「PERFECT DAYS」 | 虹がでたなら

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今年の映画納めは、「PERFECT DAYS」。
役所広司さん演じる「平山」は、東京にあるトイレ掃除を仕事にしている。
朝、近くで掃き掃除をする音で目を覚まし、布団をたたみ、歯を磨いて髭を整え、鉢植えの木々に水をやり、つなぎの作業着を着て、玄関の所定の位置にある鍵やら小銭やらを順番にポケットに入れ、缶コーヒーを買って、車で出発する。
車には掃除に必要な道具が積んであり、都内のトイレを掃除する。
本当に丁寧に。
帰ると銭湯に行き、行きつけの飲み屋に行き、本を読みながら眠りにつく。
そんな毎日の繰り返し。
その繰り返しの中でもちょっとした出来事があったり、出会いがあったり。

最初、平山さんはしゃべれないのか?…と思ったくらい無口で、とても静かな映画。
役所広司さんのちょっとした変化を見せる様々な表情と、平山さんの見ている風景、それがひとつひとつ心に沁みてくるような映像。
静かだけに、生活の中の音が心地よく響いてきます。
平山さんが車の中でカセットテープで聞く音楽も優しい。

そして、特に私が好きだったのは、平山さんが見つめる木漏れ日です。
私も木漏れ日を見るのがとても好きなので…。
木の葉が陽射しを受けて様々な色の重なりを見せるシーン、そしてその影、木の葉のすき間を通った光が描く丸、平山さんがカメラで写した木の葉の白黒のシルエット…、どれも美しくて素敵でした。

大きな事件が起きるわけではないけれど、公園で踊っている人が田中泯さんだったり、平山さんが通うスナックのママが石川さゆりさんで、歌を歌ったり、その元夫が三浦友和さんだったり、NHKのドラマにも出ていたダウン症の男の子が登場したり、何気に登場人物に凝っていました。

そしてもうひとつ印象的だったのは、登場するトイレの面白さ。
渋谷区にある変わったトイレをPRする目的もあるそうですが、どれもとてもお洒落なデザインで、行ってみたくなります。
特に、壁が透けていて、中に入って鍵をかけると見えなくなる仕組みのトイレにはびっくり。

平山さんが、本当に丁寧に隅々までトイレを磨く姿を見て、私もちゃんと掃除しないと…と反省し、家に帰ってトイレを磨きました…。
そんな人、多いのでは!?

映画館の周りにあるヤマボウシ。
クリスマスバージョンみたい。

夕景。
うまく写っていませんが、富士山が見えました。
富士山が見えると、なんだか幸せな気分に。