恐怖の関門 | われは河の子

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恐怖の関門 アリステア・マクリーン 1961年

      早川書房 昭和43年


 メキシコ湾岸の小さな町マーブル・スプリングの法廷で、アメリカ密入国と銃器不法所持の罪で強制送還の判決を言い渡されようとしていたクライスラーことフォードは裁判に立ち合いの警官の銃を奪い、彼を撃ち、さらには傍聴席にいたブロンドの若い女性を人質に取り車で逃走する。

 警察の執拗な追跡と銃撃をかいくぐった彼は、

 娘に実は自分はジョン・タルボという名であることを明かす。しかし逃避先のモーテルで、ジャブロンスキーという屈強な男に銃を突きつけられる。

 ジャブロンスキーは刑事で、タルボが連れている娘の名はメアリー・ラスヴェンで、その父親のラスヴェン将軍は、メキシコ湾に幾つもの石油掘削基地を持つ石油王にして大富豪であることを告げる。

 ジャブロンスキーは2人をラスヴェン将軍の邸宅に2人を連れて行き娘を返す見返りに5万ドルを要求すると共に、警察がタルボにかけた懸賞の5000ドルもせしめようとしていた。


 しかし、将軍と行動を共にしていたのはどう見ても巨悪のボスという感じで、かつ洗練されたビジネスマンを思わせるヴァイランドという男と、その配下の殺し屋らしいローヤル、そしてなぜかこのメンバーにはそぐわない麻薬中毒患者で粗暴なラリーという3人組だった。

 

 ヴァイランドは銃で脅してジャブロンスキーにタルボに手錠をかけて監禁して見張っておく事を命じる。タルボに何かやらせる仕事があるというのだ。

 密かに脱出したタルボは、雇った船で石油採掘ステーションX13号に潜入する。

 そしてラスヴェン邸に戻ったタルボはジャブロンスキーが殺されて埋められていることを知る。


 タルボの過去と正体、そして遠大な計画、さらにヴァイランドの野望とは何か⁉️


 デビュー作「女王陛下のユリシーズ号」で、冒険小説の寵児となったマクリーンは、

 



 晩年になるにつれて作品の評価が下がった作家だが、この作品は脂の乗り切った時期の著作であるし、書かれた1961年には彼の「ナヴァロンの要塞」が映画化されて公開されているので余計に力が入ったのだろう。

 冒頭で描かれるカリブ海での飛行機撃墜事件が、本編とどう繋がるのかが大きな謎となりストーリーはめまぐるしく展開するが、ヴァイランドによってタルボに課せられた任務がわかるとそことの関連性は想像がつく。

 敵と味方が縦横に入り乱れる中で、高所と深海を舞台に繰り広げられるアクションには手に汗を握るし、息詰まる思いがする。

 実際に深海を航行するバチスカーフ(作中ではバシスカーフと表記される深海作業艇)の密閉された空間の中で、酸素不足によって窒息の危機に陥る当事者たちはまさに息詰まっているのだが)


 冒険小説はミステリ(推理小説)の1ジャンルに分類されるが、謎解きアクション大作として、もっと評価されてもいい力作だと感じた。


 なお、石油採掘ステーションを舞台にしたアクションは1971年の映画「007/ダイヤモンドは永遠に」を思い出させるが、映画の方ではボンドが宿敵ブロフェルドの基地になっている採掘ステーションに乗り込むという構成になっているが、製作陣と脚本家は、マクリーンのこの作品が頭にあったのかもしれない。