ChuangAsia2の成り立ち
全10EPで2025年4月6日に終了したChuang Asia2。
アイドルサバイバルオーディション番組です。
2021年に「創造営」という、中国のテンセントビデオの制作でグローバルボーイズグループを作るためのサバイバルオーディション番組があり、そこからデビューしたのが INTO1 。私はこの番組を見ていなかったのですが、日本人やタイ人の参加も多く、しかもタイ俳優のNineやPatrickが出演していたため、私のSNSのタイムラインでその番組にハマっている人たちの投稿をよく目にしていました。
しかし中国では2021年に国内でのアイドルコンテスト番組の制作と放送を禁止しました。
そのため、制作のテンセントは「創造営」から「Chuang Asia」と名を変え、さらにオーディション地をタイに移し、アジア諸国で展開することにしました。
「Chuang Asia」ではガールズグループを、そして今回の「Chuang Asia2」でボーイズグループの誕生させました。
※注 テンセントビデオ 中国の動画共有サービスで、世界向けにWeTV を展開している。
Chuang Asia2
番組プロデューサー
The8(中国人ダンサーでSeventeenのメンバー)
BamBam(タイ人ラッパーでGot7のメンバー)
メンター
Tia Ray(中国人シンガー)
Yaya(タイ人女優・歌手)
Jeff Satur(タイ人俳優・歌手・プロデューサー)
配信
WeTV(VIPでなくても観ることができます。日本語自動翻訳付き)
まずはこれを見て!
私がChuang Asia2で最初に度肝を抜いたこのパフォーマンス!
一番最初、出会ったばかりの練習生たちが自主的にグループを組んでパフォーマンスを行い、それについて一人ずつランク分けされるのですが、これはタイ人の男子たち6人で作った「Super Thai」。
もうなんならこのままデビューして!!
VIDEO
アイドルたちが目指す多様な世界
Hu Yetao
「Chuang Asia2」最初のポイントは、Hu Yetao(中国)の出現でした。
彼は実は「創造営」に出演し、敗退していますが3年経っての再チャレンジ。
番組は、まず自主的に作られたユニットでパフォーマンスを行い、そこで参加者すべてにA・B・C・Fと4段階のランク分けをしていきました。そこでHu Yetaoは韓国人・タイ人ら混成の4人ユニットで出演し中国人女性シンガーの曲でパフォーマンスを行いました。Hu YetaoはそこでAを獲得。
メンター及び練習生たちが彼の美しさを賛美する中、The8は
「普通の男性グループとしてこのスタイルをどう活かせるのか?」と質問しました。
それに対するHu Yetaoの返答。
「グローバルなボーイズグループなら普通のボーイズグループに拘る必要はないと思う。2021年に(創造営に)参加し、僕はボーイズグループを定義しないと言った。3年が過ぎ、人々はたくさんのボーイズグループを見てきた。何故またそれらと同じものをやらなければならないのか。僕たちはもう、以前と同じタイプのボーイズグループを作るべきではない 。」
この返答に練習生たちも沸き立ちました。
何人かのメンターが発言する中、この回のゲストメンターであり中国人俳優アリエル・リンは「あなた自身が特別な価値を持っていることを見出すこと。それが『Chuang(創造)』だ 」と発言。その後も他のインタビューを挟みながら表現の多様性について肯定的に語ります。
BamBamは「人生で初めて、男性を魅力的だと感じた」といい、Yayaは「それは何の問題もない」と付け加えます。
これらのやりとりは、「Chuang Asia2」の意義を象徴していたと思います。非常に感動的でした。
(※これについては、WeTV「Chuang Asia2」 EP2の0:08~0:17辺りで観ることができます)
このハイライト動画は、Hu Yetaoの4人でのパフォーマンスのあとに行われた追加ソロパフォーマンス
VIDEO
Kohi
ジェンダーレスな世界、ということで彼の登場も衝撃でした。
韓国から唯一参加のKohi(韓国)。
「イ・ジョンヒョンだよ!!」と友達がメールで教えてくれました。
顔の区別がつかない私はわからなかったけど、あれほどよく見てた韓国発リアリティショー「ボクらの恋愛シェアハウス」に出演してカップルになっていたジョンヒョン。つまり彼はワールドワイドにカミングアウトしてる人なのです。
ちなみにあの番組では職業をヘアメイク・アーティストと言ってましたが、実は練習生として5年間研鑽していた、ということらしいです。なお「恋愛シェアハウス」ではアイドル研究生だったウン・チャンやダンサーのジョンホ、ドラァグ・クイーンのヒョンなどが登場していましたが、もしかしたら彼らとの交流でジョンヒョンもなにか変化があったとかなのかな。
何故、Kohiが韓国の番組ではなくこのChuang Asia2を選んだのか。ゲイであることを公表済みの彼は、それにふさわしい場所として選んだのがこの場だったのでしょうか。
Kohi、「恋愛シェアハウス」からのファンがついているので投票によるランキングはとても高かったです。却ってそれがプレッシャーになるのではないかと心配していました。しかし結局、彼はそういった以前からのファンの投票だけで残ったのではないと思われます。最初はそれほどダンスがうまくはないと思って観ていましたが後半になるにつれスキルが上がっていくのがわかりました。唯一の韓国人ということで、ある回などは表情が冴えなく暗く感じる時がありましたが、それでも最終ラウンドまで勝ち進んでいきました。最後の回の表情は本当に晴れやかでのびのびとしていました。終了して泣いている姿にも、やりきったあとの達成感が感じられました。
Kohi!次はどんな場所にあなたが立つのかわからないけれど、成功を祈ってるよ!!
