陰陽師 0 | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

 

 

 

 

 

平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明の活躍を描いたベストセラー小説「陰陽師」シリーズを原作に、晴明が陰陽師になる前の物語を、原作者・夢枕獏の全面協力のもと完全オリジナルストーリーで映画化。

呪いや祟りから都を守る陰陽師の学び舎であり行政機関でもある「陰陽寮」が政治の中心となっていた平安時代。青年・安倍晴明は天才と呼ばれるほどの呪術の才能をもっていたが、陰陽師になる意欲も興味もない人嫌いの変わり者だった。ある日、彼は貴族の源博雅から、皇族の徽子女王を襲う怪奇現象の解明を頼まれる。衝突しながらもともに真相を追う晴明と博雅は、ある若者が変死したことをきっかけに、平安京をも巻き込む凶悪な陰謀に巻き込まれていく。
 

 

 





★安倍晴明(山﨑賢人)

 

陰陽寮の学生。
幼い頃、目の前で両親が殺され、賀茂忠行の弟子として育てられた。
陰陽寮に入寮したものの、陰陽師そのものに興味を抱いておらず、授業も真剣に受けようとしない。
両親を殺した犯人は自身の深層意識に封印されてしまっており、それを解明するため、陰陽の知識を利用している。



★源 博雅(染谷将太)

 

醍醐天皇の孫。
雅楽家として高名であり、龍笛や琵琶を始めとする和楽器を自在に弾きこなす。
身分は違えども、なぜか気の合う晴明と、事件を解明したり酒を酌み交わしたりする仲。

 

 

とても清らかな心を持っているので、その笛の音で悪霊を退散させることもあり、そこは清明も認めている。

 

 

 


★徽子女王(奈緒)

 

醍醐天皇の皇孫。
10歳の頃より務めてきた伊勢神宮の斎宮を退いた後、京に戻る。従兄弟である博雅を慕っている。

奈緒さんはとても好きな女優さん。

綺麗で可憐で素敵でした。





基本的に夢枕獏さんの陰陽師シリーズは、主役が源博雅なので、源博雅がストーリーの芯となります。
物語の発端は、徽子女王の琴が夜な夜な音を奏でる怪奇現象の解明から始まり、徽子女王と源博雅の淡い恋模様が描かれます。



 

 


そしてもう1つの軸は、陰陽師の学び舎であり行政機関でもある「陰陽寮」の様子。


漠然と人を呪ったり魔術を使うのではなく、暦や天文を読み解き、香を炊いて感覚を麻痺させたり、一種の催眠術、思い込み、などを利用して呪術をおこなったように見せるのが陰陽道。
いわゆる特殊能力ではなく、具体的な手法を説明しているのが新鮮でした。

市井の人々は、今よりもっと呪いや占いを信じていただろうから、コントロールしやすかったでしょう。

 

 

 

 

陰陽寮は、日本の律令制において中務省に属する機関のひとつ。
占い・天文・時・暦の編纂を担当する部署です。

各種専門の先生(博士)がいて授業のシーンがあり、その描写がハリーポッターの「ホグワーツ魔法魔術学校」っぽくて面白いんです。

 

 

 

 


陰陽頭

藤原義輔(小林薫)

 

 

長官として陰陽寮を統括し、天文、暦、風雲、気象のすべてを監督する。
陰陽寮のトップである陰陽頭であり、帝の陰陽師「蔵人所陰陽師」に最も近いとされる陰陽師。


その下には、4人の博士がいます。


陰陽博士  

賀茂忠行(國村 隼)

 

陰陽師を養成する陰陽博士、暦家としても名高く、陰陽寮では教師として陰陽道を教えている。両親を亡くした晴明の育ての親であり、出世欲が見られない晴明のことを案じている。

 

 


天文博士 

惟宗是邦(北村一輝)

天文観測に基づく占星術を行使・教授する天文道の専門家。

 

 


