私たちの退屈な日々 (双葉文庫)/双葉社
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「私たちの退屈な日々」
多島斗志之、著。 2009年
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内容(「BOOK」データベースより)
女はこわいと言うけれど、本当のこわさをあなたは知らない。―ある芸能人のファンになってしまった私。彼に会いたい一心で、ついに自宅をつきとめたが…「取り憑く」。夫が会社をクビになる。理由を聞いても納得できない私がとった行動とは…「ねじこむ」など、平凡な日常を送っていた女性が遭遇する7つの出来事。読み始めたら止まらなくなること必至の傑作短編集が、堂々の登場!あなたの友人に、こんな女性がいたらどうしますか。
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日常に潜む非日常。
だが、女たちは何食わぬ顔で……。
と、そのような短編集。
「取り憑く」の主人公である主婦が、友人の誘いで見に行った芝居の役者のファンになり、徐々にストーカー化してゆく過程が実に不気味だ。
「教え子」の主人公の甥と結婚した、元不良女子高生・元教え子が、過去をばらさぬように主人公に詰め寄る姿が怖い。
が、ある意味、これはこれで健気でもあるような気がする。
「預け物」の主人公とその友人たちも元不良女子高生。ヤクザに強姦されたあげくに神経を病み自殺した仲間の復讐のため、25年も機会を待ち続けた彼女たちの健気さが結構好き。
「記憶」の主人公の父親の埋めたお宝の正体が不気味。
「ねじこむ」の主人公の行動力がカッコイイ。
まあ、褒められた話でもないのだが……。
どれもそれほど深いものがあるわけではない。
目新しさがあるわけでもない。
多島作品としては小品の部類だろう。
だが、どれも、どことなく多島さんらしさが出ている。
あとは、本人が出て来る事を祈るのみ。
(失踪中らしい)
『私たちの退屈な日々』。
mokkoさんに頂いた本です。
ちょっとブラック。
ふふふ……。
という感じの作品集。
結構楽しめました。