今日はひな祭りだ。私は母と一緒にお雛様を飾る。お雛様は祖母から受け継いだもので、とても大切な宝物だ。母はお雛様の着物をそっとなでながら、昔の話をしてくれる。

「おばあちゃんはね、このお雛様をもらった時、とても喜んだんだよ。でも、その年のひな祭りは戦争が始まって、おばあちゃんの家は空襲で焼けてしまったの。お雛様も一緒に焼けてしまったと思ったんだけど、なんとか助かったんだって。おばあちゃんはお雛様を抱きしめて、泣いたんだって」

私はお雛様の顔を見る。お雛様は笑っているけど、目には涙が浮かんでいるように見える。お雛様はたくさんのことを見てきたんだろうな。私はお雛様に手を合わせて、ありがとうと言う。

「お雛様、ありがとう。お雛様がいるから、私は幸せだよ。お雛様も幸せになってね」

母は私の頭をなでて、微笑む。

「そうだね。お雛様も幸せになってほしいね。私たちも幸せになろうね」

私は母にうなずいて、笑う。今日はひな祭りだ。私はお雛様と一緒に、幸せな気持ちでいる。




由来
ひな祭りは、女の子の健やかな成長と幸せを祈る日本の伝統的な行事です。🎎

ひな祭りの由来は、中国から伝わった上巳(じょうし)の節句という風習にあります。上巳の節句は、紙や草で作った人形に自分の災いや穢れを移して、川や海に流すことで厄払いをするというものでした。12

この風習が日本に伝わってからは、人形を流すだけでなく、飾って楽しむようになりました。江戸時代には、幕府が3月3日をひな祭りとして、女の子の行事に決めたと言われています。23

ひな祭りには、お雛様と呼ばれる男雛と女雛の人形を飾ります。お雛様は、子どもたちを守ってくれるという意味があります。2 お雛様の他にも、ひし餅やひなあられ、ちらし寿司やはまぐりなど、色や形に意味が込められた食べ物や飾り物があります。1

ひな祭りは、日本の美しい文化のひとつです。ひな祭りの由来や意味を知って、お祝いしましょう。