農林中金が今期5,000億円超の赤字で1.2兆円の資本増強を検討! | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

香川県高松市で会計事務所(税理士・会計士)をやっている公認会計士・税理士です。●棚卸●事業承継●M&A・組織再編●贈与・相続のコンサルティングをしています。会計・税務に関することなら、お気軽にお問い合わせください。

日本経済新聞によると、農林中央金庫が総額1.2兆円の資本増強を検討していることが、先日、わかったようです。

米金利高に伴って含み損を抱える米国債など運用収支が悪化しており、出資者のJAなどと協議に入りました。

損失処理に伴い2025年3月期は5,000億円超の最終赤字に転落する見通しで、巨額の資本増強で財務の健全性を保つ必要があると判断しました。

世界的な金利上昇で保有する債券に含み損を抱える構図は3メガバンクも同じです。

3メガバンクが2期連続で最高益を更新する見通しなのに対し、農林中金が巨額の資本増強を迫られるのは外債投資の比重が大きいためです。

米金利上昇でドル調達のコストもかさんでおり、収益を圧迫しました。

株高や海外での貸出金利の上昇が利益を押し上げている3メガバンクと対照的に、農林中金は金利上昇が運用益悪化につながりやすい構造になっています。

農林中金の資本金は4兆円強で、普通出資はJAと農業協同組合連合会で9割以上を占めます。

このほか、漁業協同組合連合会などが出資しています。

農林水産事業者から資金を預かって有価証券で運用している農林中金は、リーマン・ショック後もJAなどを引受先に1.9兆円の資本増強を実施しました。

農林中金は資本増強に向けて出資者と協議しており、9月ごろまでの合意を目指すもようです。

まず、配当率が高く資本としての質が株より低い永久劣後ローンで調達した7,000億円を償還し、代わりに一般企業の普通株に近い性質の「後配出資」で同額の出資を受けます。

さらに、新たに5,000億円を期限付き劣後ローンで調達する計画です。

農林中金が巨額の資本増強に踏み切るのは米金利の上昇に伴って、保有債券の運用収益が悪化しているためです。

金利が上昇すると債券の価格は下落する関係で、金利が低かった時代に買った債券の価値が目減りし、2023年12月末時点で含み損は1.9兆円に膨らんでいました。

農林中金の収益は、出資者であるJAなどに配当されます。

赤字になれば無配となり、JAや組合員である1次産業の従事者の収入にも影響します。

運用収支の改善に向けて利回りが低く含み損を抱えた債券を処理し、収益性が高い資産に入れ替える必要があると判断しました。

入れ替えに伴って債券の損失が確定するため、資本を質と量の両面から増強することを迫られているのです

農林中金の2024年3月期の連結業績は、含み益のある有価証券の売却などで最終増益を確保しました。

ただし、2025年3月期は含み損を抱えた債券の売却や外貨調達コストの高止まりで、5,000億円超の最終赤字に転落する見通しです。

農林中金の財務の健全性を示す中核的自己資本(CET1)比率は、2023年12月時点で18%で、10%前後の3メガよりも高くなっています。

このため一時的に最終赤字を計上しても、保有資産の入れ替えを進めて将来の収益性向上を優先すべきだと判断しました。

日銀がマイナス金利を導入した2016年以降、金融機関は利回りを求めて外国債券投資を膨らませてきました。

低金利下では債券投資は収益を上げやすかったですが、金利上昇局面では多額の損失につながりかねません。

「金利ある世界」は運用の巧拙を如実に浮かび上がらせることにもなります。

 

農林中金の運用の失敗に対して、出資を求められるのは

どうかと思いますし、低金利はいつまでも続かず、金利が上がることは分かっていたでしょうから、運用方法に問題があるのではないかと感じます。

また、農林中金はコンサルティングもしていると思いますが、こういった組織にコンサルティングはできるのだろうかと疑問に感じます。

 

農林中金が今期5,000億円超の赤字で1.2兆円の資本増強を検討していることについて、あなたはどう思われましたか?