ISOLAー十三番目の人格(ペルソナ) // 貴志祐介 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)/貴志 祐介
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 「ISOLAー十三番目の人格(ペルソナ)」


 貴志祐介、著。 1996年。



 結構、怖いです。

グロさは控えめ、不気味さは健在。

デビュー作だけに、意気込み過ぎの感もあるし、

詰め込み過ぎている部分もあります。


 もっと掘り下げてくれればなぁ・・・、と言う部分も

あります。 とりわけ、特別なネタも無い。


 「ありがち」なネタの組み合わせではあるけれど、

それだけに不気味な恐怖感を煽ります。



 阪神大震災後の被災者の心のケアをボランティアで

行っている賀茂由香里は、人の強い感情を読み取れる

エンパスだった。


 西宮の病院に長期入院中の少女、森谷千尋のケアを

することになるのだが、千尋は多重人格障害だった。

様々な人格と会話を交わす内に、由香里は13番目の

人格「ISOLA」と出会うことになる。


 そして、「ISOLA」の出現に、由香里は血の凍る

思いをすることになる・・・。

恐怖の人格「ISOLA」とは?



 少しネタばれになりますが、死霊よりも生き霊の方が

たちが悪くて恐ろしいと言います。

死霊の場合、祟る意識が強くて出現する訳で、祟る相手

や目的がはっきりしています。


 生き霊の場合は、本人の意識の無い状態で出現する

訳で、必ずしも本人に祟る意思が必要では無いからです。

本人のコントロール出来ないドッペルゲンガーのような

存在と考えれば良いかも知れません。


 本人の潜在意識がどうあれ、意思と言うレベルでは

祟る気が無い相手をどう扱えば良いのか?

生き霊は、なかなかタチが悪い。


 しかし、その生き霊を本人がコントロール出来たら?

これは、・・・怖い!


 貴志さんは、本当に不気味で恐ろしい物語を書きます。

ホラー作品の評価は、人によって180度変わる事が

あるので、この作品も酷評されたりしていますが、

私は「怖さ」では、「クリムゾン・・・」や「天使の・・・」より

この作品の方が上のように感じます。


 ネタじたいは、さほど物珍しいものではありません。

いささか、強引で陳腐に感じる部分もありますが、

ホラーは怖けりゃ良いのです。


 納得しようが、感心しようが、怖くないホラーは

ホラーじゃ無い。

不気味な恐怖感は、充分に味わえます。


 まぁ、怖くなくても面白い「ホラー」はあるのですが、

この辺はもう分類の無意味さでしょうね。

・・・変な方向に話が転がりそうなので、結論。


 結構怖い作品です。