リライト//法条遥 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!

リライト (ハヤカワ文庫JA)/早川書房

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 「リライト」


 法条遥、著。 2012年

             ※

内容(「BOOK」データベースより)
過去は変わらないはずだった―1992年夏、未来から来たという保彦と出会った中学2年の美雪は、旧校舎崩壊事故から彼を救うため10年後へ跳んだ。2002年夏、作家となった美雪はその経験を元に小説を上梓する。彼と過ごした夏、時を超える薬、突然の別れ…しかしタイムリープ当日になっても10年前の自分は現れない。不審に思い調べるなかで、美雪は記憶と現実の違いに気づき…SF史上最悪のパラドックスを描く第1作。

             ※

 過去も未来も 星座も越えるから

 つれていって

 時をかける少女~♪

時をかける少女 [DVD]/PI,ASM/角川書店

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 「ラベンダーの香り!」
映画『時をかける少女』での原田知世の名台詞を思い出します。
原作は筒井康隆さん。
もちろんこちらも読みました。

 法条遥さんによる『時をかける少女』へのオマージュ作品。
こちらはかなり黒い『時をかける少女』ですが……。

 時を越えるときに香るラベンダーの香り。
未来人との階段落ち。
名シーンは本作にも取り込まれている。
そして作品中に重要な役割で登場する小説のタイトルが『時を翔ける少女』。

 古くからのSFファンが狂喜する作品です。
そして、単なるオマージュに留まらず、この作品には法条遥さんらしい仕掛けがある。
タイムパラドックスを逆手に取るというヒネリ。
これには唸らされました。
━さすが法条遥!

 作品の前半部分で拡大してゆく矛盾。
主人公の少女の名前が章ごとに違うのは何故?
作中の出来事の記憶も章ごとに微妙に違う。

 混乱させられます。
もやもやとした気分にさせられながらも、その理由が知りたくて読み続けるのをやめられない。
引き込まれます。

 そして……。
黒い!
結末はかなり黒い。
そして主客逆転のカタルシス。

 『リライト』。(上書き)
なるほど。
やられました。
期待を裏切らぬ面白さ。
やはり法条遥さんは良い♪

 そういえばデビュー作『バイロケーション』が映画化された模様。
これも面白い作品でした。

 法条遥さんの持ち味はSF的設定を伴うミステリー。
どの作品も最後に驚きが待っている。
映画もヒットしてくれると良いと願っています。

 だって、法条遥は本当に面白い♪
もっと世間に認知されるべき作家だと思います。