四月大歌舞伎 昼の部 | akaneの鑑賞記録

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2月3月と幕見が続きましたが、今月はがっつり昼夜観ました!

「松寿操り三番叟」
以前の染五郎さんのは動画でしか観ていなくて
ちゃんと舞台で観るのは今回が初めて。
顔が小さいから余計に人形っぽいですよね。
目の下、涙袋の所を白く塗ってからアイラインを引くから
三白眼っぽい眼になるんだなー。
ちょっと変な方向に曲がる手の動きとか、
勢い余って頭がフルフルするところとか
すごく操られ感出てました。
目が死んでるというか感情はないんだけど
ちょっと寂しそうな雰囲気もする人形でした。
若いころはもっとアクロバティックな動きもできたのかもしれませんね。

松也さんは糸を捌くところ、少し雑な感じがしましたが
千秋楽も近いのでかなり息は合っていたと思います。

「不知火検校」
3年前、新橋演舞場でも拝見して面白かった記憶あり。
小僧の按摩から検校になっていくにつれて
体つきというか使い方が変わっていくのがすごいな~と。
復活狂言だった前回よりも、幸四郎さん自身の作品にまとまっていた感じ。
生首の次郎は染五郎さん。
出会いの時は股旅姿。
先輩方がみんな「グレーの股引」を履いているのに対して
生脚!太ももーーーー!素敵。
昔からあるんでしょうけれど、あのコーディネート最強だわ。
超ワルの富の市を一瞬で丸め込んでしまうスマートさ。
「もっとアクの強い悪人でないと」という意見もありますが
主役は富の市だし、実行犯は2人いるし
それらを裏で操るっていうか、人が死のうが金が降ってこようが
全く意に介さずっていうクールな感じが良かったと思います。
手引きの幸吉になったら、表向きは専務みたいな役回りですもんね。
スマートでそつない表の顔と、悪事をプロデュースする裏の顔。
彌十郎さん、ワルなんだけど、請け負った仕事しかできない人。
弟の玉太郎、新橋の時は多分亀鶴さんだったような。
かなり陰にこもるというかで繊細で本当に神経がもたなくなるようなヤバイ人だった。
松也君はもうちょっと可愛らしい感じ。甘えん坊っぽい気弱な感じ。
出番は少しですが、指物師房五郎の錦之助さんが良かったです。
いかにも町人、気風のいい職人さん。
検校が出かけた隙をみて、おはんとイチャイチャ。
その切り替えがとっても自然で笑っちゃう。
「検校のところに行ってからのお前の体は…」とか、かなりきわどいセリフがあったよ!
それにしても富の市は、二人を殺して運ぶために
長持を作ったんでしょうか?何か他の意図があった?
岩瀬藤十郎の友右衛門さん、そのお人好しで能天気具合が抜群でした。
四谷怪談の時の伊藤家のご主人もマイペースぶりが凄かったし。
女性陣(といってよいのか)もみんな素晴らしかったです。
孝太郎さんのおはんは、キャピキャピツンツンしてる娘から
超絶に色っぽい女に変身、湯上り姿とか目を見張ります。
ヤラレ損の魁春さん、初代検校奥方の秀調さん、
品良くしてるけどお金に目がないおはんの母、秀太郎さん
次郎のオンナである夜鷹宿おつまの高麗蔵さん!!
みなさん「江戸の女」の雰囲気ムンムンでかっこいいなぁ。
高麗蔵さん、超色っぽい。そういう商売のオンナって感じする。
1つ難点をいうと、ともかく場面転換が多い。
休憩30分を挟んで2時間半の芝居で、15場ぐらいあったかな?
その都度暗転したり幕がしまって、セットの建て込みをする。
その間、多分2~3分ぐらいだと思うんですが、
トンカントンカンや舞台さんの声とか聞こえると
やっぱり気持ちが醒めるんですよね。
10分ぐらい観て転換、みたいなのが続くとちょっと集中力が途切れるというか。
現代劇の演出はほとんど転換に時間をかけないので
その辺が少々気になりました。

「身替座禅」
仁左衛門さんの右京は初めて。
いかにもお上品なお公家様というか
ちょっと大蔵卿入ってるかな。
なんかもう憎めないっていうか可愛い。
奥さんダマして浮気女の所に行くんだけど応援しちゃう。
でも「お断りします~」の太郎冠者に対して
「成敗してくれる!」って脅すところ、「富樫か!」って思っちゃった。
いきなりイケメンすぎるよ。
奥方は左団次さん。今までで一番迫力あって怖かった。
だってあの声だもん。
ホントに八つ裂きにされそう(笑)
太郎冠者は又五郎さん。もう安定ですよね。
年齢的にもこの三人だととてもバランスがいいです。
若い太郎冠者だと「ちょっと頭の足りない子」って感じなんですが
又五郎さんぐらいになると「この夫婦の下で長年苦労したのね」って思っちゃう。
米吉君が千枝なんですが、絶対痩せたと思う!!!
あごのラインがシュッとしてて、おおーー?!って何度も観ちゃった。
1階なのにオペラグラスでガン見しちゃった。
ますます綺麗になって…。
この狂言、このところ毎年やっている感じがしますが
演じる役者さんは、わりと選ぶように思います。
やっぱり一番は17世18世中村勘三郎さんでしょうか。
ちょっと下世話な風味もありつつ下品にならず愛嬌があって。
菊五郎さんだと根っからの遊び人みたいな風情が漂うんだよね。