M&A Onlineによると、2023年のM&A件数(適時開示ベース)は1,068件と前年を119件上回り、16年ぶりに1,000の大台に乗せるエポックとなりました。
その主役である上場企業の数は全国で3,900社を超えますが、年間を通じて最も多くのM&Aを手がけたのはどこだったのでしょうか?
2023年の全M&A1,068件(買収側と売却側の双方が発表したケースは買収側でカウント)のうち、1社で複数(2件以上)のM&Aに取り組んだ上場企業は193社で、件数にして計480件です。
年間1件は588社を数えました。
件数トップはSHIFTとGENDAが各10件で並び、両社ともすべて買収案件でした。
前年(2022年)に各6件でトップを分け合ったヨシムラ・フード・ホールディングス(HD)は1件、ケア21は3件とペースを落としました。
SHIFTはソフトウエアテスト業務を主力とします。
2019年を境にM&Aにアクセルを踏み込み、ソフト開発、システム開発、デジタルマーケティング分野など周辺領域に業容を拡大してきました。
2019年5件、2020年6件、2021年3件、2022年3件と推移し、2023年は10件と一気に2ケタまで件数を伸ばし、買収総額も約125億円(金額非公表が1件)に上りました。
2023年の案件をみると、バイリンガル人材紹介事業や保育園運営会社の買収も含まれます。
このうち、バイリンガル人材紹介事業については異なる言語、文化を持つメンバー間を橋渡しするブリッジエンジニアなどの採用力強化につなげるのが狙いだそうです。
一方、国内M&A市場にすい星のごとく現れたのが「GiGO」ブランドを中心にアミューズメント施設を全国展開するGENDAです。
2023年7月に東証グロース市場に上場後、わずか半年間にエンターテインメント関連で10件のM&Aに取り組みました(金額はいずれも非公表)。
会社設立は2018年5月ですが、実は上場以前も10件近くのM&Aを実施しており、買収意欲が旺盛な“ストロングバイヤー”として知られる存在だったのです。
買収対象もアミューズメント施設の運営会社をはじめ、ゲーム用景品販売、レモネード専門店、ポップコーン専門店、映画配給など多岐にわたります。
このうち、2023年11月末には独立系映画配給大手のギャガ(東京都港区)を傘下に収めました。
GENDAは2024年の年明け早々、カラオケボックス「カラオケBanBan」(全国約370施設)を運営するシン・コーポレーション(東京都新宿区)の子会社化を発表しています。
次点はSNSマーケティング事業のアジャイルメディア・ネットワークで、年間7件でした。
これに続く年間5件はグローバルキッズCOMPANY、ソラスト、日本創発グループの3社でした。
年間4件はクオールホールディングス、ニデック、トナミホールディングス、三井物産、三井松島ホールディングスなど14社ありました。
過去5年の年間トップの顔ぶれをみると、2019年はソフィアホールディングスで11件、2020年はココカラファイン(現マツキヨココカラ&カンパニー)で8件、2021年はアウトソーシングで9件、2022年、2023年についてはすでに触れたとおりです。
<2023年M&A件数:上場企業別ランキング(適時開示ベース、HDはホールディングスの略)>
10件 SHIFT、GENDA
7件 アジャイルメディア・ネットワーク
5件 グローバルキッズCOMPANY、ソラスト、日本創発グループ
4件 KPPグループHD、揚工舎、エフ・コード、クオールHD、テンダ、電通グループ、トナミHD、ニデック、日本エコシステム、ベクトル、三井物産、三井松島HD、ミンカブ・ジ・インフォノイド、ランドビジネス
3件 ダイヘン、ミネベアミツミ、戸田建設、日本テレビHDなど36社
2件 137社
個人的には、M&Aは一度うまくいくと以後も続けていく傾向があると思っていますので、GENDAみたいなところも今後、どんどん増えていってくれればいいなぁと思います。
話しを持ち掛ける方も、ストロングバイヤーに持っていくのが、話しも早いですし、決まる確率も高く、楽でしょうから。
話しを持ち掛けられる方も、良い案件が集まってきますからね。
2023年に最も多くのM&Aを手がけた上場企業はどこ?について、あなたはどう思われましたか?