人格転移の殺人//西澤保彦 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
人格転移の殺人 (講談社ノベルス)/講談社

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 「人格転移の殺人」


 西澤保彦、著。 1996年。

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内容(「BOOK」データベースより)
突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。

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 異星人の遺物?
人格を入れ替える装置により、6人の男女の人格が入れ替わる。
さらにその装置により転移した人格は、A→B→C→D→E→F→A……と順に転移し続ける。

 この法則は変化することはないが、転移の起こるタイミングはランダム。
転移中に誰かが死亡した場合は死亡した肉体に宿る人格が消滅する。
その後は死亡者を飛ばして転移が続く。

 と、まあ、かなりややこしい状況のミステリー。
さらに、彼らは装置を管理するCIAにより、世間から隔離されている。
彼ら6人だけが閉鎖された設備で生活するというシュチエーション。
つまり、本作はクローズドサークルもの。

 シュチエーションはSF。
しかし、本作は本格的なミステリー。
クローズドサークルで連続殺人事件が起きる。

 ここでは頻繁に人格転移が起こるので、犯人が誰かが解っても、その人格が誰であるのか特定できない。
これが実にスリリング。

 ちなみに6人は、転移以前に互いに関わりがない。
当然、以前からの怨恨により……というような動機は不在。
さて、犯人は!?

 またも西澤マジックに嵌められました。
実に複雑なシュチエーションがいかにも煩わしそうなのだが、マジシャン西澤氏の口上の巧みさ軽妙さに乗せられて引き込まれてしまいました。

 しかし、よくこんなミステリーを思いつき、書き上げてしまうものだ……。
いわゆる本格ものよりも、西澤作品は、こういう変則が面白い♪
しかも変則なのはシュチエーションだけであって、内容はちゃんとミステリーになっているのだから……タマラナイ。

 『人格転移の殺人』。
やられました。
本当に面白かったです♪♪♪