最近のタブレットブームの加熱によりタブレット保有者も大分増えてきている。
そしてiPadは勿論のことだが、Androidも先日のNexus7(2013)の発売により完成度の高いタブレットとして注目を浴びている。
だがこういったタブレットの進化・人気により、「タブレットはPCの代わりになる」という勘違いも多く生まれている。
断言できるが、タブレットはPCの代わりにはならない。
その理由はよく言われるOfficeとの互換性などではなく、入力デバイスとしての限界。
タブレットは携帯性、拡大・縮小の容易さ、直感的な操作感等、閲覧端末としては非常に優れているのは間違いない。
反面、入力デバイスがタッチパネルしか無いため、長文を書いたり素早く細かい作業等には向いていない。
これは慣れやOSの進化ではどうしようもない物理的な問題なので、タブレットで作業を行おうとするとPCより作業効率が格段に落ちる。
どんなにフリック入力に慣れても物理的な押下が可能なキーボードより早く文章は打てないし、どんなに頑張っても人間の指はマウスカーソルより細くはならないし、手のひらという視覚は消せない。
また、携帯性の観点からディスプレイがどうしても小さくなるため、マルチタスクな作業に向いていない。
マルチタスクに作業ができないということは、その分作業効率が落ちることは否めない。
作業効率が重視される仕事ではこれは大きな問題だろう。
たまに「仕事を全部タブレットでするようにした」なんて自慢話(笑)を見かけるが、それは「自分はタブレットで賄える程度の仕事しかしてなかった」と公言するようなものだ。
(ファイルの閲覧しか必要が無い営業職とかなら別だが)
プライベートPCならともかく、仕事用のPCをタブレットに変更するなんてことは、ちゃんと仕事をしている人なら絶対に止めた方がいい。
笑えないのが「タブレットのせいでPCが売れない」とか「タブレットに切り替えた」とかの話を真に受けて、経営者が自社のPCを全部タブレットにしようとする話。
実際にこういう話はあるようだが、PCでネットサーフィンしかしない会社ならともかく、普通の会社なら誰も幸せにはならない結果になるのは火を見るより明らか。
自分の上司が本気でそれを進めようとしたら、全力で止めるか転職しよう。
勘違いしないで欲しいのは、PCがタブレットより優れているという話をしているのではなく、それぞれのデバイスで優れている点は違うということ。
タブレットの方が効率が良い場面ではタブレットを使えば良いし、PCの方が効率が良い場面ではPCを使えばいい。
重要なのは使い分けで、例えばノコギリとナイフがそれぞれ有用な場面が違うのと同じ。
どちらも切るものだからと、なんでもノコギリで切ったり、なんでもナイフで切ったりするのは馬鹿のすることだ。
仕事でタブレットを導入したいなら、「自分の仕事がタブレットに向いているか」、「どのような効果が得られるか」を考えて導入しよう。