「知的能力障害」を「知的発達症」に変更 アメリカ精神医学学会邦訳「障害」から「症」に変更について | 知的障害者と親ときょうだい児約3千万人とそれを知らない人のために

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アメリカ精神医学会からでた

DSM5の改訂版DSM-5-TRが

邦訳され

「知的障害」をDSM5では

Intellectual Disability

邦訳「知的能力障害」としていたのを

Intellectual Developmental Disorder (Intellectual Disability)

邦訳「知的発達症(知的能力障害)」と変更していることについて

アメリカ知的発達障害学会の考えにより近づいていることを

高く評価する。

 

邦訳にあたっては

「知的発達障害」と訳してもいいところ

「知的発達症」と訳したことを高く評価する

 

日本においては

単に医学界のみならず教育界福祉界その他一般社会においても

「知的障害」が「知的発達症」と変わっていくことを望むため

 

このブログにおいても

この言葉に変更したい

 

しかしこの変更の連続性がわからなくなるため

当面は「知的障害」と使うが

いずれは「知的発達症(知的障害)」と記述していきたい。

 

なをDSM-5-TRの内容に関して

一部異論があるが

その点については別に述べたい。

 

 

 

DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル

精神疾患の国際的な診断基準、9年ぶりのアップデート!

米国精神医学会(APA)の精神疾患の診断分類、第5版のText Revision。DSM-5が発表された2013年以来9年ぶりに内容をアップデート。日本精神神経学会による疾患名の訳語も大幅にリニューアルとなり、全編新たな内容としてリリースする。

シリーズ DSM-5-TR
原著 American Psychiatric Association
日本語版用語監修 日本精神神経学会
監訳 髙橋 三郎 / 大野 裕
染矢 俊幸 / 神庭 重信 / 尾崎 紀夫 / 三村 將 / 村井 俊哉 / 中尾 智博
発行 2023年06月判型:B5頁:1024
ISBN 978-4-260-05218-4
定価 23,100円 (本体21,000円+税)

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訳者の序/DSM-5-TRの病名と用語の邦訳について/DSM-5-TRへの序

