沖で待つ | Promised Land -帰りたい何処か-

Promised Land -帰りたい何処か-

わたしにとっての「約束の地」はどこなのか?

その答えを今探しています。

「太っちゃん」と「私(及川)」の同期の交流を描いた作品。
多分に、絲山秋子の10年間のINAXでのキャリアが
バックグラウンドになって描かれているように思う。


大手メーカーの総合職として入社した彼女。
最初の赴任地は博多。
そこで、一緒だった太っちゃんという同期、
いわば戦友のような彼との日々と、
万一どちらかが先に死んだ場合、
それぞれのPCのHDDを壊す約束の締結と
その遂行を描いた作品。



この作品が芥川賞受賞作となり、新聞等のコピーに書かれていたのが「同期愛」。
だけど、そりゃ、たしかにある意味「愛」かもしれないけれど、
そこには恋愛感情というものは存在しない。
会社という組織の中で、本音を吐露できる存在、自分の状況をわかってくれる存在、
(時には厳しいこともいうけれど)、同じ釜の飯を食った仲間、とでも言おうか。
損得勘定抜きで、ものを言える相手。
そういう人間関係だと思う。



大手は、総合職で40人入社したとしても、その40人が同じ事業所にいるわけではない。
私も、前職の会社では総合職41人中、同じ事業所だったのは自分を含めて5人、
なおかつ事業所内でも所属が全く違っていたので会うことは滅多になかった。
同期の中には中のいい子もいたが、結局事業所が違うとなかなかコンタクトなどとれはしない。
追い詰められていった背景。

もっと他事業所や同事業所の同期と連絡をとってればよかったな、と思う。
そしたら、もっと頑張れたかもしれない。

でも、他事業所は、北は北海道から南は九州まで、広範囲にあった。
なかなか会うことなんてできはしなかったな。


いずれにせよ、後の祭りだ。



昨日、大学院時代の同期からメールが来た。
別に恋愛関係にあるわけでもなんでもないが、とても懐かしかった。
今、彼は私が住んでいるところからそれほど遠くにいるわけじゃないので、
そのうち会ってみたいと思う。
年賀状を交わしているだけで、卒業以来会っていなかったから。



今年の夏休みには、松山・道後温泉に行こうと思っている。
去年は盛岡の会社の同期を頼って旅行にいったけれど、
今年は大学院時代の同期に会えたらな、と思っている。
たまに電話はするけれど、卒業以来彼とも会っていない。
私がこんなに痩せたことも、彼は知らないはずだ。
昔話や、近況を話せたら、と思う。



組織の中で生きていく時、同期は大切だ。
殊に、気の合う同期はある意味宝物のようなものだ。
私は、そう思う。
仕事においても、プライベートにおいても。


同時収録されていた「勤労感謝の日」も、なかなか面白かった。