Peanut
Peanut(タイ)はEP7「When The Disco」のパフォーマンスの中でとてもいいなと思い応援していたのですが、彼は何と、現在(2025年4月)私が視聴しているドラマ『Top Form』に出演しているのです!タイBLです!!
なんか嬉しいじゃない?!
Jeff Satur
類まれなボーカリストで最終ラウンドのコンサートでは見事な歌を披露したJeff Saturが、この番組のメンターであることは非常に当然のことのように思うのですが、この時、改めて紹介されたJeffの肩書は、歌手でコンポーザーでプロデューサーで俳優。
Jeffを最初に知ったのは私の場合は『KinnPorsche』からですが、考えてみたら彼の出演作品はすべてBL作品なのです。2019年のGameplayくんとの共演の『He She It』から去年初出演した映画『The Paradice of thorns』でもゲイ役です。
さて、思い出してくださいね。
2021年に中国は、アイドルオーディション番組を禁止したのですよ。それは男の子たちが「歌がうまい」「ダンスがうまい」「かっこいい」だけでなく、可愛いとかキャッキャしてるとかそういうことに対して評価されることを政策として禁止した、ということです。
それで場所をタイに移しての、この布陣です。
考えてみたらなんというダブルスタンダード。
男性が美しかったりフェミニンな要素を醸し出していたり、ジェンダーがゲイであったり、俳優の仕事としてゲイ役を真摯に演じているとか、そういう人たちがここには存在している、国の政策として禁止していても、そこに需要があり経済を回し、さらには世界がそれを望んでいる。そういったことをChuang Asia2では端的に感じられたことがすごいと思っています。
アイドル練習生たちが教えてくれるもの
私は昔からアイドルの存在とあまり関わり合いがないと言いますか、特に熱狂したことがありません。
ちょうど同時期に観ていた2024年のタイドラマ『ThamePo』ではアンダーグラウンドのラッパーがアイドルに対して「お前たちショービズのアイドルの音楽なんて偽物だ」とディスります。多分、私もかつてはアイドルに関してそんな風に思っていたと思います。
しかし『ThamePo』を視聴しつつ『Chuang Asia2』を観ていて、彼らがいかに努力してアイドルとしてのポジションを得ようとしているのかが伝わってきました。
歌の巧さ、ダンスの巧さ。そしてそれだけでなく、それを観ている人に伝える顔の表情、体の表情、さらにはその人が持つカリスマ性、語学力、時に可愛さ、時にかっこよさ、などなど。どの人だってみんな素敵なのに、そこから「でもこの人だ!唯一の!」と誰かに思わせる光の輝きは、一体どれぐらい努力したら得られるのでしょう。
アイドルサバイバル番組を観ていて、誰を推すか、ということよりも、人としてどうあるべきか、彼らはどんな人なのか、そういうところに注視して観ています。
例えば、Aguang (中国)。
彼は中国のE-Sports界の覇者だそうです。最初の時点では歌もダンスも他の練習生に劣っています。
しかし元々動体視力が優れているとか身体機能やバランスが優れているとかあると思うのですが、それ以上に彼は、目標を定めたらいかにそこに到達するか、ということを経験的に知っている子だと思うのです。することはただひとつ、練習すること。そこを、何をどうやって練習するのか。そしてどう気持ちを維持していくのか。
そういうことを知っている人が伸びていくのだなあと感じました。
グローバルグループを目指しているということで主に中国とタイ、そして日本、マレーシア、インドネシア、韓国、アメリカなどから集まっていましたが、観ているうちに国民性についても伝わる局面がありました。
たとえば台湾人のDongDongがこう言いました。
「タイ人と組みたい。どうして彼らはあんなに活発でオープンな心を持っているのか学びたい。彼らは本当の自分を見せる勇気がある」と。
中国人練習生には非常に真面目さを感じますが、タイ人練習生にはDongDongが言う通り、明るさとポジティブさが伝わり、その精神性は最終ラウンドになるまでずっと引き継がれます。
例えばみな、もっとも自分を見てもらえるポジションを得ようと沿力しますが、あるパフォーマンスでリーダーとなったDorn(タイ)は早々に「時間がない中で精神的なあれこれはパフォーマンスの雰囲気を悪くするだけだからみなの希望を叶えたい」といい、センターを希望するXiongの意志を優先します。それでも彼はセンターでなくても自分のパフォーマンスを発揮できる自信があるし、実際にそうなるのです。そういう姿を見ているとますますタイの人々が好きになってしまいます。
さて、そこでセンターを得たXiong (中国)ですが、最初の登場から目が釘付けになっていました。
ダンスも表情も、最初の登場から群を抜いてました。繊細でクール。そんなイメージです。
しかし彼の表現が殻を破り切れていないということを最初からメンターたちに指摘されていました。
それが、先のタイ人Dornたちとのパフォーマンスにより変わっていくのです。
彼の魅力は、陶酔能力ではないか、と思います。
Ep7・Ep8では、女性のゲストパフォーマーをフューチャーしたパフォーマンスが披露されます。
そのレッスン動画に、ゲストを入れていない状態で撮られた動画があります。
ゲスト部分は、多分ダンスを覚えるのが早い他のユニットの練習生が代役を務めています。(自分のユニットのパフォーマンスの練習もあるというのに、他のユニットの振りや立ち位置まで覚えるこの代役の子たちが本当にすごい!)