訳者の序
 2021年世界保健機関(WHO)は,ICD-11(International Classification of Diseases)を正式決定し,今後の国際的に公式の精神疾患分類とコードとなった.既に2013年にはその草稿が完成していたが,その後各国との細かいすりあわせや臨床試行などに手間取り,8年後やっと公式採用となった.我が国においても,ICD-11の各疾患の分類と内容解説が,日本精神神経学会の学会誌に連載されている1)
 一方,DSM-5は2013年5月の米国精神医学会(APA)総会で正式承認されていたが,2022年3月になってAPAはそれの本文改訂版であるDSM-5-TR(Text Revision)を刊行した.これまでICD出版1,2年後に米国国内の精神科診療に適応するような追補と小改訂を加えたもの,つまりDSMが出版されてきたが,いち早くAPAがICD-11を先取りする形で,2013年にDSM-5を刊行してしまった.2021年になってやっとICD-11が公布され,世界がこれを公式に用いることになったので,たまたま同年にAPAが刊行したDSM-5-TRはICD-11に対応したものかのように見える.
 DSMシリーズには,診断基準だけを小冊子にまとめた『DSM-5精神疾患の分類と診断の手引』(Desk Reference to the Diagnostic Criteria from DSM-5)と,診断基準よりその解説本文に重点を置いた大冊子である『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)がある.前述の通り,DSM-5がDSM-5-TRと改称したTRとはText Revisionのことで,APAは勿論DSMシリーズ作成に当たってはDSM-III以来,この本文改訂にほとんどの労力を費やしてきた.各疾患の診断基準に続いて,本文には,「下位分類」「関連する特徴」「症状の発展と経過」のような直接その疾患の診断につながる内容だけでなく,「有病率」「危険要因と予後要因」「疾患の機能的結果」「文化に関連する診断的事項」「性別に関連する診断的事項」「診断マーカー」「自殺念慮または自殺行動との関連」「併存症」「鑑別診断」など多岐にわたり,日常の診療業務に直接役立つ,極めて有用な情報を集めている.いわば,歴史的背景や,治療学だけがない精神疾患の大教科書という印象である.
 振り返ってみると,1980年に刊行されたDSM-IIIでは,現代統計学の知識を導入して,因子分析に基づいた診断基準を取り入れ,世界の保守的な精神医学の診断学に革命をもたらしたといわれたが,このことがかえって,DSMとは診断基準のことだという誤解を植え付けてしまったようである.しかし,米国ではDSM-IIIを出発点として,自然科学的根拠に基づいて選別された大規模症例研究が進められて,病因,予後,心理的要因などの研究が進められ,DSM-5-TRは以来40年間の間に蓄積された膨大なデータの集大成としてできあがった.DSM-II(1968)では,各疾患分類の概念的解説のみ,言い換えればICD-8の焼き直しに過ぎないものを付けた,わずか134頁の小冊子に過ぎないものだったが,DSM-III(1980)494頁,DSM-III-R(1987)567頁,DSM-IV(1994)886頁,DSM-IV-TR(2000)950頁,DSM-5(2013)947頁(ただし字と行間を小さくしてその内容は約20%増加),とうとうDSM-5-TR(2021)では1,050頁にまで増補されて,内容も入れ替えて10%増し,となった.
 ここで,本文改訂の中から具体的な例をひいてみよう.うつ病の「診断マーカー」については,DSM-IV-TRでは,「睡眠脳波の異常は外来患者の40~60%,入院患者の90%以上にみられ,ノンレム睡眠3,4段階の減少とレム睡眠潜時の短縮,デキサメタゾンテストの抑制欠如,辺縁系および傍辺縁領域血流量増加と前頭前皮質の血流減少」と書かれていたのが,DSM-5では,「多数の論文が神経内分泌系,精神生理学について記述したが十分な感度と特異度をもってうつ病の診断手段として使用できる検査は存在しない,分子研究により神経栄養因子や炎症性サイトカインの遺伝的変異を含む末梢性要因の関与,MRI研究により情動処理,報酬追求を担う特定の神経系の機能異常の証拠が明らか」と大幅に書き換えられた.これはDSM-IV-TR以降13年間に発表された論文の徹底的な見直しをまとめたものである.
 DSM-5の本文を拾い読みしても総合的な知識が得られる,たとえば,有病率と発症年齢の項目で,不安症のプロトタイプは何かが浮かび上がる.分離不安症:発症年齢1歳前後より就学期以前,有病率4%,選択性緘黙(DSM-5-TRでは場面緘黙):発症年齢5歳未満,有病率0.03~1%,限局性恐怖症:大多数は発症年齢10歳前後,有病率5%,社交不安症:発症年齢8~15歳,有病率7%で年齢とともに減少,パニック症:発症年齢の中央値は20~24歳,有病率2~3%,広場恐怖症:発症年齢ピークは25~29歳,有病率は青年と成人の1.7%,全般不安症:発症年齢の中央値30歳,有病率2.9%.この資料から,不安症の要因として最も重要なものは素因であり,分離不安がその原型といえる.
