんなあ。
面白かったです♪♪♪