2つの章…第一部 履歴る(たどる)と、第二部 終活る(ふりかえる)の、2部構成になった本作。
母になった刑事の内海薫が刺されるところから物語が始まる。
刑事というとても因果な仕事が引き起こした事件。もちろん薫は全く悪くなく、むしろ堅固なる覚悟を持って職務を全うしている本当に素晴らしい警察官で。逆恨みであることには違いないのだが、犯人たちの履歴にも、本当に救いようのない、地獄のような背景があったりして、なかなか読んでいて苦しくなった。
そして、第一部の話から、話は第二部につながっていくのだが、これは、2000年代に発表された、「容疑者Xの献身」の振り返りと、細部の伏線回収になっている。湯川先生と草薙刑事(今は管理官)の、友情の振り返りにもなっている。
そして、この物語が30年近く紡がれていることから、彼らも歳をとり、職業上の終活を視野に入れ始めたことも描かれている。
ガリレオシリーズは、大体読んだが、時を重ねるにつれて、どんどん文章が上手くなり、読みやすくなり、面白くなっていった。
いつのまにか、ガリレオの世界に引き込まれて、あっという間に読んでしまう感じだ。
この本は、東野圭吾の最期の本になった。
湯川と草薙が、自分たちの人生を振り返る。
大腸がんで、おそらく余命宣告を受けていた東野圭吾は、どんな思いでこの2人をこの世に残して行ったのだろう。
湯川と草薙の物語が、再び新たに紡がれることはもうないが、この2人は、物語の中で永遠に生き続けるだろう。
ガリレオシリーズ全11冊のうち、読んでないのはあと3冊。また折を見て読み進めたい。