 DSM-5-TRでの「有病率」の項目で例を挙げると「一般人口に基づいたレビー小体病を伴う認知症又は軽度認知障害の有病率は,一般高齢者人口で0~1.2%,全認知症症例の0~9.7%,地域社会では全認知症患者の4.2%である.ミネソタ州の医療記録に基づいた人口調査で,レビー小体病を伴う認知症又は軽度認知障害有病率は65歳以上で女性より男性が3倍高い」.つまり,今日の精神科診療に当たっては,対応する人およびその家族に科学的証拠に基づいた診断を示す必要があり,さらに医療受給の背景に影響を及ぼしている社会的要因そのものにも多くの矛盾が出てきていることに気づかされる.
 これらの例をあげるまでもなく,賢明な読者諸兄姉におかれては,既にこのマニュアルの「本文改訂」の大きな価値をご存じであっただろうが,それを食品に例えれば,診断基準はチーズを作るときの上澄み液(whey)であり,本文は栄養の塊のチーズそのものである.上澄みにも多少の栄養は残っていて,かつては質素な生活を強いられていたノルウェーの人たちは,上澄みを煮詰めて独特な茶褐色のチーズまがいのものを食べていた.今日ではそれはClassic Brown Cheeseとして店頭に並んでいて,食通の人々の間で珍重されている.
 本文改訂であげた「有病率」以下のこの9項目は,いわば,前の版のDSM-5が刊行されて以降,2013年から2021年までの8年間の世界の臨床症例研究をすべて拾った,この分野の著しい進歩を総説した記述,それも科学的証拠に徹底したものとなっている.この日進月歩の時代に精神科だけが時代遅れの教科書だけを頼りに中核的精神症の人だけを相手にしていてよいわけはない.そのようにDSM-5-TR作成実行チームが伝えているのである.
 もう一つの声,つまり「DSMは10年そこらで改訂されてめまぐるしい.臨床家は一体何に基準を置いて診療すればよいのか」という意見である.例えば,DSM-IIIが刊行されたのが1980年だが1983年には,APAはもうそれを改訂する作業を始めた.その理由の1つが,DSM-IIIの画期的改革に手応えがあり,それが新しい研究を刺激し,著しく多数の臨床研究がなされDSM-III以来7年間に2,000を数える論文があったことである.その成果を取り入れたのがDSM-III-Rであり,その作成過程を振り返り1999年,APAはいくつかの精神疾患に関して「DSM-V研究行動計画」を2002年に出版した.その後,2003年から2008年にかけて米国国立精神医学研究所(NIMH),米国国立薬物乱用研究所(NIDA),米国国立アルコール症アルコール乱用研究所(NIAAA),などの援助を得て,DSM-5とICD-11両者の改訂準備を目的として,各診断カテゴリーについての世界中の文献を検討するため,39カ国から400人の参加者が集まり,13のDSM-5国際研究計画会議を開催した.この会議の報告は,その後のDSM-5作成実行チームによる見直しの基礎となっている2).2006年,APAはDSM-5作成実行チーム委員長にDavid J. Kupfer博士,副座長にDarrel A. Regier博士を指名した.2007年,28の各カテゴリーのまとめ役である28名のチームメンバーを承認,2008年,130名の作業グループメンバーが任命された(この詳細は,「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル」の「序」,および「DSM-5作成実行チーム」,を参照のこと)3)
 最後に,この本の翻訳作業について協力された諸兄姉に心からお礼を申し上げたい.前の版DSM-5の翻訳作業は,2013年6月の第11回世界生物学的精神医学会連合(WFSBP)学術集会(京都)において監訳者の髙橋三郎と大野裕,と訳者を代表して新潟大学・染矢俊幸,九州大学・神庭重信,名古屋大学・尾崎紀夫,慶應義塾大学・三村將,京都大学・村井俊哉の5教授が集まり具体的な作業の進め方を協議し,用語の統一は日本精神神経学会神庭重信・前理事長を座長とする精神科病名検討連絡会の協力を得た3).DSM-5-TRは新たに訳者代表として九州大学・中尾智博教授にも加わって頂いた.それ以外は前例に従い,さきに協力して頂いた協力5大学の約110名の方々に一次翻訳をお願いし,それを監訳者の髙橋三郎が修正加筆したもので,2022年12月中旬から2023年2月までの約2カ月間を費やした.折しも,Covid-19第8波の渦に巻き込まれた時で,自室にこもって静かに続けるこの作業には最適の季節であった.
 今回の企画を担当された医学書院の方々にはきわめて的確に作業を進めて頂いた.訳者を代表してここに感謝の意を表したい.

