スイスの山で告白 (ツアコン当時の日記より)
私はスイスが嫌い。何故って? ①料理がまずい ジャガイモとチーズばかりで食事にならない。②寒い せっかく日本は私の大好きな夏なのに。③天気に左右される 晴れていれば何もしなくてもお客様は満足してくれるけど、雨だと何かと神経を使う。 それでも私はお日様には勝てない。そんなわけで、大嫌いなスイスの旅は8名様という少人数のお客様と始まった。 三大名峰の一つ、ユングフラウは全く見えず。二つ目のマッターホルンは到着時曇り 気温は5度。「はぁーっ、なんで私はこんなにスイス雪女なの?」翌日はマッターホルンハイキング。しかも私はエコロジスト系のハイキングなんて性に合わない。日本の湿気のある夏に戻って、ビキニ一つでビーチを徘徊したいものだわ・・。 明日のお天気予報も憂鬱・・。常夏組で寒がりの私はフリースをもう一着買っておいた。そして夜は明けた。予想通り朝から濃い雨雲。 気温2度。「もう最悪~」 出かけたくなかった こういう日は部屋にこもってテレビでもゆっくり見ていたい でも、仕事上そういうわけにはいかない。「おはようございま~す さぁ、みなさま~っ! 今日は楽しみにしていたハイキングでーす! 今日は生憎の曇りですね~ でもでも~、お花はこの時期たくさん咲いてますよ~っ。 今日は足元に注目して歩きましょうね。 ほら、雲は切れてますから午後は晴れそうですね~」 なんて、私らしくないテンションを上げていく。 お客様は単純な方ばかりで 「そうね~、お花が楽しみね~」と一緒に気分を盛り上げてくださる。 でも、やっぱり見たいのはマッターホルン。私は何度でもここへ来て見たことのあるマッターホルン 。お客様はたった一度のスイス旅行かもしれない。なんだか切なくなった。やっぱり顔を出さないマッターホルン。 先頭を切って歩いていた私の足が止まった 。「バカヤローーーッ、マッターホルーーン!!」 山に向かって叫んでみた。やまびこは出なかったけど、我ながらけっこういい声だった。 「Nikkiちゃん、突然どうしたの?」 「いや、叫んでみたくなったんです、失礼しました」 「わはは!面白そう!!私もやってみよう」 新婚の奥様が前に出た。「若旦那さまの給料アーーーップ!!」 グループのみんなが大笑いした。 「なんだか気持ちよさそうねー」 グループの最年長60代のオバサマが前に出る。「ツアーの皆さん、ありがとうーーーッ みんな大好きーーーッ でもうちのお父ちゃんが一番好きーーーーーーーっ!!」 「ひゅう~ひゅう~、山で再告白でーす ご主人様、今のご感想は?」 ご主人様は顔を真っ赤にして「うちの奥様は世界一のお姫様です」 照れくさそうに、はっきりとそう言った。なんて素敵なの?? 私もこんな可愛らしい歳のとり方をしたい。お天気は悪かったけれども、本日はお日様に一勝。ありがとう。そして三つ目の山、モンブランは無事に晴れのお天気の中、その山頂をクリアに拝むことができた。 あー、大声を出すって、気持ちいい! スイスも悪くないわね。 ヨーロッパが面白い〈下〉建築・庭園・美術工芸・歴史・生活 (TRAJAL Books)/紅山 雪夫¥1,728Amazon.co.jpヨーロッパが面白い〈上〉神話・伝説・キリスト教・自然・グルメ (TRAJAL Books)/紅山 雪夫¥1,728Amazon.co.jp