空飛ぶ教室✈「これって、”赤ちゃん返り”?~その1・Fくん編」 | みぬまっくワールド!さいたま市子育て支援センターみぬま(旧称さいのこ☆見沼区)

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 <空飛ぶ教室✈赤ちゃん・子どもに教えてもらう 子育てセミナーみぬまっく>

――赤ちゃんに教えてもらう“甘える”チカラ“自立”するチカラ――

 PART2: 「これって、“赤ちゃん返り”?」

 

今回のブログは、これまで6回にわたりお届けしてきたPART1「小さな赤ちゃんは、どう生きている?」に続く、PART2「これって“赤ちゃん返り”!?~その1・Fくん編」です。

 

どんな小さな赤ちゃんも、受け身で生きたことはなく、ジブンが!ジブンで!と生きている姿を知ってきたPART1。 PART2では、そんな赤ちゃん・子どもたちの生き方を思いながら、いわゆる“赤ちゃん返り”と言われるような言動は、子どもたちのどんな気持ちを表しているんだろう、と考えてみます。

 

W:“赤ちゃん返り”と言ったりするのだけれど。その子からすると、とても切実で大切な時をせいいっぱい生きてくれているときなのですね。Fくん(3歳3ヶ月)の、それはすてきなお話しです。       

 

 

 写真は、生まれたばかりの妹(Mちゃん、このときはまだ名前はなくて“赤ちゃん”)に、お兄ちゃん(Mくん、6歳8ヶ月)といっしょに会いに来たときの一枚ですね。Fくんもはじめはみんなといっしょに「赤ちゃーん!」だったのですが、とてもさびしくなってしまったのですね。ノギ坂ケヤキ坂的にいうと、どうしても赤ちゃんがみんなのセンターそのものだし、お母さんも赤ちゃんに声かけ手を添えしているし。それまではFくんが生まれてからずっと、Oさんのおウチ劇場のセンターとしてのびのーびエンターテイナーぶりを発揮して脚光を集め続けてきていたから。そんなさびしいFくんをよくわかって、いとしくあったかく抱っこしているお母さんの表情もとってもステキ・・・。  

 赤ちゃんに返りたくても赤ちゃんがいて、すぐにお兄ちゃんになれるわけもないけれど、なろうとしてもお兄ちゃんがいて、その意味では、まんなかさんはちょっとたいへんかもしれませんね。生まれて間もない赤ちゃんは、文字通り“注目のニューフェイス”だし、おうちによってはお七夜、百日のお食い初めと、赤ちゃんが主役の行事が続きます。

 

 次の写真は、そのMちゃんのお食い初めのときのFくん。Fくんは好きだったかどうかわかりませんが、例えば怪獣ごっことかの大立ち回りを演じて注目を集めたくても、それで叱られるのならまだしも、もしかすると相手をする人もなく、ひとり外れてかえってさびしくなってしまうかもしれなくて・・・。そんなときなのだと思います。お洋服をぜんーぶ脱ぎ捨て“赤ちゃん返り”をするのは――。これまでの自分でいられない危機的な状況や関係から、自らを解き放ち、お母さんや育ててくれる身近な人々にとって「無条件に愛おしい存在」に立ち返えり、そこから関係を、自分を立てていこうとする、とても切実な営みなのだと思います。Fくんは、大々的にアクティングアウト(大暴れ)して主役の座を奪還しようとするのではなく、自分の顔などにボディ・ペインティングをやって、「見て!見て!」アピールを、意識的無意識的にするのですね。    

 「赤ちゃん返り」というくらいですから、赤ちゃんに返りたいのだけれど、もう赤ちゃんそのものに返ることはできないということもわかっていての懸命の模索だから、それは「ちょっとかなしいトリックスター(いたずらっ子)」のような行為にもなるのでしょう。      

 

 

 三枚目は、そこから立ち上がって、妹と共にある日々を、妹の兄であろうとする日々を、とても自分らしく引き受けていく、Fくんです。  

 