 2023年6月
 埼玉江南病院にて
 髙橋三郎

文献
1 加藤敏:ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ:各論13,パーソナリティ症および関連特性群,精神経誌124:252-260,2022
2 黒木俊秀,松尾信一郎,中井久夫(訳):DSM-5研究行動計画,みすず書房,東京,2008年7月(David J. Kupfer, Michael B. First, Darrel A. Regier: A Research Agenda for DSM-V, American Psychiatric Publishing, Washington, D.C., 2002)
3 日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳),染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村将,村井俊哉(訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.訳者の序(pp3-5),序(pp15-18).医学書院,東京,2014年6月


DSM-5-TRの病名と用語の邦訳について
 DSM-5の病名と用語の邦訳を決めるため,日本精神神経学会として,「DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン」を作成することが決定され,日本精神神経学会精神科病名検討連絡会(以下,連絡会)が設置された.連絡会は精神科関連14学会・委員会(9頁に掲載)の代表者で組織され,2012年2月に行われた第1回連絡会から総計17回にわたり連絡会議を重ね,ガイドライン(初版)を作成した注)
 病名と用語を決める際の基本方針は,日本医学会の病名用語の趣旨を基礎において,以下の5項目とした.

1.患者中心の医療が行われる中で,病名と用語はよりわかりやすいもの,患者の理解と納得がえられやすいものであること
2.差別意識や不快感を生まない名称であること
3.国民の病気への認知度を高めやすいものであること
4.直訳がふさわしくない場合には意訳を考え,カタカナをなるべく使わないこと
5.原則,病名のdisorderを,disabilityの邦訳として広く使われている「障害」ではなく,「症」と訳すこと

 引き続いて連絡会は,同じ基本方針に則り,ICD-11死因・疾病統計用分類(Mortality and Morbidity Statistics, MMS)β版の病名と用語の邦訳に取りかかった(2016年).草案の作成段階では,日本精神神経学会の会員,代議員,理事へのアンケート(2017年),パブリックコメントの募集(2018年),代議員総会での報告(2019年)を行いつつ,日本医学会医学用語管理委員会,厚生労働省国際分類情報管理室(通称ICD-11室)との打ち合わせを進めてきた.
 ICD-11の病名と用語の邦訳(学会案)が決まったため,DSM-5-TR日本語版の出版に際して,DSM-5-TRの病名と用語に,対応するICD-11の邦訳を用いることにした.DSM-5-TRでの病名か,ICD-11での病名かを区別したいときには,どちらの分類での病名を指しているのかを明記することになる(たとえば,DSM-5-TRでの強迫症の有病率は云々など).
 DSM-5-TRのmajor depressive disorderは,ICD-11のsingle episode depressive disorderおよびrecurrent depressive disorderに該当する疾患カテゴリである.ICD-11ではこれらの邦訳を,「単一エピソードうつ病」および「反復性うつ病」とした.したがって,major depressive disorderを「うつ病」とした.加えて,ICD-11およびDSM-5-TRで用いられているpsychosisやpsychoticは,幻覚や妄想などの症状を指して限定的に用いられている.そこで,とかく誤解や偏見の対象とされがちだった「精神病」の代わりに,「精神症」を用いることにした(例:双極症I型,精神症性の特徴を伴う).
 なお,睡眠・覚醒障害群は,ICD-11では第7章に独立して配置され,本群の病名と用語の邦訳には日本精神神経学会が関与していない.このため本書ではDSM-5日本語版の病名と用語に準じた邦訳を用いている.
 ICD-11死因・疾病統計用分類は,その導入版が2019年のWHO世界保健総会で採択され,2022年に発効した.しかし公式な邦訳は本書の出版時点で政府から告示されていない.今後,一部に変更が加わる可能性があることをご了解頂きたい.

 2023年5月
 日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会
 座長 神庭重信

:日本精神神経学会,精神科病名検討連絡会:DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初校).精神経誌116(6);429-457,2014.


