初・浦和。
埼玉会館で上演中の、彩の国シェイクスピア・シリーズ「ジョン王」を観てきました。

演出は吉田鋼太郎さん。
主演は小栗旬さん。


女性の登場人物も全て男性が演じるオールメール公演。

吉田鋼太郎さん演じる、イングランド王ジョン。
正当な王位系統者である、甥のアーサーに代わって王になっていた。
そこに、小栗旬さん演じる、先王リチャード1世の私生児だと言う男が現れる。
ジョン王の母であるエリナー皇太后はその男を気に入り、迎え入れる。
一方、フランス王フィリップ2世はジョン王に対して、王位をアーサーに譲り、領土を引き渡すように要求する。
ジョン王はそれを拒み、フランスとの戦いが始まる。
また、ジョン王はアーサーの存在を疎み、臣下のヒューバートにアーサーの目を潰すよう命令をする…。
権力者や貴族たちの思惑により状況は二転三転、混迷を極め、私生児も振り回されていく…。
冒頭、客席の間から赤いパーカーにジーンズ、マスクをした男性が現れてステージに上り、スマホで写真を撮り始める。
そこに落ちてくる死体!?
知らなければ、その男性が小栗旬さんとは気づかないかも。
事前にいろいろな人の感想などを読んでおいて良かった。
小栗旬さんは、その赤いパーカーとジーンズの上に衣装を重ねていくのでした。
シェイクスピアの劇とあって、難解な言葉を使った長いせりふ。
そしてそれを早口言葉のようなテンポで淀みなくまくし立てる役者さんたちに、ただただ驚くばかり。
ものすごい記憶力!?
双方の王や貴族の私利私欲によって、戦いが起こったり、和解をしたり、と思ったら再び戦ったり。
その中で犠牲となり死んでいく人たち…。
ステージの上に増えていく死体…。
これは現代の状況にも通じるものが。
女性役を演じた方々の演技が圧巻。
特に、アーサーの母・コンスタンスを演じた玉置玲央さんの迫力と存在感は、際立っていました。
そこにいるだけで目を釘付けにさせられるし、せりふの一言一句がものすごい力で伝わってきました。
小栗旬さんはスタイルが本当に良くてカッコいい。
表情が凛々しく、オーラを放っていました。
カーテンコールでは、お辞儀をする出演者の中、小栗さんだけは宙を見据えて立ち尽くしたまま。
そしてそこに男が現れ、銃口を向ける。
小栗さんは衣装を1つずつ脱ぎ捨てて、最初の赤いパーカーとジーンズに戻り、客席に下りて去っていく…。
そして銃口が観客に向けられる…というラスト。
華やかなカーテンコールや挨拶などなく、劇の余韻を残したまま終わる。
独特な演出でした。
ステージ上に水が湧いて水たまりができていて、その水を蹴りあげたり、吉田さんが顔をつけてブクブク…と鳴らしたり、口に含んで飛ばしたり…なんてシーンもあった。
あと、選曲の不思議さ。
赤い花、白い花…とか、小さな木の実…とか、涙そうそう…とか、シェイクスピアになぜ??…という歌を、真面目に歌うのです。
一番印象に残ったシーンは、玉置さんの吉田さんへの跳び蹴り!
美しく決まっていたのでした。