アカデミー賞作品賞受賞の映画を鑑賞。夫婦で劇場で見て、二人とも気に入る作品は珍しいけれど、これはその滅多にない当たりでした。
60年代のNY。著名な黒人ピアニスト、ドクターシャーリーが差別意識の強い南部へのツアーを敢行する際に雇用したのは、下町のイタリア系腕っぷし自慢の白人運転手トニー。裕福でありながら孤独なシャーリーと、教養はなくとも、家族思いで心根の優しいトニー、二人が回った南部は、表面的には著名音楽家のトニーを歓待する白人金持ち社会ですが、宿泊施設などは、黒人専用ホテルの利用を強いられたり、町の洋服店では、トニーは試着できても、シャーリーは試着を断られたり。ツアー最終日のレストランでは、クリスマスリサイタルの出演者でありながら、リサイタルの行われるホテルでの食事を断られ、物置のような小屋での食事を支持されたシャーリーがとった行動は・・・
全体的に予想に沿った展開で、期待を裏切りません。トニーが、最初は警戒していたシャーリーに徐々に心をひらいていくトニー、無表情で冷淡に見えるしゃーりは、気取らず正義感の強いトニーに心を許していく。
故郷で待つイタリア人の妻に不器用なトニーが、下手な手紙を書くのを横で見かねたシャーリーが、ロマンティックな名文を考えてトニーに書かせ、それを読んだ妻が、トニーとは思えぬ愛情あふれる手紙に、感激するシーンは、人種差別が主題の映画に温かさを添えています。
友情、家族愛、人間愛、正義感がストーリーの根底に描かれている見ごたえのある作品。