安部首相がTPPの交渉に参加を表明しました。安部首相はきっと拒否するだろうと主張していた反グローバリズム派は激しく動揺していますが、私は現時点ではやむを得ないと考えています。

2011年11月のブログに私はこう書きました。

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日本のTPP反対派は、安全保障の問題と経済の問題は別だと主張しますが、アメリカがそう考えている保証はないのです。

「お前たちの国を守っているのはアメリカなのだ。そのアメリカの大統領が日本にTPPに加入して欲しいと思っている」といわれて、一体誰が拒否できるのでしょう。

もし野田総理がオバマ大統領に対してTPPに関して賛成を表明した場合、私はそれを日米安保を維持する代償と考えるつもりにしています。

これからも日米同盟を維持しようとするならば、ますます日本は国益にならないことを受け入れなければいけなくなるでしょう。本当にそれでいいのでしょうか。
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現在の日本はデフレから脱却する政策を始めたばかりです。そのような時にアメリカと喧嘩している場合ではありません。少し時間を稼ぐ必要がありますが、決してTPPに反対することを諦めてはいけません。

TPPの交渉がどのように進むかの予測は難しいですが、TPP反対がうまくいく可能性は2つほど存在します。

「南北戦争」型と「国際連盟」型です。

「南北戦争」型とは、日本がアメリカに黒船で「開国」を強要され関税自主権や治外法権を含む不平等条約を結ばされますが、その後でアメリカにおいて南北戦争が起きて日本の開国どころでは無くなったことです。

確かに、関税自主権や治外法権を克服することは日本にとって厳しいものでしたが、アメリカで南北戦争が無かったことを考えるとぞっとします。おそらくは中南米諸国のように激しく介入され、日本の政治はヘロヘロの状態になっていた気がします。

日本がアメリカとの戦争に負けて占領され苦境におちいった時も、朝鮮戦争という「神風」が吹きました。朝鮮戦争が無ければ、いわゆる「逆コース」と呼ばれる占領政策の修正も無かったでしょう。そうであれば、後の経済大国・日本というものも存在しなかったかもしれないのです。だから吉田茂は朝鮮戦争を「天佑」と呼んだのでした。

現在アメリカがさらなる戦争を重ねる兆候は存在します。

オバマ大統領は「イランが一年以内に核兵器を作る能力を持つ」と語ったそうですが、以前からイランが核兵器を持つことはアメリカは許さないと言い続けてきたので、このままの状態では戦争に至る可能性が高いのです。

TPPの方も2013年中に決着させると言われていますので、今年一年はTPPの交渉とイランの核危機が同時並行していくようになっています。

さて、もう一つの「国際連盟」型ですが、これは日本が作った満州国を国際連盟が認めず、結果として松岡外相の時代に国際連盟から脱退したことを指します。

当時の日本国民の多数は、満州国は日本の国益に必要だと考えていました。だから松岡洋輔は本当は国際連盟から脱退したくはなかったのですが、国内の世論のために脱退に追い込まれてしまうのです。

TPPの実態が明らかになり、日本国民の圧倒的多数が反対になればTPP交渉からの離脱も選択肢になってくるはずです。

私の予想としては、「南北戦争」型と「国際連盟」型、両方あり得ると考えています。

もちろん、TPPから日本が脱退すればアメリカとの関係は悪化するでしょう。しかし、これは必要なことなのです。

現在、米ソ冷戦が始まった時に作られた東アジアの秩序は崩壊の危機にあります。そのような時に国益がぶつかり合うことは仕方のないことです。

日本は民主党の時代に、中国と韓国と喧嘩を始めました。自民党時代には、これまでの因縁のあるアメリカとぶつかっても何ら不思議ではないのです。

ヘンリー・キッシンジャーは『外交』という本で「12月12日、日本、イタリアと3国同盟を結んでいたドイツはアメリカに宣戦布告した。ルーズベルトが常に基本的な敵とみなしていた国、ドイツにアメリカの戦争努力を集中させる自由を、なぜヒトラーがルーズベルトに与えたかについては満足のいく説明は無い。」と書いています。

今回はこの疑問に答えてみたいと思います。

以前にこのブログで日本の真珠湾攻撃が成功したのはフーバー大統領の回顧録から読み取るに、当時のアメリカの首脳部が当時の日本人の力を侮っていたからだと書きました。

海軍長官が3ヶ月で日本を地図上から消せると豪語したり、ハル・ノートを日本に手渡した後もルーズベルト大統領は日本が戦うと思っていなかったことが、そこには書かれてありました。

他に当時のアメリカ人が日本人についてどのように考えていたかネットで調べてみました。

例えば軍事評論家のフレッチャー・プラットという人は次のようなことを語っていたそうです。

「日本人は首が座る前から負ぶわれ揺すられるから、バランス司る内耳に異常をきたし、急降下飛行ができない」
「近眼で鳥目だから夜間飛行はできない」
「個人主義が発達していないから独りで乗る戦闘機が被弾や故障に遭うと、何をしていいか 分からない。ただ腕を組んで地上に激突する」

