前回更新から日が経ってしまいましたがLOVELYZ in Winterland 3編、最後まで一気にレポートします。

 

コンサート中盤、第三部のオープニングを華々しく飾ったのは2ndアルバム「R U Ready?」収録の「Cameo」。

映画をモチーフにした歌詞にちなんで、映画スターよろしくトレンチコート姿で登場したメンバー達。

ブラスセクションがゴージャスなSwing Jazz風の編曲が、さらに雰囲気を盛り上げてくれる。

さらにこのステージでは熊のぬいぐるみを被った男性ダンサーが「カメオ」で参加していたが、最終日はなんとLOVELYZの所属事務所woollim entertainmentのイ・フンソク理事が登場!

ぬいぐるみを被っていても一目でフンソク氏と解る胴体(笑)で会場を沸かせた。

 

続いては久々のフルバージョン披露で大いに盛り上がった「WoW!」、さらに「Hug Me」「미묘미묘해」、そしてコンサート定番の「마음 (*취급주의)」~「1cm」まで第三部は熱気を保ったまま進行していく。

昨年開催された「冬の国2」と比べても今回の第三部の盛り上がり方は格別だったように思うが、それは前回のように最新アルバムの楽曲に固執しなかったからであろう。

夏のコンサート「Alwayz」を念頭に作成されたアルバム「R U Ready?」とは違い、当時の最新アルバム「FALL in LOVELYZ」がコンサートのメインに据えるには役不足であったことは否めない。

 

コンサート本編を締め括る第四部の目玉は何と言っても「Destiny」から続いて披露された「백일몽」で、今回のコンサートの最大の見せ場言って良いかもしれない。

백일몽は昨年11月にリリースされた最新ミニアルバム「Sanctuary」に収録されている曲で、今回が初お披露目である。

コンサート最終日、Sujeongがこの数ヶ月間の多忙なスケジュールをこなしてきたメンバー達に労をねぎらいながら涙を落していたが、実際、昨年末からのカムバックや日本プロモーションと並行して今回のコンサートを準備することはさぞかし大変だったと思う。

そんな中でよくぞここまで!と称賛を送りたくなったほどの完成度の高いパフォーマンスは圧巻であったし、백일몽の激情的な世界観はDestinyの延長上にあるというコンセプトに基づく舞台演出も素晴らしかった。

 

そしてコンサート本編のラストを飾ったのは「지금, 우리」。

2017年5月にLOVELYZに初めて音楽番組の一位をもたらした記念すべき曲にして、プロデュースチームOne Pieceと映像制作プロダクションDigipediという黄金のタッグによる(今のところ)最後の作品である。

今後のLOVELYZがどのようなチームと作品を制作していくことになるのかは未知であるが、彼女達が新たなステップに飛躍できるか、いや今やそんな呑気なことを言っていられない、今年以降も生き残れるかは、この曲に匹敵するクオリティの作品をリリースできるかどうかに係っているだろう。

 


ソウル公演に続いてLOVELYZは3月17日にシンガポール、24日には香港、そして31日には台湾とアジア各地を回ってコンサートを開催した。

そのアジアツアー最終日を見届けるかのように、NIT coffeeが3月末日午後9時をもって閉店した。

 

 

NIT coffeeはwoollimが運営するカフェで、2014年10月に同社社屋の向かいにオープンして以来所属アーティスト達のファンにとってはまさに「Sanctuary」のような存在であった。

 

NITが閉店を発表した3月4日、woollimは同社の新しいロゴマークならびにAKB48の高橋朱里の移籍を公表している。

NITがオープンしてその翌月にはLOVELYZがデビューを果たした2014年秋、あのときと同じように2019年春はwoollimにとって変革の季節となるのだろうか。

小春日和であった初日から一転して、コンサート二日目は終日雪に見舞われた。

二年前のLOVELYZ初単独コンサートの初日を思い起こして遠い目をしてしまった、そんな延世大学前の交差点。

 

