トキオ | Promised Land -帰りたい何処か-

Promised Land -帰りたい何処か-

わたしにとっての「約束の地」はどこなのか?

その答えを今探しています。

亡くなった息子の魂が、
時間を越えて若かりし父のところへ。
そして、まだ至らなかった父親を
本来の彼へと導いていく。
勿論、簡単ではないが。


2000年に入ってからの東野作品は文章のレベル、
話の構成のレベルが上がっているような気がする。
「トキオ」は2000年~2002年にかけての作品だが、
文章構成、ストーリーとも、良かったと思う。


そして、今まで読んだ東野作品とは一線を画していた
ような気がした。

どこが、というと、
悲しい運命が待っている
(いや、むしろ引き受けた)にも関わらず、
未来を感じようとしているところである。

「秘密」以外で、明るい、新しい未来を結末に感じられる
作品は、私が読んだ限りではあまりなかったが、
「トキオ」は違った。


「好きな人が生きていると確信できれば、
 死の直前まで夢を見られるってことなんだよ。
  (中略)
 人間はどんな時でも未来を感じられるんだよ。
 どんなに短い人生でも、
 たとえほんの一瞬であっても、
 生きているという実感さえあれば未来はあるんだよ。
 あんたに言っておく。明日だけが未来じゃないんだ。
 それは心の中にある。
 それさえあれば人は幸せになれる。」


トキオの台詞だ。
目から鱗が落ちた気がした。
「生きているという実感」・・・・
新しいキーワードを得たような気がした。
私が生きていくための。