東京都美術館「デ・キリコ展」 | 虹がでたなら

虹がでたなら

わくわく・どきどき・しみじみ…なものたち

東京都美術館で開催中の、「デ・キリコ展」に行って来ました。
「不思議の世界へ、ようこそ。」…との言葉が添えられていましたが、その通り!…の不思議ワールドでした。
20世紀の美術会を揺るがしたと言われるイタリアの巨匠、デ・キリコ。
不自然な遠近法や物の組み合わせを用いた「形而上絵画」と呼ばれる不思議な絵画。
面白い、けれど何だかちょっと不気味な?

表情がなく、感情が読み取れない「マヌカン(マネキン)」がしばしば描かれています。
ありんこのお化けみたい!?
フォトスポット。
代表的な絵が。
この絵が特に印象に残りました。
「オデュッセウスの帰還」
室内に水面が現れ、ボートを漕いでいる人が。
どこからやって来て、どこに行くのやら…。

「不安を与えるミューズたち」
どの絵も、影にインパクトがあります。
鮮やかな色彩なのに、影の存在感に圧倒される不思議。

「バラ色の塔のあるイタリア広場」
空の境目の色も面白い。
緑や黄色がアクセントになっています。


もう一つ、フォトスポット。「予言者」
ここにも不思議な影。

面白かったのが、この「雨の歌」。
次第に伝統的な絵画技法に興味を抱いて古典絵画の様式に回帰したとのことですが、マヌカンが、ルノワール風のタッチで描かれているのです。

展示の仕方もユニークでした。
絵画の背景のような鮮やかな色に壁が塗り分けられ、ところどころに、やはり絵に現れるような窓が作られ、次の展示スペースが覗けます。
会場全体が、デ・キリコの絵画の中に入り込んだような雰囲気。
色彩はポップなのに、何やら不穏で落ち着かない、独特な世界でした。

この日はイベントだったのか、小さな子どもがたくさんいました。
子どもにとっては面白い絵かも。
ある絵を眺めていたとき、隣に赤ちゃんを抱っこしたお父さんが来て。
赤ちゃんは抱っこひもで前向きに抱かれていたから、お父さんと一緒に絵に向き合っていました。
まだ半年にも満たないような赤ちゃんでしたが、じっと絵を見つめて、しばらくして「ふ~っ」っと声を出したのです。
何かを感じたかのような…。
可愛かった~!