関西スーパーの株主総会は取引先持ち株会が賛否の「隠れみの」に! | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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日本経済新聞によると、司法判断を受けて、先日、エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下となった関西スーパーマーケットですが、最高裁までもつれた原因は株主総会での1人の株主の行動でしたが、僅差の可決を後押ししたとみられるのは9%超を保有する第2位株主の取引先持ち株会だったそうです。

 

関西スーパーの取引先持ち株会には、食品スーパーや卸などが参加しています。

総会前には伊藤忠食品が、理事長一任での議決権行使という慣例に異を唱えて、自主投票となりました。

 

上場企業の多くの取引先持ち株会は同じような慣例があります。

そしてほとんどが議案への賛成になっているとみられます。

 

「相互間の親睦関係の増進に寄与することを目的とする」と、日本証券業協会の「持ち株制度に関するガイドライン」には、取引先持ち株会の目的について記されています。

 

取引先持ち株会は、社歴の長い伝統的な企業に多く存在します。

昔は上場時の安定株主対策や定期的な売買手数料を得る狙いもあって、主幹事証券会社が「取引先に株を持ってもらいましょう」と持ち株会の設立を提案することも多かったようです。

 

関西スーパーの総会では、取引先持ち株会の議決権行使の透明性も課題として浮かび上がりました。

 

株主総会の議決権行使書面は総会日から3か月間保管しなければならず、株主は閲覧や複写を求めることができます。

今回の場合、総会を開いた関西スーパーだけでなく、オーケーも株主ごとに賛否を知ることが可能なのです。

 

しかしながら、持ち株会の中の議決権行使結果は開示されません。

持ち株会全体として賛成、反対、棄権の比率が開示されるだけです。

自主投票となった持ち株会の会員企業の賛否は、関西スーパーにしかわからないのです。

 

今回、この仕組みをうまく活用できないか検討した取引先株主がいたようです。

持ち株会は定期的に資金を拠出して株式を買い付けるため、少しずつ会員企業の保有株数は増えていきます。

一部を持株会から引き出して自社名義での保有にする企業も多いです。

 

この株主は「自社名義分は不行使や棄権、反対に、持ち株会での保有分は賛成にと使い分けできると考えていた」(関係者)ようです。

オーケーが知ることができる部分はオーケー寄りに、関西スーパーにしかわからない部分は関西スーパー寄りにすれば両方に義理立てできるわけです。

 

取引先持ち株会を通して保有する株は、政策保有株扱いになることが多いようです。

上場企業に課されているコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)は、政策保有株式の削減を促すと同時に、政策保有株式に係る議決権の行使について具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきだと定めています。

 

取引先持ち株会を「隠れみの」にした議決権行使の使い分けはコーポレートガバナンス・コードに沿っているとは言いがたいでしょう。

伊藤忠食品が関西スーパーに統合相手の価値評価額や算定根拠の開示などを求める質問状を送り、持ち株会の理事長一任に異を唱えたのは、自らの株主への説明責任を果たすためでした。

 

2019年にはある国内投資家が日証協に対し、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に沿えば取引先持ち株会は解散されるべきだとの要望をしています。

日本企業の古き伝統は企業統治強化の中で存在意義を問われています。

 

知りませんでしたが、取引先持ち株会はそうなっているんですね。

取引先は、どちらとも取引があるところが多いでしょうから、困ったと思いますが、うまく使い分けていたところもあるんですね。

これをきっかけに、取引先持ち株会のあり方が議論されるといいですね。

 

関西スーパーの株主総会は取引先持ち株会が賛否の「隠れみの」になったことについて、どう思われましたか?