ブリュッセルのIDOL。


柵の後ろへ下がれと、険しい顔で、指示をしている推しを見て。


何となく。

誰かの、表情に似ている、と思った。


冷たくて、ピリついた空気。

うーむ。誰だっけ。



いつものように、ボーッと考えていると。



ガヤガヤした教室。皆の笑い声。

「〇〇」と廊下から、私を呼ぶ友人。

中庭を挟んで、上の階にいる先輩。

制服の、汗やコロンや、色々なものが混ざった匂い。



懐かしいものが、グワーッと、私の中に、押し寄せてきた。


春山、だ。

そうか。春山だったのか。



一応、念のため。

すみません。

冷静に考えると。

推しと春山は、似ていません。私も、そう思います。


ただ、何というか。ギラギラしたもの、というか。

あの瞬間、私の中で、推しと春山が繋がった、という感じです。

すみません。




紡木たくの漫画「ホットロード」は、1986年から1987年にかけて、別冊マーガレットで、連載された。



あの頃の私達は、「ホットロード」に夢中だった。


その理由を。

今の、令和を生きる皆さんに説明することは、なかなか、難しい。


SNSやスマホがない世界。


誰も、あの頃には。

戻りたくても、戻れないのだ。




休み時間になると。

私達は、誰かが買ってきてくれた別マを、クラスの女子皆で、回し読みをした。



授業中に、読んでいる子もいた。


私は、授業中は、いつも。

他のクラスの友人へ、手紙を書いていたから、忙しくて、読めなかった。


まあ、手紙と言っても。

好きな先輩のこととか、好きな曲とか、「あー、青春だねー」みたいな、カワイイことばかり書いていた、ような気がする。


私から友人へ。友人から私へ。

1日に何通も。

(↑今であれば、ダメでしょうね。すみません)



私達の世界と。

春山と和希の世界は、重なってはいなかったけれど。

それでも。

きっと。どこかで。



春山と和希は、私達の憧れ、だった。




2014年の映画「ホットロード」では、春山と和希を、登坂広臣さんと能年玲奈さんが、演じた。



友人に誘われて、私も、映画館へ行った。


登坂さんの春山も、能年さんの和希も、実に、素晴らしかった。

ストーリーも、きちんと、原作を追っていた。

まさに、青春映画、だった。



それなのに。


私達は、あの頃の、春山と和希に会いたい、と思ってしまった。


もう、十分、大人になったつもり、だったのに。

でも、まあ。

人というものは、それ程、変わらないのかもしれない。



映画の最後に。

尾崎の「OH MY LITTLE GIRL」が流れたことを、思い出した。



OH MY LITTLE GIRL     尾崎豊


こんなにも騒がしい街並みに たたずむ君は

とても小さく とても寒がりで 泣きむしな女の子さ


街角のLove Song 口ずさんで ちょっぴりぼくに微笑みながら


凍えた躰 そっとすり寄せて 君は口づけせがむんだ


Oh My Little Girl 暖めてあげよう

Oh My Little Girl こんなにも愛してる

Oh My Little Girl

二人黄昏に 肩寄せ歩きながら

いつまでも いつまでも 離れられないでいるよ



君の髪を 撫でながら ぼんやりと君を見てるよ

甘えた声で 無邪気に笑う ぼくの腕に包まれた君を


Oh My Little Girl 素敵な君だけを

Oh My Little Girl こんなにも愛してる

Oh My Little Girl

冷たい風が 二人の躰すり抜け

いつまでも いつまでも 離れなくさせるよ



Oh My Little Girl 暖めてあげよう

Oh My Little Girl こんなにも愛してる

Oh My Little Girl

二人黄昏に 肩寄せ歩きながら

いつまでも いつまでも 離れないと誓うんだ




春山と和希は、元気だろうか。

どこかで。

2人が幸せだったら、いいな。



ご覧いただき、ありがとうございました。


以上です。