自然の中で育ったからか…、空の色、山の色、葉っぱの色…。
そんな色が大好きなのです。
「青に出逢う」…このタイトルだけで、ときめきます。
佐野市立吉澤記念美術館で開催されている展覧会です。

吉澤美術館は、旧葛生町にある、こじんまりとした美術館です。
主に吉澤さんのコレクションが展示されています。


この展覧会は、「青」をテーマに、近代、現代の日本画、陶芸作品が展示されていました。
ポスターに使われているのは、東山魁夷さんの「朝雲」。
絵の中に透明感を感じる静謐な絵…。
霧の流れを感じるようでした。
触るとふわっと空気が動きそうな。

左は千住博さんの「川辺の詩」。
さまざまな青の重なりが美しく、明けゆく光や時間の流れを感じるような絵でした。
この展覧会、作品の一つ一つに解説プレートがつけられています。
その作品を一言で表す言葉がまず書かれ、その下に、解説文が書かれています。
ここの学芸員の方が書いたのでしょうか?
とても素敵な表現なのです。
たとえば上の写真の右側の絵。
「うろくづ」というタイトルの、魚の絵です。
この絵のキャッチコピーは、「水の中にきらめく魚」。
そして解説の中で、下の水玉の模様のことを
「ぽってりと溜めを作った明るい水色の斑点」
と表現しています。
そんな調子で、一つ一つの作品を、感性あふれる言葉で解説してくださっていて、作品の印象が深まりました。
中でも、竹のような美しい女性を描いた絵について書かれていた
「竹のようななおやかな美しさ」
という言葉が印象的でした。
「なおやか」…初めて聞きました。
素敵な言葉です。
なおやかな人になりたいです。
焼き物では、青磁が印象的でした。

やはり解説で学んだのですが、青磁は「雨過天晴」…雨上がりの空を理想としたそうですね。
爽やかで晴れやかな色です。
そしてこんなに優しい色なのだと改めて感じました。
他にもいろんな焼き物の色について知りました。
黒い釉の中に星雲のような青い斑が輝く曜変。
金を使わないのに金色に輝くラスター。
そして今回一番印象に残ったのは、「彩磁」の器です。
上の写真の右側の器もそうです。
板谷波山さんが、西洋の技法を参考に完成させたというこの技法。
釉薬の下の素地に色を染み込ませるそうで、色がほわんとにじんで、とてもやわらかな感じになります。
そしてその上の釉薬がみずみずしくつやめいて、花や葉が生き生きと濡れ輝いているようですよ。
青磁、彩磁の透明感あふれるみずみずしい美しさに、心も潤いました。