2023年1月~3月のテーマは「赤ちゃん・子どもの“コトバ”のはじまりを探そう♪」です。
1月のテーマは、「これも、赤ちゃんのコトバ!?表情やしぐさの伝えてくれていること」」
今回は、うまれて1時間にも満たないMちゃんとママのやりとりの動画から、“赤ちゃんのコトバ”のはじまりについて、考えてみます
◆赤ちゃん誕生――Mちゃんとママ、ふたつのいのちのコラボレーション!
この動画は、Mちゃんが生まれて1時間足らずのものです。それぞれの出産の状況、お母さん、あるいは赤ちゃんに処置が必要だったり…、があったりするので、みんながこんなふうではないと思うんですが、Mちゃんとお母さんは、Mちゃんが泣いて、それをきいてお母さんがこうだねって話しかけて、それをMちゃんがきいてまた泣いてって、やりとりみたいなことが、もうできるんだ!ってびっくりしたんですね。自分は、出産した時、赤ちゃんとこんなふうにやりとりできるなんて思ってなかったなって。おなかの中にいたときにはいろいろ話しかけたりしていたけれど、それもどちらかというと一方的に話してた気がします。
それから、もうひとつ感じたのは、Mちゃんが泣いているところ、辛そうだなとか、ネガティブな感じって受けないのですよね。泣き止ませなきゃって思わないというか。なんだか、生まれて少し経つと、泣かれるといろいろ要求されてるような、たいへんな気持ちになって、なんとか泣き止ませなきゃって思うことが多い気がするんですけど、このMちゃんとお母さんのやりとりって、Mちゃんは泣いているんだけど、すごくうれしいやりとりになってるなって思って、なんか「泣く」ってことの基本は、ここなんじゃないかなって。そんなふうに思ったんですね。今回、赤ちゃんの“コトバ”のはじまり、がテーマなんですけど、もう、ここから始まっているんじゃないか。「泣く」ってどんなことだろうって、ちょっと原点に返って考えるところから始めたいと思いました。(K)
W)泣き声の第一声は、お口に何か入れたいという欲求だけど、ママからの声かけに耳を傾けてから後の泣き声は、泣きかける相手への認識ができつつある中で泣いているように思います。前回の記事のお話しでいうと、①自分の感覚や気持ち、意志の表明・表現から 、はやくも②他者への伝達とコミュニケーションへと移行していっている。
「出産」はママにとって人生の大イベントですね。そして「誕生」もまた、赤ちゃんにとってそれは最初の一大イベント。初めての肺呼吸、初めての口からの養分取り入れ。外気にさらされるのも、身一つになるのも初めてです。そんな状況を一所懸命引き受けて、生まれ持っている本来のチカラ、胎児期に育んできたチカラと生き方とを傾けて、ひたむきに生きとし、生きる赤ちゃん――。
誕生後の赤ちゃんは、お母さんの声とそうでない女性の声を識別できているという報告もたくさんありますし、最近のある研究報告では、胎児期後期には泣き顔と同じ表情がみられるということです。それから、最近、宇宙工学の手法で、お母さんの心電図と胎児の弱い心電図とを分けられるようになってわかってきたのですが、二人のそれはときどきシンクロナイズしたり、離れてそれぞれになったりしているようです。たとえば私たちは、並んで歩いているとき、ときどき歩調が合ったり、またそれぞれになったりしますが、そんな感じでしょうか。
◆ママとやりとりする中で、“ワタシはおっぱいがほしい人なんだ”って、自己確認ができていく。
W) 新生児の赤ちゃんからすると、生まれてこれからどうなるんだろうというときに、「あ、この声、この感じ」というのはあるかもしれません。お腹の中から二つのいのちのコラボレーションがあって、出産・誕生という危機と隣り合わせの大イベントもまたふたつのいのちのコラボレーション(「じょうずに生まれてきたね」)で乗り越えて、そして生まれてすぐからの赤ちゃんの泣き声にママがこたえて、新しいステージでの二人の新しいコラボレーションがはじまった・・・。そんな素敵な動画に思います。
左の指をくわえようとしながら泣いたりすると、ママが「おっぱい、ほしいね」とか、やりとりをしながら、赤ちゃんが自分はおっぱいが欲しい人なんだなって思える、自己確認ができていく。そんな関係。いろいろな出産と誕生があり、それぞれが大切な物語なので、一概には言えないのだけども、でも、どこかの段階では この動画のような関係を子どもが、あるいは母親が、探しているし、実際そうしているのではないかと思います。
「泣く」ということの中には、「わたし、生まれてきたよ」も入ってるし、子どもの方からいい関係を作ってこうとして泣いている。そういうすごく積極的な、それは人頼みとかいうことでは全くなくて、自分発で、自分にとっていい状況が、関係がつくられていく、赤ちゃんの方はそう思って泣きかけている。この動画のお母さんは、そのことをよくわかっておられて、 Mちゃんの泣き声に、なかば鸚鵡返しのように答えながら、気持ちのやりとりも、母と子の関係も、いいかたちに立ち上がったということでしょうね。
K)生まれてはじめて関係が始まるわけじゃなくて、お腹の中からの関係があって、出てきて、またその続きを探そうって子どもがして、泣いてくれるんですね。
W)生まれてきて、いっとう最初から悲しいと思って泣いてはいなくて、どっちかっていったら、「やったぜ!うれしいぜって泣いてくれていると思っていいと思う。「みんな!わたし、生まれてきたよ!!」っていう感じで、わーんって泣いてね。そして、すぐそばの人にどうしたらいいのって、 お腹空いたよとか、いろいろもう言いかけてるんだ、そういうことだと思いますね。
◆赤ちゃんは、現代のコドクなワンオペ育児は想定していない。「子育て、たいへん!」って言っていい。
W)ある大きさのコミュニティに生れ落ちているのだとしたら、ママならママ一人の、厳密な意味でのワンオペ育児というのは、もしかすると赤ちゃんは想定してはいないのではないだろうか。胎児期での関係もあるでしょうし、自分の産んだ赤ちゃんを守りたい思いもあるでしょうから、泣かれたら、まず自分に泣いていると感じるのは、とても自然のことかと思います。でも赤ちゃんからすると、けっして孤立した母子ではなくて、そのふたつのいのちのコラボをよろこび、歓迎しているたくさんの人びとが、親子をつつむようにしている想定で、生まれてきているし、また、お母さんも産んでいる。そういうことではないだろうか。
だからきっと、ママが、育てている人が、たった1人でどこまでも背負わなければならないということではないと思う。こどもの状況や事情もあるでしょうし、育てる人の事情もありますね。自分が見られない時は「やって!」だし、「わたし、たいへん!」と言って本当によくて。 赤ちゃんの方は、1人でずっとやってとは思ってなくて。自分が、自分と育ててくれている人が、大きな“いのちのゆりかご”のなかにいるし、そうありたいと感じているのではないでしょうか。自分が生まれてこうしていることがうれしいし、育てている人も、あの人もこの人も、周囲のみんながうれしいはず――そう思っていそうです。
K)赤ちゃんが、「ママ、一人だけでがんばらないで、いっぱい助けを借りながら育ててね」と泣いてくれていると思うと、少し、肩の力が抜けます。もともと、子育てって、ひとりでできるものではないって思っていいのですね。
2月の子育てセミナーみぬまっくは、
28(火)10:00~11:30に開催
1~3月のテーマは
「赤ちゃん・子どもの“コトバ”のはじまりを探そう♪」
2月は「指さし・イヤイヤ…子どもがホントに伝えたいのはどんなこと?」
支援センターから、あるいはZoomから、ぜひご参加ください
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