悪の帝国ドイツ | 「国家戦略特区」blog

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ポスト・グローバリズムの社会を考察。日本を貧しくする移民=外国人労働者受入れ政策に警鐘を鳴らしています。

『書評:『ドイツ帝国』が世界を破滅させる』


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『無自覚なネオリベ・グローバリズム帝国』


バブル崩壊後のデフレに苦しみながら長期停滞を余儀なくされている日本に対し、同じ敗戦国であるドイツ経済は好調に見えます。新自由主義(ネオリベ)やグローバリズムが成長の足枷となっている日本と違い、ドイツは上手く時流に乗っているようです。本書はその疑問へのエマニュエル・トッドからの回答です。

『ヨーロッパとはドイツ帝国である』

ソ連崩壊を人口動態調査から預言した事で知られるエマニュエル・トッドによるドイツ分析は明確です。我々が慣習的に『ヨーロッパ』と呼んでいる地域の実態は『ドイツ帝国』だというのです。しかも、ドイツ帝国は、ドイツ本国を頂点とした明らかな階層構造を持っている極めて不平等な帝国だそうです。

『アメリカはドイツ帝国の番犬に過ぎない』

主に米軍の核兵器を活用した『
NATO』による軍事力によって、ドイツ帝国は安全保障上統合され域内紛争の危険性は排除されています。『EU』というグローバリズムによって排他的な巨大市場がドイツの支配下に置かれ、『ユーロ』という共通通貨によって緊縮財政が各国に強要されるという三重構造が特徴です。

『ドイツ帝国における各国のポジション』

トッドは、ドイツ帝国内の各国の役割が異なる点を明らかにしています。ドイツ本国/ドイツ語を用いたり文化的に近いドイツ圏/フランスなどは自主的隷属/ポーランドやスウェーデンなどのロシア嫌いの衛星国/スペインやギリシャなどの事実上の被支配/ウクライナは併合途上/英国は離脱途上と分類しています。

『ドイツ人を頂点とするアパルトヘイト帝国』

ドイツ帝国の民主主義的な問題は、選挙権を持つのがドイツ人だけという点です。アメリカ人であれば、民族に関係なく議会への投票権を持ちますが、ギリシャ人やスペイン人はドイツ帝国においてなんら決定権を持ちません。これはかつての南アフリカのアパルトヘイトと同じではないかとトッドは皮肉ります。

『東欧や中欧を搾取するドイツ帝国』

ドイツ帝国の経済が好調な理由として、ドイツ本国に比べ、非常に貧しく安価な労働力が入手出来る東欧と中欧を
EUやユーロに加盟する事で囲い込んだ点を指摘します。これらの地域はかつてのソ連圏の国々であり、共産主義の遺産としての高いレベルの教育が施された遺産が、ドイツ帝国を潤しているというのです。

『ドイツ帝国が一方的に富を収奪する仕組み』

ドイツ帝国では、貧しい国を域内に取込む事で経済成長の余白が与えられ、安価な労働力を用いて競争力のある工業製品を送り出し、これら被支配地域に資本財も輸出して、ドイツ本国が一方的に貿易黒字を積み上げるという成長モデルが出来上がっています。しかし問題はドイツ人自らが豊かになっていない点です。

『ユーロの首都、フランクフルトの貧弱さ』

私は、仕事で二年程前にフランクフルトを訪れたのですが、ユーロの本拠地、欧州金融の中心地なので、非常に栄えていると思い込んでいましたが実際は地味な街でした。ドイツ製高級車など、むしろ東京の方が余程多く走っていると感じたくらいです。実際ドイツ人の賃金は過去10年で4.2%も低下したそうです。

『無自覚なドイツ帝国の身勝手な行動』

今のドイツ帝国に近いのは、ヒットラーよりは、ヴィルヘルム二世の頃とトッドは指摘します。問題なのは現在のドイツ帝国は、国家戦略に基づいて成立したというよりも、幾つもの歴史の偶然が重なり、気づいたら帝国になってしまったという点です。何より問題は、ドイツ人自らが帝国である事に無自覚な点です。

『危険な中独同盟が世界を危機に陥れる』

米国はこのようなドイツ帝国をコントロールする術が無く、ドイツ人の米国嫌いは加速しています。ウクライナ問題では、ドイツの意向に米国が調子を合わせているだけとトッドは手厳しいです。ドイツ帝国はロシアとの対決姿勢を強め、経済連携を強めているチャイナと同盟関係を結びロシアを挟み撃ちにしています。

『問題はドイツ人が幸福でない事』

ドイツは徹底したネオリベ・グローバル化によって帝国を築きますが、既にドイツ本国の人口の2割は移民に占拠されるなど、ドイツ人が幸福で無い点が最大の問題です。ドイツ帝国のギリシャやウクライナに対する攻撃性は、自らが不幸である事の裏返しのように見えます。そして、その不幸の元凶は緊縮財政です。

『緊縮財政を強要する悪の帝国ドイツ』

トッドによると日本とドイツは家族構成が似ており、両国が強い経済を持つ理由でもあるそうです。しかしドイツが大好きな緊縮財政は、世界を破滅に導く21世紀のガス室であり日本が真似る必要はありません。ところが安倍政権はドイツと同じ道へ進んでおり正に「この道」は絶対に避けるべき死への一本道なのです。


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言論ポータルサイト『進撃の庶民のブログ』は行き過ぎたグローバリズムなどに警鐘を鳴らすブロガー支援目的のサイト。毎週水曜日にコラム寄稿。