「そして、バトンは渡された」 | 虹がでたなら

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「そして、バトンは渡された」。
以前原作を読んで、涙ぼろぼろ…。
映画化を楽しみにしていました。
主人公の優子は、これまでに4回苗字が変わり、今は血の繋がらない義理の父、森宮さんと2人で暮らしている。
いろいろなことがあったわけだけれど、いつも笑顔であっけらかんと過ごしてこる。
そしてピアノが上手な早瀬くんにひかれていく…。
梨花は自由奔放で、何度も夫を変えながら生きる女性。
1度目の夫の娘、みぃたんを心から愛し、夫を変えるのもみぃたんのため…。
優子の物語、梨花の物語…、2つの家族の物語が平行して描かれて行きます。
原作を読んだから、人物の相関関係はわかっていたけれど、とても上手に構成されていると思いました。

みぃたん…=優子は、子どもの頃に母親を亡くす。
本当の父親である水戸さんは、梨花さんと再婚したけれど、ブラジルでチョコレート作りをしたい…ということなり、みぃたんは、日本に残り梨花さんと暮らす。
梨花さんとみぃたんのやりとりが本当に可愛い。
石原さとみさん、チャーミング。
そして梨花さんは、みぃたんにピアノを習わせたい…という思いから、かなり年上のお金持ち、泉ヶ原さんと再婚。
市村正親さん演じる泉ヶ原さん、大きな愛を感じます。
けれど梨花は、中学時代の同級生で東大卒の森宮さんを次の結婚相手として見つけてくる…。
梨花と森宮さんの結婚式のシーンで、森宮さんとみぃたんが出会い、映画での優子の物語と梨花さんの物語がつながります。
みぃたんの存在を、結婚式の当日に初めて知った森宮さんの驚きとそのあとのおおらかな対応が感動!でした。
こんないい人はいないだろう?…と思ったりもするけれど、そんな信じられないくらいの温かさを自然に表現している田中圭さんが素敵。
その後梨花さんは姿を消してしまうのだけれど、それでも愛情豊かに優子を育て、美味しい料理を作り続ける森宮さん。

何度も家族の形が変わり、名字も変わり…。
優子というバトンは次々と渡され、ほとんどの年月を血の繋がらない人と暮らす。
でも、どの家族も本当にいい人たちで、それぞれの形で優子に愛情を注ぐ…。
姿を消した梨花さんも、全ては優子のため…。
もう、途中からずっと、涙が止まりませんでした。

永野芽郁さんって、すごくチャーミングに見えるときと、あか抜けない感じに見えるときと、落差が激しいなぁ…と感じるけれど、この映画の中では、卒業式でピアノを弾くシーンが一番綺麗で輝いていました。
早瀬くん役の岡田健史さんも、はまり役で魅力的。
激しい演奏シーンがかっこ良かった!
ほんと、役者さんたち一人一人が、皆さん存在感がありました。

ちょっと残念だったのは、原作同様、梨花さんには優子の結婚式に出てほしかったな。
そこまで泣かせようとしなくても…と思ってしまった。