黄色のパンジー 花言葉 : 記憶
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Mrs.エステティシャン花音です。
九州大学の研究によれば、認知症の高齢者数は2012年時点で約476万人おり、2025年には約675万人になるだろうと指摘されています。
認知症がテーマの映画、百花とファーザーを鑑賞しました。
高齢化社会の日本にとって老いや介護はより身近な問題になりました。
2025年には認知症患者は700万人を越えると言われています。
百花
息子役の菅田将暉さんと、母親役の原田美枝子さんが介護者と認知症患者を演じられています。
認知症を患い記憶を失っていく母
母の介護を通して遠い記憶を蘇らせる息子
どちらも記憶を交錯させながら一つの大切な記憶に辿り着く切ない映画。
ファーザー
ひとり暮らしをする81歳の父親役アンソニー・ホプキンスさんの演技が素晴らしく認知症の恐怖や苦しみをリアルに描いた作品。
現実と幻覚の境を彷徨う映像や演出が秀逸でアカデミー賞を受賞されました。
認知症は、苦しい過去や辛い思い出が甦りやすいうえ、客観的に現実を認識する能力が低下するため冷静に「それは過去のことだ」「いまは苦しむ必要がないのだ」と認識することが難しいと言われています。
また古い記憶を新たな記憶で上書きし、気分を変え自分を慰めるように感情をコントロールする能力も低下していきます。
記憶を司る脳の海馬という部位は、感情の源である大脳辺縁系に位置しますが強い感情に彩られた記憶は認知症になっても失われにくいと言われています。
私の母の場合、父との暮らしの中で耐え難かった出来事の数々や心に負った傷による苦しみから少しでも解き放たれようと、頭に記憶された辛い感情をすっかり忘れてしまおうとして記憶をすべて消してしまっていたのではと思う節が見られました。
皮肉なことに晩年には本当に認知症を患ってしまいました。
それでも、施設での母は娘時代に日本舞踊の名取を取った頃の思い出を心の拠り所にしていたようで、他の入所者様に踊りを踊って見せたりしてとても嬉しそうにしていました。
「百花」も「ファーザー」も親子の揺れる絆を表現した作品です。
「百花」は、母と子の関係。
どちらかと言えば、ヤングケアラーに近い問題定義の映画でした。
それに対して、「ファーザー」は娘と父親の関係に娘の夫を交えてそれぞれが焦燥感を抱え苦しみ傷ついていく様を見事に演出されている映画でした。
私の母が認知症を患い施設に入るまでの葛藤と、それから最後の日を迎える施設での5年間との日々が、映画ファーザーと妙に重なりとても胸が苦しくて痛みました。
心を整えながら、ゆっくり時間を掛けて最後まで鑑賞しました。
つらい思いをしながらなぜ観たのかと言われるかもしれませんが、この先いずれ我が身や家族の問題に直結しているからです。
ちゃんと覚悟が出来るよう心の準備をしておくためです。
「百花」も「ファーザー」もどちらの作品も認知症患者にとって家族や周囲の理解とサポートが必要であることを教えてくれます。
観るものに感動を与えてくれるだけではなく、作品を通して認知症のことを多くの人々に周知してもらいたいと言う作り手の思いが深く込められています。