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今度会えたなら話すつもりさ。それからのこと、これからのこと。

 

 

 

服なんかどうでも良くなって、澄姉と昴さんが無難に選んでくれたものを購入。
勿論ちゃんと、
どういうわけかちゃんと
その服を選ぶにあたっては

ユノ君の監修が入った。

「男の人を惑わせない」様な、そんな基準。
そこには、チャンミン君の非常に常識的な意見も加味されて
すっごい堅い会話。その基準は大丈夫?

だけど結局
ジェジュン君とユチョン君はちょっと不服で
「せっかくだからその脚がキレイに見えた方がいい」
「ノースリーブにストールとかいいっすね~」などなど
男子らしい意見は却下!

「それはいつか僕と出かける時でいいのッッ!!」
必死で訴えるユノ君にはもう
だれも逆らえませんでした。なんと言ってもあの女子でさえ
「メイクとヘアで何とかするか」って
諦めモード。

ユノ君、すごい。


「じゃ、僕ら帰るねぇ~。時間だから次の仕事!」
「合コン頑張ってね~」
「また図書館行きます。色々教えてください」
「果南ちゃん!僕とも今度仲良くしてねっ」
「誰か良い人居たら、ぜひ紹介してくださいね!」とは、女子。今、初めて敬語?
うんうん分かったぁ~。面白そうに答えてくれる。優しい方々。

事務所の方がお迎えに来て、ショッピングはお仕舞い。
あれだけ大騒動で私たちに振り回されていたようで、でも
ちゃんとお買い物は出来ていた。

女子に負けずお見事っ


さよなら~と手を振っていたらユノ君が戻ってくる。
んん?
どうかした?
問いかけようとしたら先に「明日からロケで、しばらく会えないよ」
ごめんね。残念そうに、話す。

はい。そう頷いて、逸る鼓動を抑えつつ彼を正面から見つめた。
「・・・あの。
頑張ってくださいね」
たったそれだけの私の言葉を満面の笑みで受け止めてくれる。


つられて笑顔になった私の胸元、抱えられた包みを指差す。ユノ君監修の、お洋服。
視線がユノ君からそっちへ動く。


「僕のものになるって事、忘れないでね」
肩を両手で引き寄せられ耳元で囁かれる。呪文のように。


あーあ。ダメだね。まだまだ甘い

呆れ顔の女子はそう言って、真っ赤になった私を横から覗いた。
駆け寄るユノ君を待ってるメンバーの皆は、からかう様に、ユノ君に手を振る。


きっと

「しばらく会えない」日々は、

今日のあなたがくれる 


元気な毎日。

 

 

 

 

 

 

 

私は、なんて答えたらいいの? 
何も出来ないまま、ただユノ君を見つめていた。それしか出来なかった。 

だって。 
ユノ君は『東方神起』だから。 
このまま自分の感情に流されていいなんてそんな都合のいい事、きっとしちゃいけない。 

落ち着いて、しっかりしなきゃ。 

気持ちを立て直そうと必死な私に、既にその存在を忘れかけていた女子が一言 


「そんな東方神起の言う事はほっといていいの」 

いきなりワンピースの山から顔を上げた。きりりとした表情。 
息を大きく吸い込んで、 

大発表。 

「とにかくね、果南は今月と来月の合コンには参加必須なのっ 
こんな良い駒使わない手は無いんだから!!ごちゃごちゃ言わない!」 

だから 
ユノ君は文句言わない! 
その後果南を好きにしなさいってユノ君に言い切った。 

戸惑うユノ君。 
私を何だと・・・ 


はっ!? 
「え??来月も??」二人して声が揃う。 
どういう事?私を見るけど 
待ってユノ君、私も状況が把握できてないよ、聞いてない! 

「うんそうよ~ちょっとね、頑張るんだ!」女子、笑顔です。 
だ 
ダメだ。 
あの笑顔に逆らったら大変なことになる! 


「じゃさ~服は2着選んでオッケ~?」 
ジェジュン君ユチョン君は苦笑いしつつ、陽気に確認。 
あぁ、ちょっと待って!誰か聞いて! 

オッケィ♪ 
女子、軽やかに返答。 
いや!私の服でしょ!? 


うろたえる私には気付きもせず 
「果南に掛ってるから!みんな頼りにしてんだよ~」 
よしっ!これに決めたっと澄姉に声を掛ける。 

そして得意げに仰る。 
「上手くいったらさ~。果南に結婚式で友人代表のスピーチ、させたげるからさ! 
よろしくね!期待してて!」 


いやいやそれ、全っ然ご褒美じゃあありません。 


これから私、どうなるの? 


