新春浅草歌舞伎 | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

2016年以来、2年ぶり。
その前に見たのは2014年で、まだ猿之助さんや愛之助さんの出演だったから、いきなりの若手公演。まぁ頑張っているけど余りにも落差があって、ちょっとまだまだすぎるな~と思っていましたが、彼らもこの2年間、様々な本舞台に出演して、どんどん力を付けてきましたね。
特に御浜御殿綱豊卿と京人形が素晴らしかったです。

 

●義経千本桜 鳥居前

2014年5月、明治座でも若手の鳥居前をみました。
忠信→歌昇 静→米吉 弁慶→種之助 義経→隼人 という布陣。
この時に比べると格段に成長した感じはありましたが、どうにも種之助君の義経が子供っぽく見えちゃって。
五月人形みたいなんですよね。
背丈のことを言うと可哀そうなんですけど、最近の役者さんはみんな長身で顔も小さいので、その中でこの兄弟はちょっとハンディがあるな~と思ってしまいました。
それに、内容より様式美が優先するような芝居は、若手には難しいのかもしれません。
巳之助さんの早見藤太は、ワンピースのボン・クレーなどコミカルな役を演じたからか、芝居に柔らか味がでてとても良かったです。

「出オチ」ってほど受けないですけど、こういう役ってハマっていないとみてるの辛かったりしますから。
隼人君の荒事は珍しいですね。でも長い手足を存分に使って大きさが出ていました。
最後の狐六方での引っ込みも立派!
これもワンピースのイナズマなんかの影響あるなのかな、と思ったりして。


●元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿

真山青果だし大丈夫かしら…と思ったのですが、意外と現代の演劇に近いからか、セリフや芝居にも違和感がなく、ストレートに気持ちが伝わってきて感動しました。
仁左衛門様に絞られたんでしょうね。
とても初役とは思えないぐらいの大熱演。
松也さんは、本当にどっしりと芝居の中心を支えられるようになりました。
いずれ松浦の太鼓や一力茶屋の大星由良之助なんかもできるんじゃないかな、と思えるぐらい。
姿はもちろん、声がとても綺麗なのが良いですね。
彼は歌も上手いし声優もバッチリだし、器用ですね。多分耳が凄く良いんだと思う。
ただ、最後の能装束の時のバランスが!!
仁左衛門様の綱豊卿が目に焼き付いていましたので…
巳之助君も、落ち着いていろんな役柄を演じられるようになってきました。
ただ、怒鳴ると声がこもってしまって何を言っているか分からなくなるのが惜しい。
以前より大分少なくなったんだけど、やっぱりテンションが上がってくるとどうしても。
米吉君は余裕ですね~。でもちょっと余裕の感じが出ちゃってるようにも見える。
頭一つ飛びぬけているのは間違いないので、またさらに上のステージに登って行って欲しいです。
新悟君も、良く通る声と背の高さを活かして、御祐筆江島という権威もありつつ心配りのできる女上司がハマってました。
今回の演目ではこれが1番でした。

若手だけで、あの舞台を引っ張っていけたのは素晴らしい!


●操り三番叟
これは染五郎さんや勘九郎さんのイメージが強いので、まだちょっと物足りなかったです。
顔も含めて上半身の動きはとても良かったんですけど、足が浮いてないんですよね。
この舞踊は、どちらかというとバレエに近いような気がするんです。
上から吊るされているんだから常にフワっと浮いているような。
足元がもそもそしちゃうと、人形っぽくなくなっちゃう感じがします。
梅丸君の後見は落ち着いていて立派でした。

さて、たい焼きなんぞ食べて、夜の部です!

 

 

●引窓

歌昇さん、頑張ってたけど、途中眠気が…
話長い!って思っちゃって。
久しぶりの通しだったからそろそろ疲れが(苦笑)
う~ん、これはやっぱりもう少し大人の渋みが欲しいところです。
米吉君の女房お早は、出てきたときにパ~っと華があって色っぽくて引き込まれました。
雀右衛門さん、孝太郎さんでもこの演目は見ましたが、廓あがりの隠しきれない艶やかさ、という点では米吉君に軍配!


●京人形
夜の部ではこれが一番良かったです。
巳之助君の、柔らかくコミカルで可愛らしい甚五郎。
結婚したからかな~、なんか巳之助君一皮むけた感じがします。
ちょっとギスギスっていうか尖がってるところがまろやかになって、大人の雰囲気が出てきました。
女房おとくの種之助君もすっごく良い!!三役でこれが一番良かった。
ニコニコしていて、ユーモアがあって、とってもいい奥さん。
だって、ダンナが廓の太夫に入れあげちゃって、等身大フィギュア作っちゃって、それと一緒に酒を飲むから、お前は仲居になってお酒持ってきて!って言うんですよ。
普通なら奥さん怒っちゃいますよね。
でもノリノリでやってくれるんです。かわいい~。
クールビューティー新悟君、もう人形にピッタリ!!
結構背丈が大きいところも、人外な感じがして良いです(笑)
全然瞬きもせず、1点を見つめての人形振りもバッチリ。
太夫の鏡を懐に入れると女性っぽくなる、なんてストーリーもファンタジックで微笑ましい。

ラストは、急にお姫様を匿ってたとか、大工道具で立ち回りとかちょっと訳わかんなくなります。

 

今年の観劇始めは、浅草からでした。

ここ数年でメキメキ成長しているな~と本当に嬉しく思います。

浅草歌舞伎、あと10年ぐらいはこの年代でやっていくのかな。

本公演でメインの役を演じる機会も多くてとても恵まれた環境だし、次世代の花形を背負うメンバーとして、益々精進してもらいたいですね。