暦博士

葛木茂経(嶋田久作)
暦の編纂・作成を教授し、五行についての授業を受け持つ。

 



漏刻博士
時間管理の主担当者。漏刻(水時計)を管理して時間を司る。



その下に、博士を目指す「得業生(とくごうしょう)」があり、さらに下には一般学生として学ぶ「学生(がくしょう)」がいます。



このような階級制度ですから、万年「学生」の人もいれば、早く出世する人もいます。

 



平郡貞文(安藤政信)

 

農家生まれの45歳で万年学生。

故郷に残してきた母を助けるために帝の陰陽師となるべく得業生を目指しているが、才能もなく将来を焦っている。
 

 


橘泰家(村上虹郎)

成績優秀な得業生ではあるが、上から目線の傲慢な性格の持ち主。


この二人の関係(いじめ)や、真面目に学ばないのにエコ贔屓だと嫉妬される安倍晴明。

学生たちの確執も大きなテーマです。

 

 

 

 

今作に関しては、魑魅魍魎や悪鬼退散といった妖術、悪の道に堕ちた陰陽師との対決、ではなく、自分の深層心理だったり陰陽寮内の揉め事を扱っています。





CGも多用していて綺麗なんですが、ちょっとアニメっぽい感じに寄ってしまったのは残念。
ファンタジックだけど、あまり深味はないですね。

 

 

 

 

 

 


気になったのは、女性の衣装が中国っぽいこと。

 


同じく夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を原作とした映画「空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎」に近いですね。

 





中にタンクトップのようなものを着て薄物を羽織っているだけなのでちょっと軽すぎます。
十二単の重さが欲しかったな。徽子女王だけでも。

 


平安時代の女性の髪形「大垂髪(おすべらかし)」は、肩とか背中のあたりで結んでまとめますが、それをせずバサバサの下ろし髪にしているのもちょっと気になりました。

 

 



醍醐天皇の第十四皇子である帝(板垣李光人)

 

兄の朱雀天皇崩御後に村上天皇として即位。従兄弟の博雅から龍笛を教わっている。
李光人君は雰囲気があって良かった。
やや女たらしの遊び人なんだけど、ゲスい感じじゃなくて


 

 

 

 


山崎賢人君は見目麗しいし、透明感もあって俗世に執着がない、というキャラ設定にh合ってると思うんだけど、走っている馬に飛び乗って疾走するとか、ワイヤーを使ったアクションで格闘、はどうなのかな~?

 

山崎君だからアクションシーンを入れたかったんでしょうけど、いくら若者時代と言えど、もう少し「雅」な存在でいて欲しかったですね。

 

天才的な能力を持ちながらも、出世には全く興味なし。
いわゆる不良っぽい男の子が学生服を着崩す感じなんでしょうけれど、一番上に着る「袍」の襟元を留めないでいつも開けているのがとてもだらしなく見えて、凄くイヤでした。

 

 

 

 


「袍」の幅広い袖には、紐が通されていて、これをギュッと引き絞って両端を結び、頭の後ろに回すと、袖が邪魔にならず戦闘態勢になるんです。そういう描写も、入れて欲しかったな。



 

 


後から作られた逸話でしょうけれど、安倍晴明はあまりにも能力に優れていたため「狐と人間の女性との間に生まれた」と言われ、普段は人をくったような飄々としたキャラ。
私としては、目線ひとつ、印を結ぶ指先だけで、何かを起こすような神秘的な雰囲気と、所作の美しさが際立っているのが理想なんです。

やっぱり野村萬斎さんのイメージが強いし、

 

 

歌舞伎でもそういう設定が多いので。








やはり山崎賢人君は「キングダム」や「ゴールデンカムイ」の方が適役だと思います。
それにこの「陰陽師」までシリーズ化されちゃったら、大変すぎますよね!

 


あ!でも最後に(陰陽寮の博士たちに対して)「お前らなんか、相手にもなんねぇ」って感じで覚醒したシーンはカッコ良かった!!