「ジンヒョンに電話で聞きながら、材料を買って、挑戦してみました」
推しが作ったパスタは、とても美味しそうだった。
白いお皿に、タップリと盛られたパスタも。
テーブルに残った、急いでスプーンを洗ったような水滴も。
頑張って撮ったのに、半分は影になってしまっている写真も。
推しとは、何て、愛おしいものだろう。
まさか、本当に、推しが、料理を趣味とする日が来るとは。
「はいはい。料理なんて、しませんよねー」と、推しの言葉を信じなかった私は、ダメなARMYだ。
推しはパスタを作っただけ、なのに。
それでも、ソクジンさんは、「よくやった」と褒めてくれるし、ナムジュンさんも、「僕にも」と言ってくれる。
愛だな、と思うと同時に、何となく。
そう、何となくだが、これが、Jiminとしての自立というか、新たな変化というか、そんなような気がして。
これから、いよいよ、推しの個人活動とグループ活動の両立が始まるのだな、と私は思った。
まあ、それには理由があって、久しぶりに、我が子へ意見した後に、この推しのパスタを見たからだ。
「これは、きちんと伝えなければ」
「でも、きっと、いつものように聞き流すだろうなあ」
私は、ロフトベッドで眠る我が子へ、声を掛けた。
寝ぼけながら、いつものように「はいはい」と聞き流していた我が子は、次第に、真剣な表情へと変わっていた。
ロフトベッドにいる我が子を見上げて、話す母。
ロフトベッドから母を見下ろして、聞く我が子。
今思えば、なかなか、滑稽だけれど。
その時は、珍しく、母の謎の使命感というか、そんな気持ちが勝っていた。
「うん。そうだね」
我が子は、話を聞き終わると、そう言って、ロフトベッドから降りてきた。
反論もなく、本当に、その一言だけ、だった。
リビングへ戻り、コタツに潜り込んだ私は、後悔していた。
母の意見に配慮する、我が子の姿など、見たくはなかったからだ。
相手の意見を上手に呑み込んで、きちんと自分の中で消化してから、相手を傷つけないように、返答する。
いつの間にか、いや、ずっと前から、我が子は大人になっていた。
何て、カッコ悪いんだ、私は。
これは、どうしよう。恥ずかしいな、全く。
コタツの中で、私はウダウダし続けた。
↑ここまで、下書きに保存していたら、何と、推しの新たなグローバルアンバサダー就任という、ビッグニュースが、飛び込んで来た。
白のスーツ姿は、以前のTiffanyを思い出すけれど、やはり、もう、あの頃の推しとは違う雰囲気だった。
(素朴な疑問ですが、推しのTiffanyのグローバルアンバサダーは、終了したという認識で宜しいのでしょうか)
さすがだな。
我が推し、カッコいいな。
だから、私も。
単純な私は、あることに、挑戦してみることにした。
誰かのためではなく、自分のために。
そろそろ、私も自立しようと思います。
ご覧いただき、ありがとうございました。
以上です。