無税国家という無責任な言論 | 「国家戦略特区」blog

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ポスト・グローバリズムの社会を考察。日本を貧しくする移民=外国人労働者受入れ政策に警鐘を鳴らしています。

「ブラック企業で虐げられたワーキングプアの皆さんの中には無税国家やベーシックインカムに希望を託す方もいるかも知れませんが注意が必要です」

『嘘とデマの無税国家論の落とし穴とは?

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『国民負担率での論考が前提』

 
 無税国家論についてですが、税にばかり目が行っては駄目で、本来は「租税+社会保障負担」のセットで考えるべきでしょう。下図は財務省作成の世界各国の租税負担率+社会保障負担率=国民負担率を表す図で、青色が税で黄色が社会保障負担です。国によって比率に違いがある事がわかります。オーストラリアやデンマークは殆ど税のみで、日本は社会保障負担率の割合が比較的高い国です。仮に無税国家を唱えるなら、国民負担率を0%に出来るか?という論点が必要でしょう。
 

『日本国は180兆円ものマネーを民間から吸い上げている』

 
 財務省作成の資料を見ると、国民負担率は対GDP比の32%で、国民所得比の42.8%となっており、租税+社会保障負担の合計は約180兆円もの巨費となります。昨年の政府の税収だけ見ると62兆円なので、無税国家云々の議論が出るのでしょうが、180兆円のも国民負担を実質ゼロにする事が机上の空論なのは、誰の目にも明らかです。無税国家論を語るのは、租税+社会保障負担の合計である国民負担率で考えるべきです。
 

『米国の給与税とは年金負担』

 
 トランプがコロナ禍で一時期減税を検討した給与税ですが、実は日本では年金保険料を意味します。米国では年金が給与税(正式名称は連邦社会保障税)として徴収されているのです。考えてみれば直ぐに分かりますが、別に年金や医療保険を、日本のように社会保険料として徴収しようが、米国などのように税として徴収しようが、どちらでも構わないのです。無税国家論の最大の落とし穴は、この部分です。日本で税を全て廃止し、代わりに社会保障負担を倍増されたら、実質的に庶民からすると今より酷い重税国家となりますよ。
 

『無税国家論=非武装国家論』

 
 ネット上で私が何度注意しても一切反省せず間違った言説を垂れ流す自称経済評論家の池戸万作さんという方がいるのですが、やたらと無税国家を連呼し、積極財政界の新たな殴られ役(=上念司や高橋洋一や田中秀臣の如く緊縮論者の明石順平などに論破され積極財政を貶める役割を担う)となっています。無税国家論を客観的に評すると、非武装国家論に似ています。憲法9条万歳のお花畑サヨクが、軍隊が無くても平和が維持できる!と同じで、税がなくとも国家が維持できる!と妄想する訳ですね?
 

『Twitterは問題が多いSNS』

 
 ツイッターはブログのコメント欄を独立させたような機能を持つSNSですが、私はアカウントを持っていません。政経論をツイッターで語ると、気の利いたセリフを吐いてマウンティングする道具となる危険性が有るからです。ツイッターで情報発信する方は、自身のブログを開設し、定期的に持論をまとめるのが良いと思います。そんな感じの事を池戸万作さんに以前注意したら、noteを開設したのですが、これがまた酷い内容でした。
 
 

『造語による自説の捏造』

 
 高等教育でまともな論文の一つでも書いた経験のある方なら、説明不要ですが、用語の定義とは、極めて重要です。勝手な言葉を創作し、それを拠り所に自説を展開するなど言語道断です。ところが、池戸万作さんは、無税国家を実現可能と見せ掛ける為に、「消費税無税国家」とか「所得税無税国家」とか「法人税無税国家」とか地球上で一度も見たことの無い言葉を、新たに「でっち上げ」持論を展開したのでした。
 

『米国には消費税が無い』

 
 「消費税無税国家」なる文言がナゼ言語道断かと言うと、米国では、今も日本の消費税に相当する付加価値税が存在しません。消費税無税国家なる文言に正統性があるなら「アメリカは無税国家」との議論が普通に行われるべきですが、そのような議論は皆無です。日本も平成元年までは消費税がありませんでしたから、「昭和の日本は無税国家」と吹聴するクズはいません。極めてミスリーディングな言論だと言わざるを得ません。
 

『税の形を取らないが実質的には租税という存在を忘れるな!』

 
 また無税国家が可能か?という検討過程で見落とされがちなのは、日本の高速道路料金やNHKの受信料も、事実上、高速道路利用税であり、公共放送税だという事です。建設国債を発行して高速道路を無料開放する事も可能ですし、NHKの経費を国家予算から支出しNHK受信料をナシにしても良いのです。また太陽光発電に関連して、我々の支払う電気料金の上乗せ分も立派な税の一種です。このような目に見えない税が、社会には多く存在する事実を、無税国家の議論では、見落としては駄目です。
 

『在日米軍基地ゼロの邪魔』

 
 無税国家論と非武装国家論の似ている点は『グローバル化した現代社会では軍事力など無用の長物で、形式的に存在しても本来は必要ない!』というお花畑リベラルの考えと、無税国家論の『税など無くても大したインフレ率にならないから無くして良い!』という意見は、相似形なのが分かるでしょう。私は、日本の防衛費を大幅に増やして在日米軍をゼロにすべきと提唱していますが、軍など無用の長物だから米軍基地はいらない!という意見とは、全く違う視点なのはご理解いただけると思います。
 

『消費税ゼロの邪魔』

 
 20年以上続くデフレに苦しむ日本を救うには、消費税廃止が最も効果的な政策ですが、私は無税国家が可能とは考えていません。むしろ政府が、国防や福祉や教育や防災などの財政出動を劇的に増やす上で、無税国家論は、非常に危険な思想と捉えています。また無税国家論などの全く整合性のないデタラメな理論は、財政破綻論者の格好の攻撃材料となり「殴られ役」は確実です。消費税ゼロを実現する上で、無税国家は邪魔なのです。
 

『租税ゼロは公的部門の全てを民営化すれば可能』

 
 仮にですが、現在政府が担っている様々な公的部門を、全て徹底的に民営化し、それぞれ料金を国民から直接徴収する形にすれば、租税をゼロにする事は理論的には可能でしょう。租税を全て社会保障負担に移行させると表現すれば分かりやすいでしょう。防衛は民間防衛会社、警察は警備会社などに民営化させるのです。正に竹中平蔵さんが泣いて喜ぶ究極のネオリベ国家が誕生しますが、国民の実質的な税負担は、民間企業の株主が中抜きする分、今より遥かに実質的な重税国家となるのは間違いナシです。
 

『ベーシックインカムと並ぶネオリベ思想の疑義が濃厚』

 
 中央銀行に全住民が口座を持ち、キーストロークマネーで毎月数万円の給付金を受け取るが、実質的には雇用主への補助金となり、時間が経てばワーキングプアが激増するベーシックインカム。国家のあらゆる機能を民営化して、租税を形式的に廃止するが、実質的な税負担は今より激増する無税国家。このようにベーシックインカムと無税国家は、共に国家解体のネオリベ思想なのは明白です。元々個人では出来ない事を、皆が力を合わせて行うのが国家なのですが、その国家を解体し、弱いバラバラな個人に還元するのが、ベーシックインカムと無税国家の正体なのです。
 
 

 

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