ユキナちゃんが転校してきても、リョウタの態度は変わっていなかった。いつも通り、
意地悪で、私に笑いかけたと思うと、頬をつまんできた。

「リョウタ…いひゃい…」

そんな私を見て、おもしろそうに笑った。

だけど、やっぱり心臓がズキリといたんだ時はきた。

それは、授業をしている時の事。ユキナちゃんは、教科書が間に合わなくて、困っていた。
私が貸してあげようとするよりも早く、リョウタがかしてあげたのだ。

すると、ユキナちゃんは、小さい声で、

「ありがとう…」

とつぶやき、上目づかいで笑いかけた。 すると、リョウタは、照れくさそうに、髪をかいた。

(リョウタ…やっぱりユキナちゃんが好きなの…?)

そう思ったとき、胸がすごくいたんだ。

覚悟はしていたけど、本当に辛かった。

休み時間、耐えられなくなった私は、トイレで声を殺して泣いた。

教室に戻ると、リョウタが、

「おいリン、目が赤いぞ。どうかしたのか?」

と、私に声をかけてくれた。けれど強がって、

「えーそんな事ないし!!」

と言ってしまった。このとき素直に、いえば良かったのかもしれない。

私達が話していると、ユキナちゃんがきて、

「リョウタ君、どうしたのー?」

と話しかけてきた。

「別に。それより、お前もおればっかりじゃなくて、他のやつに話しかければ?友達出来ねーぞ。」

リョウタは、ユキナちゃんにも“素”の自分を見せていた。それが苦しい…

「私、勇気なくて…」

「大丈夫だよ。例えばこいつとか。」

と言い、私をユキナちゃんの前に立たせた。

「へ?」

「…あ、あの…こ、こんにちは…」

「え?うん、こんにちは!あのさ、ユキナちゃんは何か気をつけてる事とかある?」

「え?」

「だって、めっちゃきれいだもん!ぜひとも教えて~」

「べ、別にないよ…あの、名前は?」

「あたし?あたしはリンだよ!」

「リンちゃん、あのさ、どうしたら背が大きくなれるのかな?」

「へ?何で?」

「すごく背が大きくて、スタイルいいんだもん!」

「あはは~何それ~」

(ユキナちゃん、面白いし、いい子だな…)

嬉しかったが、そんな子だからこそ、リョウタも好きになっていってしまうのかな。

恋は、甘いだけじゃないんだ。苦くて、意地悪なんだ。

そんな恋に、私はどう向き合うの? わかんない…苦しい…リョウタ…



つづく