昨年の秋から読んだ本について、記録に残せていなかったので、今更ながらですが、まとめておきます。
朝倉かすみ「平場の月」。

五十代になって初恋の人と再会し、恋が始まるけれど、そこには死が身近に…。
独りで生きること、独りで死を迎えること…について考えさせられました。
垣谷美雨「あなたの人生、片づけます」

片づけ屋・大庭十萬里は、部屋を片づけるだけではなく、その状態を作り出した人の心を片づける。
読んですっきり。
G・ガルシア=マルケス「予告された殺人の記録」

モデルとなった事件があったらしい。
犯行予告があったにもかかわらず殺されてしまった男性。
その事件の様子、時間の経過が、淡々と描かれる。
西加奈子「地下の鳩」

夜の街で生きる人たちの物語。
人の嫌な部分があちこちにのぞいて、それでもお互いを必要として依存して…ちょっと苦しくなる。
湊かなえ「落日」

脚本家の千尋は、映画監督の香から、自分の故郷で起きた一家殺人事件を映画にしたいとの依頼を受ける。
事件の背景を探るうちに、驚愕の真実にたどり着く…。
ほどけ、つながり…、納得…。
湊かなえ「母性」

母の手記と娘の回想。
同じ出来事でもお互いの思いはすれ違う。
そこに、母の母、姑、姑の娘なども登場し、それぞれの立場での母性について考えさせられる。
島本理生「あなたの愛人の名前は」

すれ違う大人の恋愛を描く6つの短編。
寂しかったり苦しかったりする恋の物語。
それでもそこから新たなスタートが感じられる。
近藤史恵「みかんとひよどり」

ジビエ料理を作りたいと思っていたシェフ・亮二は、猟師の大高に出会う。
料理の描写がとても魅力的。
そして、生き物の命を無駄にすることなく、いただくことの大切さを実感。
朝井リョウ「どうしても生きてる」

うまく生きられない、思うような生き方ができない…、鬱屈をかかえて生きる姿を描いた6つの短編。
本当の名前もどんなに人かも知らない人に対してこそ、心のままに泣いたり叫んだりできる…という物語が特に印象的。
この中では、「みかんとひよどり」が良かった。
登場人物が魅力に溢れていました。
近藤史恵さんの小説に登場する人って、いつまでも印象に残ります。