呆然自失な私の背後に寄り添って聞こえる言葉 

「じゃあ、今すぐ僕のものになる?」 
振り返ると睫毛が触れそうなほどの位置に、ユノ君の顔。 

はっきり、しっかり 
その眼差しに視線がぶつかる。 


逃げたい? 
逃げたくない。 


いつかしっかりと受け止める私になりたい。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね」
え?
「怒った?」
ううん。
首を横に振る
でも声は出せない。何か言おうとしたら、たぶん今、私は泣きそう。

「『仲良く』なるって言ったよね?」
頷く。
「『仲良く』なりたいって言ったよね、僕が」
頷く。


――だからね。
それはいつか、僕のものにしたいって事なんだよ。


―― 「ボクノモノ」 「ボクノモノ」

直ぐには理解できない言葉が
頭の中で反芻される。



ユノ君は

その言葉を
私に言ったんだよね?


彼は私の頬に当てていたその手をゆっくり降ろして
今度は
両手で、ゆっくりと私の腕を掴む。
優しく
包み込むように。
少し厳しかった筈の眼差しが次第に柔らかくなってく


そしてもう一度

「果南ちゃんはね。僕のものになるの。いい?」


―― 「ボクノモノ」
―― 「僕 の もの」


何も答える事の出来ない私にゆっくりと確認する。
一言一言を、噛み砕いて子どもに説明するように。
その視線はしっかりと私を捕えて離さない。

もう、逸らす事なんて出来ない。


いい?
だからね、僕のものになる前に合コンとかで誰かに捕られちゃったら嫌だなぁって思ったの。
照れたように今度は笑った。


フロアの向こうから、ジュンス君たちが話している声が届く

「オモチカエリ」っていうのもあるでしょ?
そうなったら大変だよ!!


・・・

そんな言葉、


どこで学んだんですか?

 

 

 

 

 

きっとこの雰囲気は
怒って
いるんでしょうか?

「どういう事?」
「だから合コンで」
「どうして行くの?」
「そこの友達が誘うので」
「いつも?」
「え?」
「いつも行ってるの?」

そうだよね。
そう思っちゃっても仕方ない。


でも。
この体勢はどうかと。


合コン用の衣装選びと判明してから全ての動きがストップし
ユノ君による私への事情聴取が始まった。

ユノ君は
私をショップ内のベンチに座らせて
自分はそんな私の前にしゃがみ込んで下から覗く
それだけでももう十分過ぎるくらい恥ずかしいのに
目なんかまともに合わせられないのに


その上
膝の上に重ねた私の手の上に自分の手を重ねてる。


俯いたら
ユノ君と視線が合う。
もうそれって
世界が二人しかいない感覚に襲われる。

かと言って顔を上げると
心配そうな、でも半分笑ってるメンバー様や
すでに面白がってる感のあるショップの皆様のなんとも言えない雰囲気を目の当たりにする事になる。



女子は変わらず衣装選びね・・・お見事。


「今回はホントに、頼まれたから行くだけだから。
だから心配しなくても大丈夫です」心配?
なんでこんなに一生懸命に言い訳する羽目になっているんだろう。
しかもこんなに必死に。

「行かないでって言ったら?」
え?

真剣に問いかけてくる。いっそ鋭さを含んだような。

さっきまでの柔らかい眼差しはどこへ行ったの?
痛い。
その視線が、私の全身に絡み付いて締め付けるよう。息が出来ない。


目を逸らして、膝の上、二人重ねた手を見つめる。
ふと、ユノ君の手が動く。

こっちに・・・・私の頬に触れる。

心臓が跳ねる。鼓動が速くなる。
体中が熱くなって、何にも考えられない。


見つめられても、何も言えない。


どうして私は、

泣きそうになるの?

 

 

 

 

 

 

 

「変わらない」
「そう、変わらない。同じですよ」

にっこり。そうしてチャンミン君は私から、さり気なく離れて行った。

うん、はい。
あなたが伝えたいことは、多分
私にきっちり伝わりました。

でも
やっぱりみんなは『東方神起』なんですよ。
とってもたくさんテレビに出てて
とってもたくさん
しかも世界中にファンがいるって、聞いたことあります。それぐらいは・・・知っています。

図書館で本を借りたり
早朝ランニングをしていたり
空手を頑張ったり
夜公園でサッカーをして怒られたり


「仲良く」
なりたいって言ってくれたり。


変わらない。そうなんだろうけど。
それでもやっぱり
『東方神起』と私は、何かが違うと思う。


出逢って、しまったけれど。

恋を、しようと。ううん


恋をしてしまったんだけど。


キャミの上、私の素肌を包むこの上着の持ち主は
こんなに近くで、こんなに柔らかく私に笑ってくれる。
でも今はもう
切なさしか生まれない。

きっと手を伸ばしたら優しく掴んでくれる。
その眼差しを私に向けて暖かな微笑みをくれる。
分かってる。でも


私には出来そうもない。


「でもこのワンピースって、何のために選んでるのぉ~」楽しそうにジェジュン君が聞いてきた。

合コンよ!!今回は気合入ってんのッ!
女子は視線をワンピの山から動かさず答える。

一瞬、動きが止まる。
「合コン??」
「ってあの・・・ね?」
「そうだよね??」そうだけど?女子が答えるや否や

「果南ちゃんが、合コン!?」
さすが、でも驚いたせいか5人

微妙なハーモニーです。