白洲正子さんの世界にひたる | 虹がでたなら

虹がでたなら

わくわく・どきどき・しみじみ…なものたち

白洲正子さん。
憧れの人です。

日本の伝統や文化について書いた白洲さんの文章が好きです。

好奇心や行動力、強さを尊敬します。

そんな白洲さんの生誕100年特別展、
「神と仏、自然への祈り」
が世田谷美術館で開催されています。
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白洲さんが各地を旅して出会った神仏像や絵と、それにまつわる文章が展示されています。

まず入ってすぐ、十一面観音立像の表情にくぎ付けになりました。
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何とも言えない穏やかで優しい、かすかな笑顔。
すべてをゆるしてくれそうな。
何もかも、受けとめてくれそうな。
とても小さな身体なのに…。

菩薩半跏像。
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ふっくらとした頬が、可愛らしいのです。
指を頬に当てているのですが、ぷにっと音がしそうです。
私も指で触ってみたくなります。

長命寺参詣曼荼羅図。
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写真ではわからないと思いますが、たくさんの人たちがとても豊かな表情や動きをしていて、
ざわめきや会話が聞こえてきそうな絵なのです。

踊っているかのような人。
じゃあね、と挨拶を交わす尼さんたち。
一人一人が何だかユーモラスです。

対になっている曼荼羅図は、地獄を描いて、迫力のあるものでしたが…。

大津絵(釈迦涅槃図)。
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これもまたのどかな絵です。
のんびりゴロンとくつろいでいるかのようなお釈迦様と、まわりでこれまたくつろぐ人たち。
何て平和な。

役行者小角像円空作。
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円空作の像がいくつかありましたが、
どれも、ザクザクッという感じで彫ってあるのに、とても深みがあります。
この満面の笑顔も、ほっとします。

そして、とても気に入った、大黒天像。
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実際に展示されていたものは、むき出しで、身体全体が見られるのですが、
ころっと丸くて愛嬌たっぷりです。
みんなに幸せを届けてくれそうですよ。

…と、私が書くと、ひょうきんな展示物ばかりのようになってしまいましたが、
実際の展覧会は、もっと厳かで、白洲さんの知性と感性のあふれる文章が添えられています。

それぞれ、一本の木から生まれた、お面、仏像、「かみさま」。

どんな思いを込めて、こんなに美しい像たちを作ったのでしょう。

一本の木から、様々な表情が生まれ、命が吹き込まれ。

そしてそれらに、たくさんの人たちの願いや祈りが込められ。

いろんな人たちを見守り、思いを受け取りながら、このような豊かな表情が作られてきたのでしょう…。

いつか、白洲さんの足跡をたどって、これらの像が実際に生きている場所で、会ってみたいと思いました。