また、ブレーク・クラーク著「真珠湾」では以下のように書かれているそうです。
「われわれは日本人は独創力と想像力に欠けている - わずかに能力ありとすれば、それは単に模倣性にしか過ぎぬといったような根も葉もない話ばかり聞かされてきた」
「もしそれが真実であるとするならば、日本海軍の軍艦は荒天に乗り出すやいなや、ただちに一隻残らず転覆していなければならぬ筈である」

戦後すぐ、淵田美津雄大佐はGHQのG2に呼び出され、真珠湾攻撃隊長だったことがわかると「失礼ながら、われわれは日本人を侮っていましたからね。ジャップにしては出来すぎると思いました。それで指揮官はドイツ人将校だろうなどと話し合っていたのでしたがね」と語りかけられているそうです。(ブログ『かつて日本は美しかった』から引用)

このようにアメリカの民間も政府首脳部も日本人を「劣等民族」とバカにしていたことが、真珠湾攻撃が成功した最大の要因だったのです。

では、ドイツに戻ります。

ヒトラーは同盟を組んでいる日本人についてどう考えていたのでしょうか。

『マイン・カンプ』を書いたぐらいですから、アメリカ人が当時の日本人について考えていたのと五十歩百歩でしょう。おそらく、彼も日本人は「劣等民族」と思っていたでしょうし、そんな国と同盟を組んで何の役に立つのかと思っていたのでしょう。ちなみにドイツの外交戦略を担っていたのはリッペンドロップ外相でした。

ところが、ヒトラーが「役に立たない同盟国」と思っていた日本が真珠湾を機動部隊によって攻撃しアメリカの太平洋艦隊を全滅させたのです。

このニュースを聞いてヒトラーは何も感じなかったでしょうか。

おそらく、彼は感動したでしょう。それも通常よりも遥かに感動したはずです。なぜなら彼も日本人を「劣等民族」と思っていたからです。イギリスやアメリカが同じことをするのとわけが違うのです。

そして、その「劣等民族」の国に対する感動が、全く必要のないアメリカに対する宣戦布告をよんだ気が私にはします。

つまり、真珠湾攻撃が成功した理由も、ヒトラーがアメリカに宣戦布告した理由も同じなのです。

両者とも当時の日本人を「劣等民族」と思っていたからでした。

この答えは絶対にキッシンジャーは受け入れないとおもいますが。
『産経新聞』に古田博司さんが韓国について興味深いことを書いています。結論部分を引用してみます。

「従って日本は、あくまでも韓国をバッファーゾーンに固定するように施策を練る必要がある。とりあえず、『助けない、教えない、関わらない』という3カ条で、韓国の甘えを断ち切り、バランサーが夢であることを自覚させることから始めたい。経済で困っても助けない、企画や技術を教えない、歴史問題などで絡んできても関わらない。これが日本にはなかなかできない。努力が必要である。」

「助けない、教えない、関わらない」という提案に私は賛成ですが、これまでなぜ日本にそのような政策がとられなかった原因については異論があります。

古田教授は韓国を「バッファーゾーンに固定する」ようにすることが必要との考えみたいですが、その考えが「助けない、教えない、関わらない」という政策を日本が韓国に対してとることができない最大の原因ではないでしょうか。

日露戦争時の外相、小村寿太郎は「もし、他の強国が朝鮮半島を有するに至ったならば、日本の安全は常に脅かされてしまい。到底無事を保つことができない。このような自体を、日本は絶対許容することができないので、これを予防するのが日本伝統の政策とも言える」と語っています。

つまり帝国主義時代に朝鮮半島は日本の「バッファーゾーン」であるために、そこを中国やロシアにとられないために併合したのです。

戦後も基本的には同じです。

池田勇人首相は「釜山が赤化した場合、日本の治安にたいして大きな影響を及ぼすだろう。したがって南朝鮮の反共体制にたいし日本は重大な関心を払わなければならない」と書いています。

すなわち、日本は戦後の韓国を「バッファーゾーン」と考え、そこが赤化しないように膨大な援助を行ったのです。

しかし、このような援助は決して感謝されることはなく、逆に竹島の不法上陸や従軍慰安婦問題の国際的宣伝を招く結果となってしまったのです。

だから日本が韓国に対して「助けない、教えない、関わらない」という政策を実行するには、韓国を日本の「バッファーゾーン」とする考えを捨てなければなりません。

具体的にいえば、朝鮮半島が中国やロシアに併合されようが、韓国が赤化しようが日本には関係ないと言い切ることで初めて「助けない、教えない、関わらない」という政策を実行できるのです。

果たして日本人にその覚悟はあるのでしょうか。