コンサート第二部はソロコーナー。

各メンバーがどんな曲を歌ったのか、もう一度おさらいしておく。

  • BabySoul - 조각달
  • Jiae - Flower Way (Original by 김세정 2016)
  • Jisoo - We Will Rock You & Bohemian Rhapsody (Original by QUEEN 1978 & 1975)
  • Mijoo - Siren (Original by 선미 2018)
  • Kei - Across The Universe (Original by 백예린 2015)
  • Jin - Me After You (Original by 폴킴 2018)
  • Sujeong - Twenty-three (Original by IU 2015)
  • Yein - 탄띠 (Original by YDG 2010) & 골목길(Original by 이재민 1985)

昨年二月に開催された「冬の国2」のソロコーナーのセットリストと比較してみると、同世代の国内アーティストの作品の割合が増えていることがわかる。

その中でも元Wonder Girlsソンミの「Siren」や15&のであるメンバーペク・イェリンの「Across The Universe」、そしてシンガーソングライターであるポール・キムの「Me After You」などアーティスト自らが作詞や作曲を手掛けた楽曲が目立っていることが興味深い。

これはLOVELYZのメンバー達が楽曲制作に意欲を持っていることの現れであろうか?

 

その問いに答えるかのようにBabySoulが歌ってくれたのが、自作曲「조각달(三日月)」である。

彼女自身のピアノ弾き語りで始まるこのバラードは、公演の三日目と四日目に披露されている。

本来であれば三日目のみの予定であったが、感極まったBabySoulが曲の途中で歌に詰まってしまう場面があったため、最終日に再演となった次第である。

 

ソバンチャのカヴァーでファニーなステージを展開した前回とは打って変わってストレートなバラードを聴かせてくれたのがJiae

gugudanのセジョンが2016年11月にリリースした「Flower Way」を披露した。

たくさんの花に囲まれたステージに花柄のワンピースと花冠という姿で登場したJiae。

そんな「花」を惜しみのない自己犠牲によって咲かせてくれたことへの感謝を綴った歌詞を真摯に歌っていた姿が印象に残っている。

 

今回もRockテイスト溢れるステージを披露してくれたのがJisoo

彼女が選んだのは何と、今をときめくQUEEN!

Freddie Mercuryのトレードマークである短いマイクスタンドを携え、

黄色のライダースジャケットに白のタンクトップとパンツという完ぺきなコーディネイトでステージに登場したJisoo。

曲の途中で客席に降りて行ったり相変わらずワイルドなJisooは、Brian Mayばりのカーリーヘアのカツラを被ったギタリストのユ・スンボム氏とともに熱いステージを披露してくれた。

 

JisooのQUEENメドレーに対抗するかのように(?)、Yeinは俳優のヤン・ドングンメドレーを披露してくれた(別にヤン・ドングン氏がゲイということではない、と思う)。

「탄띠」と「골목길」ともにヤン氏のラッパー名義であるYDGの楽曲であるが、後者のオリジナルはイ・ジェミンが1985年に発表した同名曲である。

 

イ・ジェミン氏は1958年生まれで'76年頃から明洞でDJを始め(当時の現地におけるDJがどういう存在だったのかは皆目見当が付かないが)、'87年に1stアルバムをリリースしている。

ちなみに同曲については'85年にリリースされたオムニバスアルバム「DJ의 사랑 이야기 그리고...」(DJの愛の物語、そして…)が初収録のようである。

 

片思いの相手を골목길(路地)で待ち続けるという素朴な純情を歌ったこの曲を'02年のYDGがどのような意図でリメイクしたかは知らないが、その後RimiやBlock Bのグループ内ユニットBASTARZらがこの曲を取り上げていることを考えると、Korean Hip Hop界ではClassic Tuneの地位を確立しているのかも知れない。

 

ちなみにBASTARZはJTBCのテレビ番組「シュガーマン 2」の第18回で同曲を披露しているが、驚くことにLOVELYZもこの回に出演していたのである(LOVELYZはチャンナラの「Sweet Dream」を披露している)。

そのときのBASTARZやサプライズ出演したイ・ジェミン氏本人に触発されて、今回のカヴァーが実現したのだろうか?