そこでXiongも代役を演じていますが、その陶酔感がすごい!
ファンになってしまいました・・・!
まずは、本番の映像です。
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そしてレッスン動画です。
Xiongの表情にフォーカスして観てくださいね。
もうほんと、この動画めっちゃ推しなんで観てくださいよ―!!これでごはん何杯でもイケる!!
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Xiongが推しかというとそうではなくて、と言うかあまり推すという気持ちで全体を見てはいなかったのですが、フォーカスを置いていたのは実はYao Zihao (中国)のことでした。
ZihaoはEP0での登場でも、最初からカマしてきました。そう、彼はどんな場所でも「カマす」のです。
それは一番最初のパフォーマンスでも表れていました。メンターからの追加ソロパフォーマンスの要請でラップを披露しますが、そこに彼の様々な意欲が現れています。
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Zihaoには最初から強く「勝ちを取りに来ている!」という意思を感じます。
それと同時に「他人のこと」に対してとてもフォーカスしています。
最初の出会いではすごいハイテンションで場を盛り上げようとし、最初のパフォーマンスを見せるHu Yetaoの登場にものすごく大きな声で声援するのも彼でした。そして他人のパフォーマンスに対してとても大きなリアクションを示して応援したり感嘆したりします。
やわらかで柔軟性に満ちたタイ人に比べて、正直、こんな人は息切れしてしまうのでは、と思えてしまいます。
最初の追加ソロパフォーマンスも秀逸で、メンターたちの賞賛を得ます。しかしBamBamとThe8は彼に評価を下すのに時間をかけました。
「君は我々が求める人だ。しかし問題なのは君の態度だ」「自信のあるのは良いことだがこれからの道を考えると態度や行動についてしっかり考えなければならない。何故なら君はこれからただの個人ではなくなる。チーム、事務所、そしてファンを背負う存在になるから」「人としては謙虚であることがとても大切だと思う」と言われます。
私はこれらの言葉が、やんちゃな彼を戒めるというよりは、彼の持つ不安定さを予見していたように感じられます。
最初から最後まで、私はZihaoを注視していました。様々な表情や行動を。最初の大きなステージで転倒するし、最終回でも彼はとても大切な場面で階段で転倒してしまいます。
最初から最後までHu Yetaoを応援し、TikTokの動画ではあえて彼の影に隠れるようなパフォーマンスも見せます。
どこか、自分の意思と外に対する表現に齟齬があるような、Zihao。
実際にそういうタイプの人は私の苦手とするものなのですが、それでも私はZihaoを見続け、そして彼が最終まで残るように応援をしていました。
あ、ちなみにダンスの振り覚えの早いZihaoは、Xiong同様、他チームの女性ゲストの代役を演じています。
これも私の大好き動画なので、ここまで読んでくださった方はか・な・ら・ず観てくださいねッ!
まずは、本番の動画です。
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そしてこれまたごはん5杯はイケちゃう、Zihao代役による練習動画です。
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「推す」と言っていいのか、気になった人は上記の人たち以外にはタイのDornを筆頭にTadalee、Ninja、中国のWuxun、Gorden、インドネシアのBianura、その他最初の段階で落ちていった子たちも素敵な子は何人もいました。残るのはたったの7人。でも応援していた子たちの数はそれ以上でした。
みんなみんな、 「NexT1DE」としてデビューが決まった7人も、そして落ちてまた新たな道を行く人たちも幸せでいてほしい。そこがどんな場所でも。
サバイバル番組でアイドル練習生たちが教えてくれるものは、努力の方法論や気持ちの持ち方、人を大切にする方法、そしてたとえこの日は敗退しても、また明日に向かって立ち上がる意思 です。
毎週、泣いたり笑ったりしながら『Chuang Asia2』を楽しませてもらったこの3か月でした。
もしもこんなものに興味があったら、是非観てくださいね。
彼らのEP1からEP10に至るまでのパフォーマンスと、その原曲MVを交互に入れたプレイリストです。