卵型のポッドで赤ちゃんを育てる新時代の妊娠と向き合うカップルを描いたSFコメディドラマ。
AIが発達した近未来のニューヨーク。ハイテク企業で働くレイチェルは、大企業ペガサス社が提案する新しい妊娠方法に心ひかれる。それは出産までの10カ月間、持ち運び可能な卵型ポッドで赤ちゃんを育てるというもの。しかし植物学者として自然界の多様性を守るべく日々奮闘しているパートナーのアルビーは、自然な妊娠を望んでいた。やがてペガサス社の子宮センターを見学したレイチェルはポッド妊娠への思いを募らせていき、アルビーも彼女のまっすぐな愛に突き動かされて一歩を踏み出すことを決意。2人はポッド妊娠だからこそ生じる不安や困難に悩みながらも、手を取り合って進んでいく。
う~ん。ちょっと微妙かな。惜しい感じ
植物学者で自然派のアルビー(キウェテル・イジョフォー)と、完全にAIに馴染んでいるレイチェル(エミリア・クラーク)夫婦。
序盤から窓の開閉も朝食の準備も、今日の服装も全てAIがアドバイスしてくれて、それに従うように服を着たり、職場でもデスクに座らず、ルームランナーで歩きながら仕事をしたり。
家庭でも仕事場でも全て監視されているんだけど、もはやそれが当たり前で窮屈とも思わない人たち。
デスクに目玉おやじがいます。
研究機関の植物園でないと、リアルな木がありません。
学生たちは恐る恐る木に触ったり、もぎたての果物などは「キモイ」といって口にしません。
でも私たちもすでに、もぎたての果物なんか食べられませんよね。
街には「酸素スタンド」みたいなのがあって、新鮮な空気を吸ったり
自然ポッド(海辺の風景が流れ、植物に囲まれ、自然の音が流れている)でリラックスするなどなど…
いかにもありそうというか、あと10年ぐらいしたら当たり前に利用しているかもと思える光景です。
卵型の容器に人工受精卵を浮遊させて満期まで胎児を育てる装置が開発され、卵子と女性自身の幹細胞から子供が作れるんです。
ただし、男の子が欲しいときだけ男性のY染色体が必要らしい。
子供というよりクローンみたい。
もちろん、費用もお高いので、ポッドを利用するのは、裕福で意識高い系のカップル。
キャンセル待ちの人も多く、このシステムを利用できるということは、一種のステイタスでもあります。
栄養は何を与えるか、味の好みも様々
音楽や映像などの刺激を与える環境
こういうのも全部アプリで管理するんです
もはやたまごっちだよね、これは。
夫のアルビーは、もちろん「自然分娩派」であり、ポッドでの妊娠にはかなり懐疑的だったのですが、在宅で仕事をしているため、ポッドとかかわる時間も長く、次第に母性(父性?)が目覚め、外で働いているレイチェルよりも真剣に妊婦生活にいそしむようになります。
このシステムを管理しているペガサス社の代表というのが、まぁそこはかとなく胡散臭いんです。
妊娠・出産は女性にとって非常にリスクの大きい出来事ですが、ぶっちゃけ、生まれた後の子育ての方が何十倍も大変なんですよね。
「妊婦の時は楽だったな…」ってしみじみ思いますから。
そうなってくるともう、「子育ても全部AIにやってもらいましょう」ってことになるし、まるでペットを飼うように子供を買うようになるかもしれません。
ペガサス社では幼稚園も経営しているんですが、そこにいる子供たちもなんだか画一的でロボットみたいなんです。
「ポッドで生まれた子は夢を見ない」なんて症状もあるらしく、そういうのはオプションで対応するんですよね。
ただ、ラストがあまりにもあっけなくて「なんじゃそりゃ?」って感じになります。
いや、自分たちで勝手に進めるにしても、赤ちゃんの扱いが雑すぎないか??
私としては、このポッドで育った赤ちゃんには特殊なDNA操作がされているんじゃないか、と思って観ていました。
例えば、「犯罪を犯さない」「攻撃性が少ない」といった、ある種ロボトミーのような遺伝子が組み込まれているとか、何か軌道を外れた行動をすると抹殺されるとか。
どんでん返しとしてそういうSF的な要素があると思ったんですけど、全然で、かなりあっけにとられたというところです。