DSM-5-TRへの序
 米国精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版,本文改訂』(DSM-5-TR)は,DSM-5の初めての改訂版として刊行された.この改訂版マニュアルでは,前版のDSM-5診断基準について,70以上の疾患に(主に明確さのための)小改訂を加え,また各DSM-5疾患の解説本文についても,DSM-5刊行以降の文献見直しに基づいて全面的に今日的に書き直したこと,さらに新しい診断である「遷延性悲嘆症」と「自殺行動と非自殺性自傷」を記録するための症状コードを加えた.これらの変更は,以前の本文改訂であるDSM-IV-TRの目指す視点とは異なっており,その版ではアップデートはほとんど本文のみに限定されており,診断基準は全く変更されないままであった.今回は,2013年の刊行以降DSM-5に対してなされたすべての以前からのオンラインによるアップデートを取り込み,その使用,特定分野の科学的進歩,さらにICD-10-CMコードとの適合について言語的な改訂手段によって対応した.
 その結果,DSM-5-TRは,3段に分かれた改訂過程の産物となった.その各々は別々の(重複もあるが)専門家たちに目を通していただいた,つまり,2013年出版の前版DSM-5診断基準および本文はDSM-5作成実行チームを中心としたグループに,アップデートのDSM-5診断基準および本文は文章改訂過程で目通したDSM-5運営委員会に,全面的本文見直しは改訂小委員会に,である.
 精神疾患の臨床的,研究的理解は,進歩を続けている.その結果,DSM-5-TR各疾患の本文のほとんどが,DSM-5前版刊行以来9年間に少なくともある程度の改訂を受け,そのうちの大多数のものは重要な改訂を受けた.最も広範にわたって,アップデートされた本文項目は,有病率,危険要因と予後要因,文化に関連する診断的事項,性別に関連する診断的事項,自殺念慮または自殺行動との関連,併存症,である.さらに今回初めて,DSMの本文全体が人種民族平等と統合委員会の作業グループによって見直され改訂されたが,特に,人種差別経験のような危険要因に対しても偏見のない言葉を使用することになった.将来の定期的DSM-5-TRコードとそのほかのアップデートについては www.dsm.org を参照のこと.
 このマニュアルの参考に役立つよう,DSMとは一般に一つの単位概念としてのDSMを意味し,特定の版を指してはいない(例:「臨床研修と経験は臨床診断を決定するためにDSMを使用するのに必要とされる」).DSM-5は今日公認されている診断基準,疾患,他の病態,および2013年5月に公式に刊行された内容を示す.DSM-5-TRは今回の版で公認された本文を指す.本文改訂の目指すものは,診断基準および他のDSM-5構成に対しての概念的変更は含んでいなかったが,もっと明確さをとの目的で,ある特定の診断基準における変更の必要性が,本全体にわたって本文のアップデートと関連して明らかとなった.基準の概念的構成には変更がないので,DSM-5に始まったDSM-5-TRの診断基準は,今日なおDSM-5基準を指している.新しい診断基準である遷延性悲嘆症は今度の版に追加されたものであり,DSM-5-TRの疾患を意味している.
 DSM-5-TRの作成は,途方もなく巨大なチームの成果である.特にWilson M. Compton, M.D., M.P.E.とDaniel S. Pine, M.D.はDSM-5本文改訂小委員会副委員長として,および200人以上の各専門分野の専門家が,本文改訂の準備作業の膨大な部分を受け持って頂いたことに感謝する.また,Paul Appelbaum, M.D.はDSM運営委員長および,すべての運営小委員会には,本文の注意深い見直しと基準の明確化とをして頂き,他の有用な示唆も頂いたことに感謝したい.特別な感謝は,Ann M. Eng, DSM編集主任に,立案から完成までにわたってのDSM-5-TR作成過程における,また細部に行きわたった配慮がすべてこのような成功となったことに,捧げたい.Nitin Gogtay, M.D.米国精神医学会研究部門長兼医学部門長代理,Diana E. Clarke, Ph.D.研究部門運営主任兼上席研究統計学疫学者,Lamaya, H. Yousif, M.D., Ph.D., M.Sc., DSM作成実行上席主任兼研究員から有益な寄与と援助を頂いた.John McDuffieの指導の下,以下,APA Publishingの方々には,その後の編集出版業務によりこの重要な仕事を実現させて頂いたことに感謝したい.Greg Kuny書籍編集主任,Tammy Cordovaグラフィックデザイナー主任,Andrew Wilson制作部長,Judy Castagna制作部副部長,Erika Parker版権編集,Alisa Riccardi書籍上席編集者,Carrie Y. Farnham書籍上席編集者,Jennifer Gilbreath書籍上席編集者,Maria Lindgren書籍上席編集者,Rebecca Richters書籍上席編集者.最後にSaul Levin, M.D, M.P.A. CEO兼APA医学部門長には,この膨大な本文の見直しを進めるに当たって,援助と助言を惜しまれなかったことに感謝の意を表したい.

 2021年11月5日

 Miochael B. First, M.D.,
 改訂小委員会委員長兼DSM-5-TR編集者

 Philip Wang, M.D., Dr.P.H.,
 改訂小委員会委員長