 

 このときFくんは、ウルトラマンが大好きで、ウルトラマンになりたい、なることで元気がでる!――そういう少年でした。 子どものごっこ遊びは、子どもだから嘘んこだってわからないからとか、ごっこだからと軽くみられがちですが、そうではありませんね。子どもたちは、大人の言葉でいう“嘘んこ”だということはよくわかっていて、ごっこだから安じて思い切り本気になれるのだと思います。だから、「変身ごっこ」の醍醐味は二つ。一つは、元の自分に返れる、つまり返れるかどうかのハラハラにあそぶということ。一つは、そのときそれに成りきるということ。子どもたちはそのようにして、とてもヴィヴィットに生き生き生きられている人たちなのだと思います。    

 Fくんはそのウルトラマンに成りきって、いまをときめく注目の新人に手をさしのべて、握手会をしています。それは、Fくんが主役の物語です。Fくんの監督、主演による・・・。自分を凹ませも撓(たわ)めたりもせず、Fくん自らの創意による、新しい主役誕生の瞬間でもあります。このときFくんは、妹のMちゃんにとって、そしてカメラを向けているお母さんにとって、新しい、かけがえのないヒーローになりました。

 

  ヒトの赤ちゃんは、生物学的早産といっていますが、ほぼ一年の長い期間、人が手をかけずには生きられない状態で産まれてきます。おっぱい、そのあと離乳食・・・。それは、人だけですね。生まれて1年そう。でもお世話になってるなんて全然思っていません。赤ちゃんにとって、生まれるときも、いま、生きてかくあることも、その時その時がすべてです。その時その時の状態がそれでベストなので、お口で乳首をさぐり、ふくみ、飲んで・・・、やったー!の連続なのだと思います。

 ワーンって泣いて、どうしたの?ってきてもらって、やったー!なんです。お世話になってるなんて思ってない。自分が泣いて声をかけたから、来たと思ってる。それでおしりが気持ちよくなったりするので、してもらってるっていうふうには思ってません。生まれたときから、その子その子のしかたで、自分が泣いたり体をよじったりしながら、一生懸命伝えていて。私たちよりは伝えてることが、いっぱいいっぱいあって。 そうした続きを私たちと赤ちゃん子どもが生きていることを思ってみると、赤ちゃんこどもが、自分がこうしたいと思う時に、自分で発信して受け止めてもらえる、いうなら「あ・うん」の関係、そういう関係が生そのものを支えてくれていて、そこに返って、そこから「自分の人生」を生きていきたい。  

 大人からすると赤ちゃんのように思えるけど、子どもからするとその生を支える大切な関係の確認なのですね。  

 「このボクで、このわたしでいいんだよね!?」「ここからはじめるのでいいんだよね!?」が、“赤ちゃん返り”といわれていることかなと思います。  

 

 赤ちゃんにもなれないし、お兄ちゃんにもしてもらえないし。どうかかわっていいかわからなくなったときに、これまでの自分でいられそうにないときに、自分を損なうことなく、気持ちと知恵のほとんどをかたむけて、自分らしくウルトラマンになりきることで、自ら新しい関わり方を切り開いていったFくんの、そしてそれを見守ったお母さんの物語――。  

 赤ちゃんにしっかり声をかけている、やりとりが成立してる。それがとっても素敵な一枚です。  

 

最近のFくん(4歳4ヶ月)のワンショットです

 

 

「お母さんがいつもおいしいご飯をつくってくれるから、そのお礼です」 とのこと――。4歳児は、ときにこんなステキなことをしてくれることがあります。文字通りの「ファンタスティック フォー」です(いつか詳しく触れたいと思います)。 

 

 

この記事は、次回、

空飛ぶ教室✈「赤ちゃんに教えてもらう『“甘える”チカラ、“自立する”チカラ』  PART2「これって“赤ちゃん返り”?~その2・Hちゃん編」に続きますので、こちらもぜひ、ご覧ください!

 

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