このタイトルに、妙に惹かれた。
数学をこよなく愛する、現在と未来の記憶を失った博士と、
その家政婦、そしてその息子。3人が織り成す物語。
昔、物理化学の教授が熱力学分野のGibbsの式だったか
なにかを一連黒板に書き上げたあと、こういったことを
今でも鮮明に覚えている。
「この式は、美しい」(関西弁のアクセントで読んでください)
エンタルピー、エントロピー、ギブスエネルギー・・・
たしか、これらのものが、その式
(4つくらいだったと思うが・・詳しいことは忘れてしまった^^;)
にとても簡潔に書かれ、その関係性や真理を表していたように思う。
博士も、この教授と同じ感覚なんだろうと思った。
本当に、その学問を「愛して」いる感覚。
そんな数学をこよなく愛する博士だけれど、
子供への愛情と、そして、その心の奥底に、
生涯かなうことはないと知りつつも、永遠の愛を誓った女性を
抱き続けている。
家政婦は偶然、その事実を知る。
「博士の永遠は、本当に永遠なのだ」
一見変人にも思われがちだが、
優秀で、そして純粋な博士に、とても興味を持った。
家政婦もきっとそうだったのではないかと思う。
小川洋子の作品を読んだのはこれが初めてだが、
素朴だけれど、とても温かい世界を織り成すひとなのだな、と思った。
また、彼女の作品を読んでみたいと思う。