これから紹介する出来事は、実話だという。
1993年。
アメリカのボルチモア州に住むロザリー・ボドナルクさんは、自宅の屋根裏部屋を掃除していた。
この時、1936年11月8日付の古新聞を見つけた。
ペラペラめくると、通信販売の広告を、ハーンズ社が出していた。
年甲斐もなく悪戯心を出したロザリーさん。
広告に載っていた銀製のカップを注文してみた。
すると、2週間後、彼女の家に銀製のカップが届いたのだ。
しかも、消印が1936年となっていたから、驚愕した。
ロザリーさんはハーンズ社に問い合わせようとした。
ハーンズ社の住所は、ニューヨークである。
だが、ニューヨークの電話帳に載っていなかった。
それもそのはず。ハーンズ社は、1950年代に倒産していた事が判明した。
きつねにつままれた感じのロザリーさんは、今度は郵便局に問い合わせる事にした。
「あのう、どうして1936年消印の郵便物が、うちに届いたのでしょう?」
と問いかけると、局員は、
「1936年に、その会社に注文したのではないでしょうか?だが、こちらのミスでずっと倉庫に入っていた。今になって気がつき、配達したのかもしれません」
と答える。
つまり、1936年に、ロザリーさんの家族が、実際にハーンズ社に注文したのではないか、と局員は言うのである。
だが、1936年当時、ロザリーさんの一家は、ニュージャージー州に住んでいた。
局員の言う通りなら、商品の届け先はニュージャージー州の元いた家になるはず。
これは、ありえない・・・。
結局、ロザリーさんが出した注文書はいったい誰に届き、誰が商品を送って来たのかは・・・、不明であった。
消印が1936年になっていた事も、もちろん不明である。
●画像は、ハーンズ社がかってあったニューヨーク