町田そのこ「うつくしが丘の不幸の家」 | 虹がでたなら

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町田そのこ「うつくしが丘の不幸の家」

海を見下ろす住宅地に建つ、築21年の三階建て一軒家を購入した美保理と譲。
一階を美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々がはじまるはずだった。
が、開店を前にして、近隣の人から、この家が「不幸の家」と呼ばれていることを聞かされる。
「不幸の家」で、自分や家族の幸せについて考えることになった、5つの家族の物語。

ある家を舞台に、章が進むにつれて一代前の入居者の物語となり、時間を遡りながら歴代の住人たちの暮らしが描かれていく。
家の中にある秘密も解き明かされる。
とても上手く構成された小説です。

自分が幸せか不幸かを決めるのは、家でも他人でもなく自分たち。
幸せを作り出すのは自分自身。
…ということをしみじみと感じさせてくれる、温かい物語でした。