日本経済新聞によると、国内雇用の7割を抱える中小企業の経営環境が一段と悪化しています。
関税や金利上昇、人手不足で倒産件数が増加するなか、金型保管に象徴される大企業との不公正な商慣習も残っています。
大企業と中小企業がもたれ合う悪癖を脱することが、日本経済の再成長につながるでしょう。
トヨタ自動車が繰り返し値上げ要請に応じるのが、ホイール製造のレイズ(大阪府東大阪市)です。
耐久性など技術に定評があり、世界最大級のカスタムカーの祭典として25万人強が集った今年の「東京オートサロン」(千葉県千葉市)でも、トヨタの佐藤恒治社長がお忍びでブースを訪れました。
高級車向けのOEM(相手先ブランドによる生産)としてトヨタや日産自動車にも納入しています。
値引き要請を受けた時もありましたが、最近は3年連続で計約5%の値上げをしました。
斯波翔太郎社長は「ほぼ全ての要求を認めてくれる」と話しています。
レイズのような「言い値」が通る中小企業は多くはありませn。
日本は大企業が交渉の主導権を握り、産業構造の下層ほど発言権は弱くなります。
2025年の中小企業庁の調査に費用を「全額転嫁できた」と答えた中小は27%にとどまります。
大企業と下請け(中小受託事業者)のいびつな関係の象徴が「金型保管」です。
部品の製造に使う金型は発注側が保管費用を負担しなければなりません。
ただし、長年の取引慣行や取引上の立場の優劣を背景に受注側が無償で保管することが多くなっています。
最近、公正取引委員会は中小の経営を圧迫している不当な行為への監視を強めています。
2024年3月に日産に対し下請け36社への支払金を違法に減額したとして勧告、2025年10月にはトヨタ子会社に勧告を出し本体にも改善を申し入れました。
そんな金型を新しいビジネスにつなげる中小企業があります。
自動車部品の備前発条(岡山県岡山市)の山根教代社長は2023年夏、周囲の反対を押し切り「おたくのクルマのアームレスト用の金型を他社ブランドのアームレストの生産に転用させてほしい」と、自動車大手とシート大手に直談判しました。
金型はノウハウの固まりであり、本来、転用は許されません。
山根社長は「転用できれば車業界全体の二酸化炭素排出量を抑えられる」と訴え、自動車大手から承諾を得ました。
2024年出荷したアームレストは愛好者向けで量は少ないですが、金型費用を節約し利益はでやすくなっています。
年内にアームレストを組み込んだ高級チェアも発売します。
約1万の大企業と、約336万の中小企業の格差は広がっています。
大企業を中心とする上場企業は2025年3月期の純利益が4年連続で最高益となる一方、中小企業は破綻が相次いでいます。
帝国データバンクによると、2025年4〜9月の負債5,000万円未満の小規模倒産は2000年度以降で最多でした。
格差拡大は労働生産性に理由があります。
最新の生産設備やシステムに投資できない中小企業の労働生産性は大企業の4割しかないのです。
生産性が低いので利益をだせず、給料も上げられません。
従業員10〜99人の企業に勤める会社員(40〜44歳、大卒)の平均年収は551万円と、1,000人以上の企業に勤める会社員(同)より3割少なくなっています。
日本と欧米の下請け構造を比べると、日本は大企業に逆らって仕事を失うことへの恐れが強くなっています。
大企業の要求を断り、他社に仕事を回された事例は枚挙にいとまがありません。
大企業と対等に渡り合うためには、中小企業側の工夫や努力も必要になってきます。
樹脂部品製造のコージン(富山県上市町)は取引先や受注部品ごとに自社の業績への影響が分かるチャート図を作りました。
各部品を原価計算して横軸に生産に要する社員数、縦軸に利益額を置き、部品ごとの損益を「見える化」したのです。
小柴雅信社長はチャート図を手に一部の取引先に「価格転嫁を認めないなら取引をやめさせてほしい」と迫っています。
「おたくはうちの業績にマイナスですと伝えると大概の相手は驚き、態度を変える」。
価格転嫁に理解を示す大企業は多いものの、そうではない一部の取引先に強い姿勢を示しています。
日本は就業人口の7割(3,309万人)が中小企業で働いています。
中小企業を起点に経済が活性化するために日本政策金融公庫の岡崎文太郎副総裁は「小さくてもどう生きるか考え、経営を多様化することが求められる」と指摘しています。
中小企業というよりは中堅企業の話しかと思いますが、こういう中小企業が増えてくると良いですね。
と言っても、独自性がないと他社へ切り替えられてしまうだけになるかもしれませんので、独自性を出すことを考えることが大事でしょう。
大企業にとっても、海外の企業にとっても、ないと困るような製品やサービスを提供できるようになりたいですね。
保管させられていた金型を融通し新製品開発で「下請け」脱し成長している企業があることについて、あなたはどう思われましたか?




