「花様年華」「インファナル・アフェア」などの香港の名優トニー・レオンとテレビドラマ「陳情令」でブレイクした中国の若手俳優ワン・イーボーが共演し、第2次世界大戦下の上海で暗躍する中国共産党・中国国民党・日本軍のスパイたちの攻防をスリリングに描いたノワールサスペンス。
中国・汪兆銘政権の政治保衛部に所属するフーは、中国共産党の秘密工作員だった男ジャンの身辺調査を行う。フーは中国国民党に転向するというジャンから共産党幹部の情報を聞き出すことに成功する。1941年、上海に駐在する日本軍スパイのトップ・渡部は、政治保衛部の主任となったフーやその上司タンと日本料理店で戦局について話す。フーの部下として働くイエは、友人ワンとともに諜報活動に従事していたが……。
2023年・第36回金鶏賞で最優秀主演男優賞(トニー・レオン)・最優秀監督賞・最優秀編集賞を受賞。
舞台は、第二次世界大戦下の上海。
既に満州を統治下に治めた日本軍は、更なる領地拡大を目指し、中国共産党、国民党、日本軍の思惑が入り乱れる激しい攻防戦が繰り広げられていました。
細かく書くとネタバレになってしまうので控えますね。
特に大筋のストーリーや起承転結がある感じではなく、
信用したら負け
騙した側が勝つ
そういう心理的な駆け引きを堪能する作品です。
トニ・レオン様、久々の映画出演!ということで、何もチェックせず鑑賞。
スパイものということで、最初のうちは、ほとんどが会話シーン。
誰がどっちの派閥なのか、敵か味方がさっぱりわからず
眠い……ん~
これはちょっと失敗したかも…
と思ったのですが、後半にさしかかると、次第に動きが大きくなり、伏線が繋がり
「ほーーー!」
「へーーー!」
「え?味方同士だったの?!」
みたいな怒涛の展開で、非常に面白かったです!!
時間軸が錯綜するというよりは、所々に未来のシーンというか、全然関係ないように思われるシーンが挟まれるんです。
その時は「一体これはどういうこと??」って思うんですけど、最後まで観ると全て繋がって「なるほど!」と納得できてとてもスッキリ!
でも「無名」ってタイトル、変じゃない?
原題の「Hidden Blade(隠し刃)」の方がしっくりきます。
★フー(トニー・レオン)
中国政府、政府保衛部主任。
共産党スパイをあぶりだし制裁する役目と、日本軍スパイたちとの駆け引きを担当。
なんか「石坂浩二」っぽいな~
内村光良かなーーなど思いつつ…
★イエ(ワン・イーボー)
フーの部下。
友人のワンとともに
スパイ活動を行っている。
最初の方はあまり活躍しないんです。
イケメンでお育ちの良い部下って感じ。
尾上松也さんに似てるよね~とか思いつつ…
しかし後半、がぜん目立ってきます!
トリー・レオンとガチの乱闘シーンは凄かった!
二人ともスタントなしで演じたそうです。
なかなか体のキレもあり、バトルも強い!
体幹がしっかりしていて、佇まいがシュっとしてるというか(語彙力!)、立ち姿や動きが美しいんですよ。
と思って、あとで調べてみたら……!
男性アイドルグループ、UNIQのメンバーで
メインダンサー、リードラッパー担当。26歳。
え?アイドルグループの一員?
ダンサー&ラッパー??!!
いや~驚きました!
音楽活動だけでなく、色々俳優としても活躍中だとか。
非常に存在感があるし、色気もあるし
これはまさに人気スターですね!納得!
女性スパイとして登場する3人も、とても美しい。
日本人役も中国の方が演じているので、多少カタコトですが、日本人諜報員役のトップ「渡部」を演じたのは、日本人の森博之さん。
詳しいプロフィールは不明なのですが、日本での舞台俳優を経て、現在は中国でご活躍だそうです。
なかなか渋いです。
この時代を描いた作品に於いては、日本の描かれ方がどうしても厳しいものになりますね。
どの作品を観ても、日本軍はかなり非道なことをしていますし、誰にも止められないほどの思い上がりと突っ走り方は、狂気の沙汰。
いつも思うのですが、日本人である私たちが、この時代の歴史をしっかり学んでいないのは非常に問題があると思います。
そして革命が起こらなかった日本では、今でもその「思い上がり」の末裔が、政財界を牛耳ってます。
1990年代~2000年代にかけて、チェン・カイコー、チャン・イーモウといった映画監督によりたくさんの名作が作られました
そして「インファナル・アフェア」に代表される香港ノワールの世界も素敵でしたが、最近はほとんど見られなくなってしまいました。。
久しぶりに観た中国映画。韓国映画とはまた異なる重厚さと迫力がありました。
こちらは1930年代のソウルを舞台とした韓国映画。
一瞬にして生死を分けるスリル。
そして愛と絶望。
映像はどこを切り取っても本当に美しく、音楽も非常に良かったです。