林忠行「チェコスロバキア軍団」を読む 戦争に翻弄された、地続き東ヨーロッパの国なき民族の戦い
ランク Bの上~Bの中第1次大戦前中後、チェコスロバキア独立に 貢献した義勇軍団の歴史を記録した 歴史書です。副題「ある儀湯群をめぐる世界史」陸続きの東ヨーロッパの近代史は 民族、言語、統治国家が複雑に 絡み合っています。この本は、チェコとスロバキア民族を 中心に編成された義勇軍を描いています。ロシア、ハンガリーオーストラリア帝国 ドイツなどの地続きの支配地争いだけでなく 第1次世界大戦、ロシア革命などで 翻弄されたチェコスロバキア民族の 戦いを描いています。この本を読めば、日本が海に隔たれていることに 感謝すべきであることがよく分かります。地続き国家の複雑怪奇な地政学の 争いがよく分かる本です。ずばり、この本を1回くらい読んでも 東ヨーロッパ近代史を 理解するのは不可能です。分からないままに、読み切りました。チョコとスロバキアは、現在、別国家として 存在していますが、何となくというか お隣民族同士が、なりゆきで チョコスロバキアとして 第1次大戦後に独立します。チョコもスロバキアも、民族国家を持たず、 他国に支配されていました。東ヨーロッパの国々は 多民族国家です。そのため、戦争では、各国は 他民族軍隊で戦うことになります。 (日本のように、同一文化民族で 軍隊を編成できないのです)チョコスロバキアの若者は その時の支配国の要請で、 各国チェコスロバキア軍団として、 ドイツと戦い、ロシアと戦い オーストリアハンガリー帝国と 戦うなど 同じ民族同士が戦うことが頻発しました。条約や停戦、ロシア革命、 第1次大戦の終結などで各国の都合で 戦争に利用されます。 (クルド民族が、トルコ、イラク、シリア ヨルダンなどで、弾圧される一方 戦争に利用される姿と同じです)他国の思惑に翻弄され、戦い続けたのが チェコスロバキア義勇軍団でした。(私の本を読んだ理解なので 当てになりませんが…嗚呼、トホホ ホンマに東ヨーロッパ近代史は 複雑なんです。 こんなややこしい歴史についての 著者の見識の高さは 尋常ではありません。)結果的には、チェコスロバキア軍団の活躍が 独立の大きな原動力の一つとなっています。この本で知ったのですが、 遠いチェコスロバキア軍団が 日本のシベリア出兵と関連が深いことを 知りました。ロシア革命で、無政府状態になったロシアで シベリア鉄道を占領管理していたのが チェコスロバキア軍団だったのです。ロシア革命で、新しく生まれたソビエト政権を 倒す内戦?が起こりましたが チェコスロバキア軍団と日本、米国は シベリアで協力?することになります。このあたりも複雑怪奇で、本を読んでください。ともかく、こんなややこしい歴史を よく本にできたものです。私のような素人が理解するのには 限界があります。かといって、面白くないかと言ったら それなりに面白いのです。登場する人物の名前がカタカナ表記でも 読みにくいのですが、 彼らがいかに激動の時代を 乗り切っていったかの エピソードが面白いのです。実は、戦争において、その国の民族軍隊より その国に住む他民族少数民族の軍隊が 抜群に強く、活躍するのです。民族自決のために、人一倍戦うのです。 (米軍の日系二世軍隊も同じです)この本は、国を持たない民族の 悲劇と戦い、独立の歴史を記録しています。日本人が理解に苦しむ、 遠く及ばない事実を描いています。複雑な国際情勢、人間関係を記されていますが 著者は、可能な限りかみ砕いて 素人向けに、書いてくれています。著者の力技と的確な記述で 私のような素人でも 読み切ることが出来ました。東ヨーロッパ近代史という、あまり 日の当たらない目立たない歴史を 教えてくれる本です。歴史好きは、読んでおくべき本です。アールヌーボーの巨匠ミュシャなどの 有名人のコラムもあり、 へーっと思わせられるので 肩の力を抜いてくれる 気配りがこの本にはあります。この本に書かれた時代の後に、 ヒトラーが登場し、東ヨーロッパは グチャグチャになります。この本を読めば、なぜ、ヒトラーが 難癖をつけて、東ヨーロッパを 侵略していく名分を作れたのかも 理解できると思います。 (プーチンがウクライナを侵略したのも 同じですが、トランプは 直接関係ないのに 戦争を仕掛けるんだよなあ…)地続き国同士の 血で血を争う、土地争いの歴史が この本に書かれています。ほんまに、日本て、世界で、地政学でも 世界史の中でも、恵まれているのが よく分かることを 教えてくれる本です。読むのは、正直、大変ですが 勉強になりますよ。最後に、クルド民族を、 何かにつけ批判するヘイトに この本を読んでもらいたいです。国家、国土を持たない民族の厳しさを 知ってほしいです。ところで、この本を読んで思ったのですが ロマ族(ジプシー)は、 この本の時代には、 どのように生きていたのか 気になりました。