杉本博司「本歌取り 東下り」展 | 虹がでたなら

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土曜日の渋谷…。
松濤美術館へ。
美術館に向かう道、街灯にはずっとこんなフラッグが。
お洒落な建物なのです。
杉本博司「本歌取り 東下り」展を観ました。
本歌取り…というのは、和歌の技法のひとつなのだそうですが、有名な古歌(本歌)の一部を取り入れ、そこにオリジナリティを加味して歌を作る手法だそうです。
杉本さんは、葛飾北斎さんの冨嶽三十六景を本歌とした富士山図屏風を作成したり、絵や書、様々なものを本歌に個性的な作品を生み出していらっしゃいます。
この展覧会は、写真撮影可です。
これが富士山図屏風。

空の色の美しさに引き込まれます。
春日大社藤棚図屏風。
写真のような生々しい花。
この絵の上の部分には、スターリン、マッカーサーなどの顔が…。
かと思うと抽象的な作品も。

これが面白かった!
「愛飢男」
ひらがな五十音に漢字を当てて、意味のある詩にしているのです。
写真暗室内で、印画紙の上に現像液に浸した筆で書いた作品…なんてのもありました。
暗闇の中、感覚だけで書いたという文字ですが、勢いと独特の味わいがあります。

眼鏡の向こうに目がある。
華厳の滝の絵もありました。
濃霧の中、10秒だけ霧が晴れた瞬間だそうです。
手前に置いてあるのは刀のような作品。
地球と隕石とか、何かと何かを並べている作品も多く、イメージを刺激します。
「カリフォルニア・コンドル」という作品は、中国宋時代の水墨画技法を本歌取りとしたそうです。
神憑りを受けた女性が、神の言葉を書き綴ったものを表装したり、他にもレコードのジャケットなどを表装した作品もありました。
これは土偶「叫ぶ女」。
芸術って、様々なことがきっかけとなって生まれ、様々な表現の仕方があるのだ…ということを実感。
表現する力はもちろん必要ですが、気づくことができるか、イメージすることができるか…ということも大切ですね…。