今のところこの曲とLOVELYZの接点が他には思いつかないのであるが、今度話をする機会があったら聞いてみたい。

 

たかがカヴァーされどカヴァー、各曲に隠された思惑や由来をひとつひとつ詮索していったらきりが無いので、最後にSujeongの「Twenty-three」を取り上げてこの回を締め括りたい。

 

同曲はIUが2015年10月にリリースしたミニアルバム「CHAT-SHIRE」のタイトルトラック。

フォービート調の前半で聴かせるハスキーヴォイスと中盤以降テンポアップしたあとの艶やかな歌声のコントラストは、23歳(数え年で)という大人と子供の境目の微妙な魅力について歌った原曲ともまた違う多面性を垣間見せてくれた。

 

EP.4に続く。

LOVELYZ in Winterland 3のステージの構造はこのような感じ。

 

要所の場面展開で活躍した回転舞台を中央に据え、階段やバンドの雛壇などが機能的に配置されていることが解る。

そして今回のコンサートの舞台演出の要となっていたのが、ステージ全体を包み込むように弧を描いて配置されたバックスクリーン。

 

投影される映像も例えばDestinyであれば月や地球をモチーフとした内容であるなど曲ごとに趣向が凝らされたものとなっていたが、この仕掛けが特に功を奏していたのが第一部の終わりに披露されたアコースティックメドレーである。

꽃점」「Wag-zak」「Rewind」そして「첫눈」という四季をテーマとした選曲に沿ってそれぞれの季節をイメージした映像が走馬燈のように流れゆく光景は、ただもう素晴らしかったとしか言えない。

 

それにしても昨年の夏にサマーソングとしてリリースされたWag-zakを冬のコンサートで聴けるとは思ってもいなかったが、今回アコースティック編成で聴いてみたら、むしろこの曲は本来冬に聴くのが正しいのではないかという気さえしてきた。

楽器音をそぎ落としたことによって浮かび上がってきた美しくも切ないコード進行やメロディは、まるで追憶の中にある遠い夏に思いを馳せているようではないか。

そんなことを考えながら聴き入った。

 

そしてWag-zak以上に意表を突かれたのが、そのあとに続いたRewindである。

찾아가세요の後続曲としてつい最近まで音楽番組でも披露していたこの曲を、敢えてメドレーに組み込んで振り付けも無しで披露するとは予想だにしていなかったが、それだけこのセットを今回の公演で重要視していたということなのだろう。

 

꽃점(花占い)から始まって첫눈(初雪)で幕を閉じるという展開は、とある歌(※)の一節にそのまま当てはまる。

 

春に君と出会い
夏に君と愛し
秋に君と別れ
そして一人の冬が来る

 

邂逅を経て一人の冬、LOVELYZのデビュー曲「Candy Jelly Love」で言うところの「그대 없는 겨울(あなたのいない冬)」に帰結するという一篇のストーリー。

それをたった4曲で表現していたと考えると実に見事であるし、冬で完結するこのメドレーこそが「冬の国」の要ということになる。

 

本公演は3月にシンガポール、香港、台湾でも開催されることが決まっている。

3月と言えば東アジア諸国はもう春だし、ましてシンガポールは赤道直下に位置しているわけだが、それでもこのメドレーが披露される限りコンサートのタイトルには「冬の国」を冠するのが正しいだろう。

 

このアコースティックメドレーだけでも一年前とは格段にグレードアップしているという手応えを感じつつ、コンサートは第二部、恒例のソロコーナーへと突入する。

EP.3に続く。

 


(※)筋肉少女帯の「高木ブー」です(笑)